第2話 過去を紐解く
時代を超越した魅力を体現するエルダーミスト公共図書館は、容赦なく襲いかかる風をものともせずに立っていた。渦巻く突風が建物を包み込み、その慟哭のひとつひとつが、古びた壁にからみつく蔦のざわめきと絡み合い、まるで自然そのものが図書館に隠された秘密を解き明かそうとしているかのようだった。老朽化し、風化した図書館の木製の扉は、強風にうなり、不気味な夜にきしみ音のシンフォニーを加えた。
蔦のからまる古風な建物は、きしむドアの向こうで秘密を囁いているようだった。中に入ると、リリーは好奇心で目を輝かせ、父親のデビッドは古い海運の丸太や色あせた新聞が積まれた埃っぽい棚の前に立っていた。
「パパ、これ全部信じられる?」リリーは古書の背表紙を指でなぞりながら、興奮と畏怖の入り混じった声で言った。「ここにはたくさんの歴史があり、発見されるのを待っているの!」。
デビッドはまだ懐疑のマントを羽織って、薄暗い部屋を見回していた。「興味をそそられるね、リリー」彼は父親のような警戒心を含んだ声で言った。「しかし、すべての昔話が真実ではないことを覚えておいてくれ」。
リリーは経年劣化で黄ばんだ革表紙の日記を取り出した。「彼女はページをめくりながら言った。「1892年3月5日。嵐は獣のように荒れ狂い、灯台は静かに立っていた。光は射さず、海の乙女は無慈悲な波に消えた。とても悲劇的だ!」。
デビッドは身を乗り出した。「シーメイデン号?君の曽祖父が船長だった船だろう?」
「そうよ!それに見て」リリーがページをめくると、灯台のそばに立っている厳つい顔の男の色あせた写真が目に入った。「これは当時の灯台守、エノク・ソーン。あの夜、彼は酔っぱらっていて、職務を怠ったそうです」。
デビッドは眉をひそめた。「ソーン...。聞き覚えのある名前だ」。
リリーは刑事のように目を輝かせた。「パパ、この話にはまだ続きがあるとしたら?私たちの家族につながりがあるとしたら......」。
好奇心が完全に目覚めたデビッドは、リリーの肩に手を置いた。「じゃあ、一緒に調べよう」。
外では風が吹き続け、歴史のページがゆっくりとめくられ、父と娘は自分たちの過去と絡み合った過去、灯台の影に包まれた過去へと手招きされた。
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