第6話 騒がしい朝
予行練習という眩しい日差しにさらされつづけた長い1日が終わった。帰宅すれば、どっとのしかかる疲労のままに床に倒れ込み、目を閉じた。もう一日あると考えるのはとりあえず避けよう。帰宅部の自分にとっては予行練習は当日に筋肉痛を起こすためだけの時間でしかない。もちろん今年も例年のようにその脅威にさらされることになるだろう。
いつものアラームにうならされながら朝起きると、キッチンからいい匂いが
学校に着くと早くも多くの人が集まっていた。ハチマキを巻き合う姿や入念に準備運動をしている人たちがあちこちで見られた。教室の中の異様な景色を見て、教室の入り口で立っていると中から雫ちゃんが駆け寄ってきた。彼女の目はいつもの朝の眠たそうな目とは変わって冴えきっている。
「おはよう。雫ちゃん、可愛いね」
ハチマキを着けた彼女はいつもより頼もしくも可愛いかった。
「可愛い? やった! じゃあ
机の上の僕のハチマキを手に取りお
「ありがとう!」
「ふふ。私は香くんのお姉ちゃんなんだから、気にしなくていいんだよ~」
その言葉にこの前のことを思い出しドキッとさせられた。週末のことを考えていると後ろから声がした。
「二人とも可愛いね!」
「雫ちゃん、おっはー」
「
伊藤さん、か。いつも雫ちゃんと一緒にいるから知ってはいる。
「篠田くん? 可愛いね、それ。雫ちゃんにやってもらったの?」
コクリと頷く。
「そう! やってあげたんだよ」
「いいな~! 私もやってもらいたい!」
「それお母さんに朝早くから時間掛けてセットしてもらったんでしょ? それも可愛いよ」
そう雫にいわれ
炎天下での長い開会式が終わりやっと種目に入ることになった。最初の種目は僕ら2年生の台風の目。メジャーな競技だ。端的に言えば、四~六人程度を一組として、数組に別れて、順番が来た組は太い棒の前で横並びになりお腹の辺りでその棒を抱えて走る競技。途中、コーンなどの障害物で内側を軸に回転することから台風と呼ばれている。この競技が今回の体育祭一酷な競技だと僕が思うのは、組分けがあるからだ。今回は四人×九組での実施になった。四人組は男女二人ずつで構成される。僕は組分けの際、いつものように誰も誘えずに一人でいると学級委員の森さんが気を
競技の結果は四クラス中二位となんとも言い
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