【第三章:高野恵美子(2)】
「かなえさん、もしかして・・・」と真中しずえが聞く。
「うん・・・、
坂井かなえの言葉の最後は、近くにいた真中しずえにも聞き取れないくらい小さいものだった。しかし、真中しずえは、坂井かなえが何を言おうとしたかがすぐにわかった。真中しずえの目から見ても、高野恵美子の
「911にかけて
「ううん、
「え、ここで?」と真中しずえは思わずそう口にしてしまい、その
田畑太一郎は「あ、はい」としか答えられず、そのまま会議室から出ようとした。
「
「え?あ、すみません。持っていきます。」
「それがいいと思うわ。もしかしたら、この会議室にはしばらく入れてもらえなくなるかもしれないし。」
会議室からは、坂井かなえ、真中しずえ、田畑太一郎、の
「あ、
田畑太一郎はドアを閉めたあと、「これってカギはかけておいた方がいいですか?」と聞いた。
「私はカギを持ってないから、そのままでいいよ」と坂井かなえは力なく答え、歩き出した。真中しずえと田畑太一郎も、坂井かなえに続いて歩きだし、三人は
「あ、そうね。向こうのエレベーターを使えばよかったかもね。あっちのエレベーターって動きが
「そうだったんですね。でも、高野さんに何があったんでしょうか。」
「わからない・・・。」
また
ドア近くの
坂井かなえは、西棟の
「え?もう
「ここで
その守衛は、自分をからかっているのだろうという様子で聞いていたが、あまりにも坂井かなえが
そのうしろを、真中しずえと田畑太一郎はついていったが、先ほど坂井かなえが言ったように、
エレベーターが六階に
しかし、守衛はそんな坂井かなえのそんな様子にはおかまいなしに、「Hey、カナエ、どうしたんだい。このドアをあけると何かが飛び出してくるのかい?」と、ちょっとからかうような
しかし、ドアは開かなかった。守衛は「What?」と言いながら、ドアノブを
その様子を見て坂井かなえが、「太一郎君、カギかけたの?」と聞いてきた。
「いえ、かけてません。さっき、ドアを閉めたとき、
「そうなの?おかしいな」と
「そのようだ」と答えながら、守衛は
会議室に入るのを
「え?」と真中しずえと坂井かなえが
その会議室から高野恵美子の死体はなくなっていたのだ。
***
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