第28話 アルフォンスとリーセリアがデートだと……!(婚約者のあたしがいるのにっ! レギーネ視点

【レギーネ視点】


 レギーネがアルフォンスに発見される1時間前——


「あたしという婚約者がいながらデートなんて……」


 (幼馴染で婚約者のあたしを差し置いて……っ!)


 もちろんあたしは、クズフォンスを好きじゃない。


 だけど、クズフォンスは(一応)あたしの婚約者。


 水の魔術師様とあたしが結ばれるまでの、つなぎの関係だ。


 所詮、クズフォンスは「踏み台」にすぎない。


「でも、親友に取られるのは嫌だ……」


 最近、クズフォンスは変わった。


 まず、すっごく痩せた。


 イケメン……とまでは言わないけど、見方によってはカッコいいかもしれない。


 もちろん、水の魔術師様には及ばないけどねっ!


 あと、強くなった……かも。


 昔は簡単な生活魔法も使えなかったくせに、ガベイジ伯爵に勝っちゃうし。


 (まあクズフォンスにしてはやるじゃない?)


 決闘に勝ったことだけは、褒めてあげてもいいわ。


「せっかくあたしが(ほんの少し)認めてあげたのに——」


 リーセリアとデートするなんて!


 ブラント商会通りにある、アムザックの店に行く。


 リーセリアが昨日、そう言っていた。


「これは、リーセリアのため。クズフォンスがリーセリアに何かしないか監視するため……」


 あたしは変装魔法で、別人になる。


 髪の色も瞳の色も変えた。


「ふっふっふ……っ! 完璧な変装魔法よ!」


 (絶対見つからないわ……)


 あたしはクズフォンスとリーセリアの跡をつけていく。


 これはストーカーじゃない。


 リーセリアを守るためだ。


「ちょっと……っ! あたしのクズフォンスに近づきすぎよ! もっと離れて歩きなさいよ!」


 やたらクズフォンスとの距離が近いリーセリア。


 (キモブタに襲われたらどうするのよ……?)


「あんなに楽しそうに笑って——」


 2人とも本当に心から楽しそうで……


 (すっごくムカついてきた……っ!)



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