【第二章:坂井かなえ(3)】
「私の研究室はここの四階にあるの。でね、高野さんの研究室は
「え、いいんですか?」と、真中しずえは
「もちろんよ。今日はボスも
「このエレベーター、大きいですね」と、やってきたエレベーターに三人が乗り込んだタイミングで、田畑太一郎が思ったことをそのまま口にすると、「え、そうかな?毎日使ってるから、大きいとか小さいとかあんまり
四階のフロアにはすぐに着いた。エレベーターを
だが、坂井かなえはドーナツの
その会議室で田畑太一郎と真中しずえが目にしたものは、小さいながらも使いやすい
「あ、こういう場所っていいですね」と、真中しずえが坂井かなえに話しかける。
「でしょ。実験とかでちょっと
「紅茶ですか?おしゃれですね。どんなのを飲むんですか?」
「そこら
「アールグレイ、いいですね。私も好きです。私が帰国する前に、かなえさんと
「あ、それいいね!」
なるほど、こうやって二人は打ち解けていったのかと、二人の様子を見て田畑太一郎は思った。彼はアメリカに来て三ヶ月が
それは自分の英語力がないのが原因だと思っていた。しかし、この二人の会話に自然に入っていけない自分を見て、こちらで日常会話が自由にできないのは、単なる自分の英語力の問題だけではないのかもしれないなと、田畑太一郎は少し
ドーナツの箱を会議室のテーブルの上に置いたあと、坂井かなえと真中しずえはそのまま会話を続けながら、坂井かなえの研究室に入っていき、田畑太一郎はその後ろをついていった。
研究室は
「うわ、すごい
「ははは、ありがと。そういってもらえるとお
「いえ、お
「うちの研究室、マネージャーさんが
「いいなー。私が留学してるところって、建物が古いんですよね。研究室にも古い機械が多いし。え、これまだ
「アメリカってそういう研究室は意外と多いよね。」
「ですよね。日本の方が良い機械使ってるところが多いように思います。」
「うん、私もそう思う。ここは
「そうなんですか?」
「高野さんが聞いたら
「えー、そうなんですか?ちょっと見てみたいです。」
「これから行くからすぐに見られるよ。だって、今日の
「デスクの場所も知ってるんですか?」
「うん。ときどき
***
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