第5話 良い酒夢気分

色々あって、大人になって。

彼女も色々あって、大人になって。

そんなふたり。

僕には借金、彼女に貯金。

同棲時代、幸せだった。

ふたり働き夜に呑む酒。

休日、日帰り温泉で、当時は今ほど飲酒厳しくなかったから、まずはふたり飲んで眠って、サウナと風呂で酔い醒まして。

夜にはバンドの練習あったから帰ってきて、終わったらバンドメンバーふたりの愛の巣に迎えて酒飲んで。

酒はふたりの幸せを増幅し、暮しの潤滑油足り得ていた。

幸せな酒。

ふたりで飲む酒。

みんなで飲む酒。

酔えば気分良く。

これが、酒とのベストバランスだったと思う。

一人で飲む気になんかならなかった。

この頃僕が依存してたのは、彼女との暮しそのものであり、良くなって行く未来への期待だった。

それは彼女も同じだと思えた。

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