第4話

 翌週。

 二学期の終業式の日。


「おい、早く開けてみろ」

「なんで康太がそんなに気にしてるのよ」


 先に麻里の靴箱の前で待っていた康太に苦笑いを浮かべながら、麻里は靴箱を開けた。


「スズラン、か」

「だねー。可愛い」


 やはりそこには、押し花の栞があった。


「多分、今日で最後だろ。俺たち明日から休みだし」

「そうだね」

「なんだったんだろな、それ」

「私に、もっと本を読め、ってことかな?」

「なんだそれ」


 呆れ顔を浮かべる康太に構うことなく、麻里は栞をそっと手に取り、鞄へとしまう。


「中原となんか話せたか?今日最終日だったんだろ?」

「まぁ……それなりに。挨拶くらいは」


 言いながら、麻里は胸がキュッと痛むのを感じた。

 それがなんと呼ばれる感情なのか、麻里にはよく分からなかった。

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