第6話 難所
俺たちは突然武器屋のある場所に連れていかれた。この単語はそこまで恐ろしい言葉なのか。もしかして俺たちがすれ違った人たちにも持っている人がいたのかもしれない。有名になっているということはそれなりの理由があるはずだ。多分なにかこのアイテムはとてもこの世界の重要な役割を果たしているのだろう。しかし俺はそこまで詳しいことはわからない。結構強い言葉なのはまちがいない。俺たちの身は俺たちだけで守らないといけないな。
「この町でボイスリアクトという言葉を使うのは危険です。何時何人がその言葉を聞いているのかわかりません。あなたにこのロングソードを差し上げます。これは2か月前に来た冒険者がこの武器屋に寄付したものです。その人物によれば、この町はとても危険で街はどことなくにぎやかなのだが、少し不審な動きをすれば、標的になる恐れがあるとのことです。ボイスリアクトはこの世界でとても貴重なものです。この世界で1000個ほどしか存在しないと言われています。この世界には100億の人間と1000億のモンスターが生息します。その中で1000個なのでその貴重さはわかるでしょう。ウェダーボイスリアクトはその中でも5つしか存在しないと言われています。これは世界を変えることのできる力を持ったものすごく貴重なものです。一般人が使用することは不可能だと言われています。このロングソードの強さは言って差し上げたとおり、創造値というものに依存します。創造値は単純にステータスによるものではありません。むしろステータスとは全く異なり、反対と言っていいほどです。ボイスリアクトは普通の人は知っているわけありません。この町は異世界から召喚される人物が多いから知っているひとも多いのですが、それでもほとんど知らないはずです。ギルドならまだしも、普通の店員が知っていることはまずありません。これでボイスリアクトのことを言って反応されたら、間違いなく罠といってもいいでしょう。十分注意してください」
「この剣はボイスリアクトで創造できる創造力を引き上げることができます。これで新たなものを生み出せるハードルが下がりましたので助けになるはずです。道を踏み外さないように注意してください」
「そうなんですね・・・・」
「いやあ、いかんいかん。つい重い話をしてしまった」
「わしも、騙されたことあったからのう」
「ある朝、ある人物がやってきて武器を交換してくれとのことだったのだが、その武器の値段を高く売ってくれといわれたことがあってなあ。わしが鑑定してみてもこの剣が銅貨3枚ほどしかなかったのだ。その武器と交換できるものがわしの店にはなくて、でもその男がこれは銀貨8枚の価値があるなんてぬかしやがって」
「いや、いいです。まさかこんな方だったなんて。つい、まじめなおじいさんだと拝見しましたが、そうではなかったのですね」
「わしはむしろ変人なんじゃよ。他人のことなんて全く気にせず毎日武器を打ちつづけてきたんじゃ」
「わしの話も本当とは限らんから、もし違うようでも怒らんでくれ」
「あたりまえですよ。こんな優しいおじいさんに怒りませんよ」
「それはよかったぞい」
「それでもよかったんですか?こんな高価なもの。俺なんかが」
「いいですよ。それが寄付差し上げてくれたひとの要望なのですから」
「ありがとうございます」
「礼なんていいですよ。それなら冒険者に言ってください。その冒険者はウェーゼというところに行ったみたいですよ。だいぶ前ですけど」
「その街なら俺たちも行くんですけど大丈夫なんでしょうか?」
「その街までの道中に2つの難所が待ち受けています。一つ目には湖で中級冒険者でも歯が立たないベンドラという絶大王イカなるものがいて、通行人を待ち伏せて人を食っているようです。2つ目はそこには上級冒険者でも太刀打ちできないものがいるらしいです。参考にしていただけると幸いですが上級冒険者のステータスが最低800最高1550です。その上には超級冒険者という階級があり、ステータスは最低1550最高2300です。超級冒険者には獣人の英雄サルシャや剣豪サルト、勇者の側近賢者ドドンといものがおります。ちなみにいずれもステータスは2000を超えています。遭遇すれば直ちに洞窟から出て、できれば洞窟の前に高速で逃げれる何か残しておくことをお勧めします」
「そうですか。わかりました。それで私はその化け物から逃げることができるのでしょうか?」
「上級冒険者でもほとんど逃げ帰ることができなかったのですから、ステータスは最低1000は欲しいですね。それとボイスリアクトをなるべく使えるようにしておくのがおすすめです。これは新たなものが生み出せるみたいですからステータスが低いとしても遭遇しても逃げることができるかもしれません。この町のギルドは参考になりませんがこの町から大都市のウェーゼまでの道中に中規模の都市オルガというところがあります。そこの裏のダンジョンでステータスとレベルを上げておくことをお勧めします」
「しかし、私が言うことももしかしたら間違いであるのかもしれません。これは参考までにしてください」
「わかりました」
「頼みますよ。何が起こるのかわかりませんから」
「それで一つ聞きたいことがあるのですが、普通の店でボイスリアクトというなが通った時、その人がした話を信じますか?」
「変な質問ですな。私であれば十分注意してその人の質問に耳を立てて聞きますな。そして、間違いがあれば、その人の話は聞きませんな」
「そうですか。もう行きます」
しかし俺はどうすればいいのか?あの店主を信じればいいのか、武器屋の人の話を信じればいいのか?どうしてもあわないところがある。あの店主が言っていた話だとボイスリアクトの数は50個らしい。しかし武器屋の人の話だと数は1000。二人の話にも共通点はあった。俺にはどちらの人の話も本当だと感じる。どうした、俺。ここで悩んでていいわけがない。あの店主の性格もとてもいい人そうだったが間違いがあるのかもしれない。しかしこの武器屋の人が嘘を言っているとは思えない。異世界から来た人がこの武器をくれたと言っているのだ。それに別の世界から来る人のことも知っていた。いいや、どちらもだ。どうすればいい。どうすれば・・・・・
「大丈夫?」
彩子が口を開いた。
「あなたが何を考えるのかわからないけど、そんなに頭を悩ませなくてもいいんじゃない?入念に準備をしておけば何とかなるんじゃない?」
「そういう問題じゃない。命がかかわっているから簡単に決めていいとは限らない」
「そうじゃない。そんなに頭を悩ませても決められることも決められないよ。自分が何をしたいのか思い出せない?」
そうだ、俺は自分の周りの世界が気に入らなかったからそれを変えるために旅を始めた。それに俺は彩子と共に旅をすると決めたんだ。これまでの自分の身の回りの状況がつくる自分を認められなくて俺はこの世界を変えたいと思った。でも俺一人で変えられる世界なんてちっぽけだから仲間をつくるために俺は旅を始めたんだ。命だけあれば後はなんでもできるのは極論だと思うがそれでもやってやりたい。こんなところで止まってたまるか。
「私この剣買いたいんですけどお金がなくて、・・・」
彩子が突然こう言ってさっきのロングソードに興味があるとさりげなくいった。
「だったら立て替えで大丈夫ですよ。あなたたちもこの世界に来たばっかりでお金もないようですから」
「ありがとうございます」
「この剣は俺の特注でね。攻撃もできて防御もたやすい代物なんだ。この剣があれば人を守れる剣士なんてのも夢じゃない。ぜひ大事に使ってくれ」
武器屋の職人は彩子に満面の笑みをこめてそういった。俺もそれを聞いて多少ムズムズしたがうれしかった。パートナーが褒められるというのはここまでうれしいものなのか。
「俺はバッグラーを探しているのですが」
「それだったら、これなんかがおすすめです」
「いいバックラーだな。俺のゲームで使っていたものそっくりだ」
「じゃあ、彩子にもおそろいの一つお願いします」
「あいよ!」
「お金は建て替えといてくれ」
「あいよ、じゃねえよ」
「ははっ」
武器屋の中で談笑が響いた。智也が笑うことは珍しい。毎日笑っているふりをしているが、ほんとに笑っているのかわからなかった。でも、今はほんとに笑っているようだった。
「いいの?でもあなたとおそろいって何か違和感がある」
「彩子これ欲しくなかった?」
「そうじゃないけど」
「いいじゃん俺の使っていた装備そっくりなんだ。一生のお願いだと思って」
「そうなのね。しょうがないわね、つけても減るもんじゃないし」
「おお、つけてくれるのか」
「今度は私のお願い聞いてよね」
「おう!」
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