第6話

タキーレに二泊したのちプーノに戻り、 プーノからリマを経由してアヤクーチョへ行って、Pさんと再会しました。


プーノからリマへはクルスデルスルのバスを使い、アレキーパ乗り換えでまる一日程度かかりました。クルスデルスルは比較的ゆっくり走ってくれるし、シートもゆったりしているので、丸一日くらいなら、のんびり景色を見ながら、まあゆっくり行きましょうという気になれるのです。

途中の停留所で買ったポテチは絶品でした。バスの停留所に売ってるようなポテチなら、おそらくそれなりに回転がよくて鮮度がいいのだと思います。


Pさんは耳を見るなり、

「なんか、また黄色い汁が出てるみたいだけど」

「!!」

「キャッチャーが丸いのはいいけど、それ、銀の質がちょっと悪いのかもね」

 そうなると、またピアスをどれかにつけかえなければなりません。

「ではこちらのラインストーンのピアス(ファーストピアス)はどうなのでしょう…?」

「あの人の店のものだから、ピアス自体の銀は問題ないはずだけど。

もしかしたらキャッチャーの品質までは気にしてないのかも、前回かぶれたのは、ピアス本体じゃなくてキャッチャーに問題があったのかもね」

とのこと。

また、開けたときに先端を研いで尖らせたので、普段使いにしたかったら、尖らせた部分をヤスリで丸くするように言われました。

(爪磨きみたいなものでも削れます)。

ファーストピアスをそのまま使いたい人は、ぜひ注意していただきたい点です。


アヤクーチョには数日滞在して、懐かしい方々と再会したり、演奏会に出演させていただいたり、ラ・ミエル(はちみつの意)というおいしいケーキ屋さんでケーキを食べたり、もちろんお土産屋さんで新たなピアスを仕入れたりして楽しく過ごし、その後、慌ただしくリマへ戻りました。


リマへ行ったのは、昨年他界されたギタリスト、ラウル・ガルシア・サラテ氏のオメナーヘ(称える会)コンサートを聴きに行くためでしたが、その後、新たな地への出発が控えていため、またしばしPさんともお別れです。

旅立つ前に、Pさんが「そろそろ大丈夫でしょう」と言って、フック式のピアスに付け替えてくれて、フックピアスデビューも果たしました。

フックピアスはキャッチャーが必要ないので、寝ているときに耳を枕に押し付けてしまっても、比較的安心だといえます。

しかし、最初のうちはやはり、真っすぐ差し込めるものが無難です。

私の場合には、二か月経過し、ホールは多少安定してきていたので、もう付け替えても大丈夫だろうという話になったのでした。

「これが外れてしまったら、私はどうすればよいのでしょうか…」

「それくらい、誰かにつけてもらいなよ。っていうか、自分でできるでしょう」


コンサートが終わり、夜に宿に戻ると、ろくに睡眠もとらないまま朝の三時だか四時だかにタクシーに来てもらって(宿の方に呼び寄せタクシーを呼んでもらっているので、安全は確保されています)空港へ向かいました。

今度は外国(ペルーから見て)へ行くので、緊張します。

空港で突然「某国からペルーまでの、帰りの航空券を今すぐここで買って!」などとはちゃめちゃなことを言われたりもしたのですが、数週間後にペルーから日本へ帰るためのチケットを既に持っていることを示したら(念のためプリントアウトしたものを見せた)、その人のボスが表れてなんとかなりました。

色々とアクシデントは起こりますが、その時々の状況判断がしっかりできていれば(っていうほど大げさなものでもありませんが…)、大抵のことはなんとかなるのでした。


こんなばたばたした滞在を、口頭で「〇日~〇日までここにいます、〇日にでかけて…帰るときまた電話します」でOKしてくれて、滞在していないときには荷物も無料で預かってくれて…今更ながら、ペルーの宿のオーナーはなんと寛大だったのだろうと、感謝せずにはいられません。

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