第22話 どうしてモブが選ばれるんだよ……っ! ジーク視点

【ジーク視点】


「王族寮の近衛騎士が殺されたらしい……」

「マジかよ? 暗殺者か?」

「全員首を切られて……」


 王族寮の近衛騎士が殺されたことは、すでに学園中の噂になっている。


 (俺のことは、バレてないようだ……)


 偽装魔法で、姿を隠していた。

 

「うわ……グロ」

「かわいそうだよね……」

「マジで犯人は許せねえ」


 近衛騎士は、王族を守る名誉ある職業。


 王国の人すべてに、尊敬される存在だ。


 そんな近衛騎士を全員殺したことがバレたら、俺は叛逆罪で処刑される。


 しかし。


 俺は悪くない。


 (悪いのは、アイツだ……)

 

 すべては、あのモブ悪役のせいだ。


 アルフォンス・フォン・ヴァリエ侯爵。


「全部、ぜんぶ、アイツのせいだ……っ!」


 俺は拳を握りしめる。


「俺はガベイジ伯爵に賭けるね」

「いや、ヴァリエ侯爵は実力を隠してるに違いない」

「どっちが勝つかわからないな……」


 学園中で、決闘の賭けが始まった。


 決闘イベントは、ジークとガベイジ伯爵が戦うはず。


 なのに、完全にアルフォンスに乗っ取られた。


 (アルフォンスは、転生者だな……)


 アイツは、シナリオの先を知っている。


 主人公のジークに、取って代わるつもりだ。


「絶対、殺す……」


 もともと、アルフォンスは途中で死ぬキャラだ。


 本来のシナリオ通り、死んでもらなわないといけない。


 (どうすればいいか……? あっ!)


「決闘で、アイツが負ければいい。あわよくば……」


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る