第6話 慈悲深いケモミミ

 そこは何かの村のようで、人間は、もちろん獣人までもが彼の目に写った。

その村の人々は、暗い顔せずいきいきと生活している。

その光景は、私のクソだれた醜い世界とは、大違いだった。


「ってことは、ここはあいつの言ってた異世界か、」

そんなことをつぶやきながら、ベッドに腰掛け窓の外を眺めていた。


すると、部屋の扉からノックの音がして何者かが、中に入ってきた。


「あら、起きてたの?」

扉から出てきたのは、獣人の女性だった。

身長は、私と同じぐらいで、ちょっぴり尖った黄色いケモミミ

そんでもって彼女の黄色の髪の毛はハーフアップにされてあった。

見た目の年齢は18ぐらいかな、その姿はとても美しかった。


「まだ寝てないと駄目、怪我がひどくなりますよ。」

そんな彼女は私にそう言うと私に寝るよう促す。

彼女はとても面倒見が良く、こんな私にも優しくしてくれていた。


私は何も喋れないままベッドに寝かしつけられる。

そしては私は、口を開いた。


「あの、」

彼女の顔が私に向く、翡翠(ヒスイ)色の目はとても優しい印象を与えた。

「ん、 どうしたのですか?」

「今何が起きているかわからなくて状況を確認したいんだが、

 こうなった経緯を話してくれないか?」


実際私は、どっかの異世界に飛ばされた事しか知らない。

そもそも異世界に名前などついていないので、生きていくうえでこの世界を理解する必要がある。勉強は好きではない、少なくとも勉強したことが生かされない生活をしていたものだからな、成績は良い方だったが頑張り損だった。


「そうね、最初私が村から少し離れた花畑に朝水やりに行ったときに

 突然空が青く光りだしてその光の中からあなたが落ちてきたの。」

「大丈夫、私が風の精霊に頼んであなたの落下のスピードを抑えたから

 地面に着陸したときの怪我はないはずよ。」


「そうだったのか!? それなら僕の命の恩人だよ、ありがと」

話からするに私は、気絶したまま雲の上に飛ばされてそのまま落下していたらしい

彼女の助け無しだったら今頃ぺちゃんこだな。あんま自由落下舐めんな。

だとしてもアビが生き返らせてくれたかもしれない。

いいやあんまり彼女(アビ)を信用してはならない、


「えぇ〜//、命の恩人って言い過ぎですよ。

 私は、そんなすごいことしてませんよ。」

彼女は半分照れながらも反応を見せる。

これが癒やしと言うものだろう。なんだか心がポカポカする。


「わたしの名前は、リエル・モイカーナ この街のギルドの受付嬢をやっています。

 良ければ ”リエル” って呼んでください」


「私は、雅義(マサヨシ)と言います。」

あまり身元を言うと怖がらせてしまうのでそこは伏せておく、


リエルの自己紹介に出てきた”ギルドの受付嬢”と言うことは、

私は、そのギルドで金を稼げば良いわけだ。

さすが私はいつでも一歩先の未来のことを考える。

そんなことができたならそもそもこんなことにもならなかっただろう。


私は、ゆったりとした時間の中、忘れていた会話の楽しさを

リエルとともに思い出していた。






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