第4話 mute witness
それから長い間、付かず離れず、いわゆる常識的な酒との付き合いをして来たと思う。
たいして飲めなかったし、人前でげろ吐いちゃったり、記憶を失くしたり、そんな粗相とは無縁に過ごして来た。
私生活はめちゃくちゃだった。
十分酷い目に遭っていた。
それでも、酒に溺れなかったのは、ギャンブル依存の存在が大きかったと思う。
20代半ばの僕は、何かに依存しなければ生きて行けない程度には孤独だった。
相変わらず場をわきまえた控えめな麻薬として、酒はいつもちょこんとかわいく座って、僕の隣に居た。
彼女がその存在を大きくしたのは、現実に最愛の彼女を得てからという、とても皮肉な構図があるのだけど、それは後々説明する事にしよう。
ともあれ、僕の、あまりに無茶な、「不屈の精神」みたいなものを担保するのに、何かへの依存が必要なんだ。
そしてそれは、何だって良い。
でも出来るなら、君がそのぜんぶを請け負ってくれるなら。
いまだに僕は、そんな風に思うんだ。
違うかい?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます