第4話

「はっ!」


次に目が覚めたのは家のベッド。いつの間にか家に帰っていたようだ。今は午前8時28分。ひとまずベッドから出て、朝食を取ることにした。


スタスタとリビングに向かうとテーブルには分厚い本と紙が置いてあった。本には見覚えがある。あのとき彼女が見せてくれたスキルの書かれた本だった。


「夢じゃなかったのか...」


そうつぶやきつつ、手紙を読む。そこには『明日の10時に伺いますのでそれまでに探していてください!』と書いてあった。


届けてくれたのだろうか、それよりも何故俺の家を知っているのか疑問が残るところだが気にしたら負けだと思う。


とりあえず、朝食を済ませて、着替えをした。


「へ〜こんなスキルもあるんだなぁ」


『武神』や『賢者』、『聖者』といったすごそうなものもあれば『飛行』や『疲労無効』、『筋力増強』といった日常生活でも使えそうなものもあった。この機会にスキルのことに関して色々調べてみた。


スキルとはダンジョンに入ったときにその環境に適応するために変化することで生まれる副産物のものと後天的に入手できるものに分かれている。前者のものをユニークスキルといって個人個人に与えられる特別なスキルで後者に比べて強力なものである事が多い。それに対して後者のものはレベルを上げるものによって得られるユニークスキルの補助的なスキルとダンジョン内で手に入れられるスキルブックという本から得られるスキルに分けられている。


自分的には『影隠し』という存在感を無くすこのスキルはいいなと思っている。そりゃ敵にバレなきゃ隙をついて弱点を突くことだって出来る。だけども、何故かコレジャナイ感がする。


直感は時として信じる必要がある。ま、保留ということで。他のページをぺらぺらと捲って合いそうなスキルを探していく。


「お?」


自分の考えていたものとは全く違うものに惹かれた。汎用性があってなおかつトラウマ克服できるかわからないが、なんとなくこれがいいと思った。とたんにこれが欲しいという欲求が心の奥底から湧き上がってきた。


「これにしよう」


気付いたら口に出してた。でもなぜかスッキリしたような感じがした。


ピンポン!


多分マーレンさんが来たのだろう。僕は本を閉じて玄関に向かった。

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