第61話 あの女の素性を調査しないといけません オリヴィア視点

「あの女は誰かしら……?」


 あたしのメイド兼騎士のアイシャから、報告が上がってきた。


「オリヴィア様、これが調査資料です」


 アイシャから報告資料を受け取る。

 かなり分厚い資料だ。

 そうとう調べてくれたらしい。


「えーと、昨日、アルフォンスが会った女は……マリー・フォン・アルシュタイン準男爵令嬢ね」

「はい。そうです」

「で、この準男爵令嬢とアルフォンスの関係は?」

「関係で、ございますか……?」


 アルフォンスはあたしの「計画」に必要な最重要人物だ。

 当然、アルフォンスの人間関係はすべて把握しておかないといけない。


「おそらくですが、昨日、知り合ったばかりかと……」

「本当? 実は幼馴染だったとか、生き別れた義妹だったとか、そういうことはない?」

「いえ、たぶんそういうことないかと……」

「アイシャ、あなたにしては随分と曖昧ね」


 令嬢が近づいてきた、となればアルフォンスが心配だ。

 ……決して、アルフォンスが他の女に取られるだとか、あたしだけを見てほしいのに〜〜とか、そういうことはではない。

 本当にそういうことじゃないんだからね……!


「で、そのアルシュタイン準男爵令嬢の目的は?」

「アルフォンス様に盗賊退治を依頼しました」

「盗賊退治……」


 たしかにアルシュタイン準男爵領には、最近、盗賊が出没しているという噂がある。

 もし盗賊退治を依頼するなら、普通なら王国騎士団にまず依頼するはず……


「怪しいわね。もっと調べてみて」

「はい。オリヴィア様」


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