知らないとは言わせない

 そうね。

 プレイスマッシャー1の時代から、予兆はあったわ。

 グラフィックの性能と技術が向上したの。

 キャラクターは剣の一振りで、大爆発を起こすようになった。

 魔法は、もっと派手になったわ。

 あり得ないの。

 あんな怪獣大決戦の後には、森なんか吹っ飛んでるわ。

 ゴブリンなんて、ブロードソードでいいのに。

 何で火炎斬り放ってるのよ。

 火を纏ってると強いの?

 私の知ってるゲームは、棍棒に火炎武器の魔法をかけると、戦闘終了後に燃えカスになっちゃうのよ。木だから。


 +


 いい?

 ギャルゲは、ひっそりと売れてたの。

 ギャルゲRPGがゲームの到達点だったのよ。

 ヒロインに力を入れるべきだったの。

 差別化という意味よ。

 ギャルゲだからヒロイン8人は欲しいわね。

 誰を使っていいか分からないわね。

 いいとこ4人パーティーだから。

 もちろん主人公は固定よ。ファイター系。

 あー。逆に言おうか。

 最適編成。

 人気ヒロインが3人。

 残り5人は地雷。

 こうなっちゃうの。

 どんなに素晴らしいゲームでも、これが限界なの。

 これがゲームの飽和点だったのよ。

 ギャルゲなのよ。

 ギャルゲファンって一杯いるけど、お気に入りの作品って被らないの。

 グラフィックが向上すればするほど、ゲームキャラクターたちは、ゆるキャラになったの。

 ドット絵の方がシリアスだったの。

 あのね。

 初期が1番面白いのよ。

 地雷掴まされても、ネットがないから真エンディングを目指してやり込み続けたの。


 +


 この長文タイトル、いい加減にして。

 2010年代には、すでに言われていたわ。

 あのね。

 能力バトルの能力名になるようなタイトルをちょうだい。

 それが「格好いい」ってことなの。

 格好良くないのよ。この長文タイトル。

 どうせエタるのよ。素人にはそれが分からないのよ。


 +


 あー。

 インターネットが、お手頃過ぎるの。

 皆ネットばっかりやって、本なんて見ないに決まってるわ。

 つまり。

 ネットの価値を暴落させればいいの。

 嘘情報流してたとか。

 裏で顧客情報売ってたとか。

 仕事以外ではネットに触りたくもない。

 そんな大事件が起きればいいの。

 あー。

 私、オリーブオイルって検索したら、ツブヤイターにオリーブオイルの広告出て来たことあるわ。

 アカウント全部紐づけされてるわよ。


 +


 今になると信用出来ないのよね。

 こんな便利アイテム無料で使わせてくれるなんて。

 どうやって集金するつもりなのかしら。

 怖いのよ。インターネット。


 +


 うーん。

 公正世界仮説だったかしら。

 これね。

 因果応報って言うんだけどね。昔の言葉で。

 あー。

 負け組はネットにすら来ないのよね。

 文章が書けるって「エリート」なのよ。

 読書感想文で泣いた経験はある?


 +


 あー。

 文章の書き方を教えましょうか。

 ネカマやってごらんなさい。

 ギャグではないの。

 紀貫之の土佐日記って知ってるかしら。

 あー。あのね。

 自分が責任を取らされると思うから筆が進まないの。

 他人になり切ればいいの。

 俺の意見ではありません。このキャラクターの意見です。

 逃げ道作ればいいのよ。

 嘘松でいいの。

 いい? 本当のことなんて読みたくないのよ、皆。

 誇張が読みたいの。

 これが文学なの。


 +


 あのね。

 評論家の方が小説家よりレアなの。

 評論の方が難しいのよ。

 いや、だから評論家になれと言ってるわけじゃないわ。

 逆よ。逆。


 +


 あのさあ。

 作品名は言えるの。投稿サイト発の小説。

 作者名言える?

 うん。

 アレよね。

 作者名憶えてもらえないと、2作目買ってもらえないから詰みだと思うわ。

 アレとかアレの作者名言える?


 +


 あー。

 人気のある物からパクる?

 いやー。

 逆だと思うんだけど。

 人気のない物からパクるのよ。

 あー。

 もっと言えば。

 落ち目の「業界」からパクるのよ。

 あのね。失敗談が見たいの。

 盛り上がってる界隈ってネタがないのよ。

 王道のワンパターンなのよ。

 落ち目のコンテンツは、地雷作品が一杯あるの。

 コイツらを餌にすればいいのよ。

 私はエロゲをパクリまくってる。


 +


 あー。

 ヒロインか。

 やっぱり100人は欲しいわね。

 一夫一婦ラブコメ?

 女ですらやらないわ。

 あのね。

 恋のライバルがいなかったら、どうやって話を転がす気なの。

 参考までに教えて。


 +


 あのね。

 トラブルが見たいの。

 でも、ヤンキーは要らないの。

 つまり。

 ヤンキー娘にモテモテの真面目くん。

 これがラブコメの最適解なの。


 +


 あのね。

 トラブルを起こして。

 何故、お話が順当に進んでいるの?

 はあ。

 小説投稿サイトの読者はトラブルが嫌い?

 はあ。

 あー。

 それ。

 魅力のあるキャラが書けてないだけだわ。

 感情移入?

 それ素人を騙すための嘘よ。

 と言うか、「悪い客」なの。そういう連中。

 作者を自分の応援団だと思ってるのよ。

 キャラクターはお前とは違うのよ。

 いい?

 優良顧客とは「キャラクターを応援してくれる」お客さんよ。

 キャラクターの人生が見たいの。

 つまり、自分をしっかり持ってる人が、いい読者なの。

 能無しは、キャラクターが酒池肉林してる所を見たがるわ。

 同人でやって。

 そういうのは公式ではアウトなの。


 +


 あのね。

 トラブルを起こして。

 読者が嫌がる?

 あー。それね。

 お前が素人だから信用されていないの。

 いいのよ。

 信用なんて後で勝ち取れば。

 あー。

 困るのよね。

 何この無双って。

 国士無双が語源よね。

 つまり別の国にはいるのよ。

 せいぜい国家No1。

 あー。

 世界最強か。

 そんな奴の物語書いて何するの?


 +


 小説が書きたいか。

 源氏物語でも参考にする?

 うん。

 貴族を主人公にするか。

 これテクニックなのね。

 まあ、一般人なんか主役にしても、学生かサラリーマンで終わりよ。

 ネタがない。

 かと言ってな。

 貴族は政略結婚しかネタがないのよ。

 貴種流離譚って知ってるかしら。

 家出させる。

 あるいは国を滅ぼす。

 はあ。

 大冒険だけど。

 古っ。

 読む気しない。

 あー。

 そうね。

 貴族ね。王様ね。王子様ね。

 婚約破棄が大事件なのね。

 金はあるんだから、どうせ次が見つかるに決まってるのに。


 +


 そうね。

 本物の金持ちの世界を知らないのね。平民って。

 あー。

 ふんふん。

 妄想を全開にすると、こんな耽美な世界になるのか。

 あのね。

 貴族って軍人なのよ。こんな、なよなよした奴らいないの。

 日本人の妄想よ。これは海外の映画スター。昔はマッチョがスターだったんだけど。今はイケメンがスターになっちゃった。

 あのね。あり得ないの。

 日本でも支配階級は武士だったでしょう。

 文人が支配者?

 これ科挙のある中国。

 西洋人をキャストに使って中国の物語を書いてるのよ。

 いないんだってば。

 弱い貴族なんて。


 +


 あのね。

 婚約破棄されたら、相手の家を滅ぼせばいいのよ。

 財産根こそぎ奪え。

 貴族って戦争が仕事なのよ。

 これがリアルナーロッパよ。

 うん。

 間違ってるわ。お前たち。

 うん。

 婚約破棄?

 そもそも貴族の結婚って「同盟」。

 敵がいるのよ。

 だから組むのよ。

 敵は王様よ。

 王様 VS 貴族なのよ。 

 生半可なことでは貴族同士敵対しないわ。

 それに。

 王族と貴族の結婚?

 はあ?

 あのさ。

 えーと。

 総理大臣と平官僚くらい違うわ。

 普通はない。

 王様は国を守るのが仕事よ。

 つまり、国内の最高武力を持つ貴族。

 もしくは敵に回すとヤバイ隣国の王族。

 〝ピー〟の相性が悪そうとか、そういう理由で婚約破棄出来るわけないでしょう。

 あのね。

 裁判ないのよ。支配者の世界。

 戦争なの。

 裁判で片を付けるのは「使われる側」なの。人民なの。

 人民を裁判の判決に従わせるには武力が要るの。

 支配者は武力に従わないの。国際法廷なんてないの。

 少なくともナーロッパにはね。

 国同士が揉めたら戦争よ。貴族同士が揉めても戦争よ。何の罪もない令嬢さんに一方的に婚約破棄?

 あのね。

 そんな暗君、向こうの使用人に毒殺されるわ。家を潰す気かって。


 +


 中世なら、トラブルは起こした奴は埋めればいいの。

 こっそりと。あるいは堂々と。

 殺人罪があるって、ありがたいことでしょう? 隣人が殺人鬼かも知れないって怯えなくて済むのよ。

 豊臣秀吉は人気がないけど、刀狩りはいいことをしたと思うわ。

 アレは武士に逆らうなというよりも、農民同士で戦争をするなという命令なのよ。

 あー。

 まあ、封建時代だからね。

 豊臣秀吉、名君と言い切っちゃっていいと思うわ。すぐ戦争起きたけど。


 +


 感情移入か。

 これ、キャラが「浅い」ってことなのよ。恥なのよ。

 ふむふむでは駄目なのよ。

 はらはらなのよ。小説は。

 でないとエンタメではないの。

 うむうむは駄目なの。

 上から目線で見下されてるのよ。キャラが愛されてるって。


 +


 あのね。

 英雄に感情移入する奴はいねえわ。

「いやー、織田信長くんの気持ちは分かるなあ」

 とか言ってるオッサンいないでしょう。

 なのよね。

 現代人って古代人に勝てないのよ。

 パワーこそ全ての世界に生きてるから。

 パワーのない主人公なんて要らねえのよ。

 それ、ただのモブだわ。

 昨今の流行りは「サブストーリー」なのよ。

 モブの人生なの。メインストリームではないのよ。

 本当にな。

 ギャルゲの方がマシ。


 +


 女は結婚したいの。

 でも、どの男も似たり寄ったり。

 あー。

 高校くらいで拾った男と結婚出来れば勝ち組ね。

 一応ラブロマンスだと言い張れるから。

 高校時代の同級生。

 これ、女友達に対しては「ブランド価値」があるの。

 ギャルゲは女の子を攻略する物語だけど。

 誘い受けって知ってるかしら。

 ギャルゲは、女の子が攻略「されてやる」物語でもあるのよ。


 +


 あのね。

 OLになってから結婚すると「愛人経験あり」の烙印を押されるの。

 上司と。

 初体験は部長で結婚は同期となの。

 OLになってから結婚するって負け組なのよ。

 ギャルゲは女にとっても理想だわ。

 理想過ぎて絶対ないけどね。

 本当、世間の目って厳しい。

 かと言って学生の内に20代リーマンと結婚するわけにもいかないの。

 ガチロリコンだからよ。


 +


 ああ。

 ギャルゲ主人公みたいな男、確かに欲しいわ。

 両親が海外出張? どんなエリートよ。

 欲しい。ああいう男たち。

 どこに行けば買えるの?

 国立大ストレート合格して、将来は官僚になるわ。

 国の問題を片付けて次官になるのよ。

 定年まで安泰。

 ねえ。

 ああいう男、どこで買えるの?

 欲しいのよ。


 +


 あー。

 財閥ってあるわね。

 いえ、あったわね。

 とんと聞かない。この時代には。

 あれねー。

 何だったのかしら。

 ボイロック、分かる?

「金本位制度」

 あ、紹介するわ。

 私の弟のボイロック=オクロック。

 母親は違う(予定)なんだけどね。

「金を刷り過ぎると金融不安が起きる」

 はあ。

 それで?

「金は財閥が稼いだ金だ。断じてハイパーインフレなど起こらない」

 はあはあはあ。

 ん?

「マネーロンダリングなんだよ。国が刷った金の」

 非道いことを言うわ。

 でも、好き。

 可愛いのよ。この弟。

 クソホストみたいに、優しい言葉かけて来ないの。

 持つべき物は家族よ。

「ただし、ジンバブエがへまをした。もう財閥論法では国民を騙せない」

 はー。

 あらら。

 それで財閥ってなくなったのか。

「仮説Aだ」

 そうね。

 まあ、面白ければ、それでいいのよ。

 そうか。

 ジンバブエのせいで、財閥の御曹司っていなくなったのか。


 +


 ホストか。

 あー。

 さっぱり分からないのよ。

「金持ってるだろ」

 お前が貢いだ金でしょうが。

「そこまで考えられないんだ」

 え。

 えー。

 同じ女として恥。

 どういう教育受けてるのよ。

 やっぱり女に教育って無駄かしら。

 さっさと結婚させりゃいいのよ。

「他の先進国から叩かれるんだよ」

 非道いわね。

 外国が敵なのか。

「まあな」

 うーん。

 この話題やめ。

 闇が深過ぎる。

 あー。

 そうか。

 婚約破棄って。

「ストップだ」

 金がなくなってホストから――

「ストップだ」

 もう店に来るなって――

「ストップだ」

 どうしよう。

 ヤバいわ。

 ナーロッパを馬鹿にしてる場合ではなかった。

 ねえ、ボイロック。

 私が出馬したら何票くらい獲れると思う?

「人民を救済しようとするのはやめろ」

 気付いた以上は放っとけないのよ。

「無駄なんだ」

 あのね。弟。

「世の中には、喰う側と喰われる側の人間がいる」

 あのさ。

「ホストも、アイドルになれなかった負け組だ」

 ボイロック……。

 ああ。

 分かってるわ。

 私には、世界を変える力なんてないのよ。


 +


 アイドルか。

 あー。

 えー。

 アイドルってブスの代名詞でしょう?

「言ってやるな」

 困るのよ。

 アイドル物のエロゲって――

「嫌ならやるな」

 いや、可愛いのよ。

 でもなー。

 あんな悪どい媚びでキモオタ騙した女の子、お嫁さんにしていいの?

「嫌ならやるな」

 いやさ。

 私、キモオタって単なるパンクだと思ってたのよ。

 ポップな歌手が嫌いだ。

 アイドルソングなら聴いてやる。

「はあ」

 そういう、ちょっとズレてるけど、硬派な人たちだと思ってたのよ。

「んなわけあるか」

 握手券に数十万?

 え?

 ガチで、あの顔に惚れてるの?

「やめなさい」

 いや。

 美人って私みたいなのを言うのよ。

「傲慢である。英霊サクリファイス。我が姉よ」

 うるさいわね。英霊メメント・モリ。

 我が弟よ。

 だからね。

 キモオタってファッションでなくて、アイドルにガチ恋してるって証明されたの。

「あれ、やらせの可能性もある」

 えー。

 それはない。

「そう思いたいなら思っとけ」

 どうしてアイドル風情にガチ恋出来るの?


 +


 やらせか。

 えー。

 ウチの事務所に、もっと金を落としてくださいって?

「芸能界なら何でもありだ」

 いやー。

 そこまで危ないことするかなあ。

 うーん。

 小説投稿サイトか。

 皆、TVの脚本書いてるのね。

「姉ちゃん」

 はーい。

 あーあ。

 金が欲しい。

 この世に、わなびが私1人しかいなければいいのに。

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