第6話
「中原、今日だったよな、引っ越し!」
麻里が玄関から出るなり、康太は自転車から降りながらそう尋ねてきた。
「そうだけど?」
「お前っ、早く中原のとこ行けっ!あいつ電車で行くって言ってたから、駅行けば会えるかも」
「ちょ、ちょっと待ってよ康太!なんで?なんで私が中原くんに会いに」
「中原だったんだよ、あの栞っ!そんで、あの栞の意味は……意味はなぁっ」
一瞬言葉を切って麻里を見ると、康太は少しだけ顔を赤くして言った。
「大好き、だ!」
理由がわからず、麻里はポカンとして康太を見る。すると、康太はじれったそうな顔をして言った。
「俺もさっきようやく気づいたんだけどな。たんぽぽは英語で『ダンデライオン』なんだよ!花の頭文字入れ替えて繋げてみろ。ダイスキに、なるだろ?」
康太に言われて、麻里もようやく栞の意味に気付いた。だが、その贈り主が何故中原なのだろうかと、小首をかしげる。
と、康太は更に苛ついた表情で告げた。
「花言葉だよ、花言葉!」
「花言葉?」
「どうにも気になって調べてみたんだ。そうしたら、どう考えてもあいつしかいないんだよ」
そう言って、康太はポケットから小さなメモを取り出し、麻里の目の前に突き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます