フェミニズムとポリコレをめぐる論争はなぜ醜いのか？

第45話 托卵は一夫一婦制における女性の遺伝子戦略

　托卵のどこが悪いの？というかなりキャッチーなネット記事を見かけました。一般的な倫理・道徳や法体系で言えば「何言ってっるの？」ですけど、それを抜きで考えてみましょう。

　遺伝子戦略で考えましょう。男も女も自分の遺伝子をできるだけ多く残したいという生物学的な本能がインプットされています。つまり生存可能性が高い優秀な遺伝子を求めます。

　としたときに、男性と女性の思惑を考えましょう。男としては遺伝子をできるだけ多くの女性にばらまく戦略が一番です。１人の女性が産める数は限られます。種をまけるだけまく。一人の女性に拘束されないのが一番です。だから、男は浮気をします。例外はありますが精神性は関係ありません。男性の風俗が成り立つ理由がこれでしょう。女性が誰でもやれればいいのです。

　ですから、数を産むため、育てるためにはあまり一人の子供に拘泥できません。母より父が子育てに無関心な理由です。

　ですが、一夫一婦制などの社会的な制限がある場合の戦略です。特に弱者男性の視点に立ちましょう。パートナーとして固定される女子をまず確保することが重要になります。もちろん、優秀な遺伝子で健康で栄養状態が良く、出産しやすく安全に育てられる女性がいいのですが、とにかく相手がいることが一番です。ですので民主主義で一夫一婦制は大衆＝弱者が主権者である以上、崩れることはありません。

　そうなったとき、１人を選ぶなら、若くて（今後沢山産める）、胸が大きくて（乳がでる）、尻や太ももが立派（骨盤が発達し、栄養状態がいい）な女性が好まれる理由がわかります。これが出産・育児に関しては優秀な女性となります。

　一夫一婦制ですと、誰か女性に産んでもらって、別の安全に育ててくれる女性を探すということは男性にはできません。貴族社会の乳母のような存在がいれば別ですが、そもそも貴族社会は一夫多妻制です。

　かならず女性は自分１人で子育てしなければならないかと言えば、コミュニティの中で利他的に他人の子を育てる社会のほうが、自分自身の子の安全も高まるということはあるでしょう。コミュニケーション力も重要になるかもしれません。性格が良い女性の方が生存・出産・育児能力は高いでしょう。

　一方で女性です。一夫一婦制を無視すれば、男性は育児にはあまり寄与せず、食料を数年は運んでくれる程度の存在です。いわゆる４年で恋愛が覚める理由とされています。男女とも様々な種類の遺伝子の組み合わせがあったほうが、環境の変化に適応できる可能性が高まります。ですから、生存能力・狩猟採集能力が高い人間が好まれます。

　現代社会で言えば経済力ですが、あまり経済力を重視しない若い時分は体格・スポーツ・見た目中心になる理由でもあります。原始的な優秀さということですね。これは結果的に合理的思考ができる成人後も、引きずる女性は多いでしょう。そこに見た目が関係してくるのでしょうが、見た目は少し論点が違う可能性があります。見た目については後述します。

　一方で、安全に育てる力は、あまり戦闘的でなく生き残る可能性が高い人間です。もちろん稼ぐ力は重要ですが、子供を見てくれる存在がいいのでしょう。浮気をしないおとなしい相手が結婚相手では良い理由です。いつまでも餌を持ってきてくれる保守的な相手が理想のパートナーでしょう。セックスとの対価で自分と子供の安全安心を確保してくれる男が一番適しています。

　ただ、こうしてみると、実は女性から見ると、一夫一婦制でも原始的な本能でもあまり変化がない戦略となります。

　男性と同じく１人まず得ることが重要かと思いきや、女性の戦略として、子供を産み育てる基盤である男性と、遺伝子をもらう男性を分けるという戦略がとれます。これが不倫にはまる理由です。不倫の方がセックスが気持ちいいし、生でやりたがる理由です。出産に関し托卵戦略を女性が取るのは合理的なのです。

　ところが、この「托卵」戦略は一夫一婦制の中の女性の戦略としては合理的でも、男性からは許しがたい行為です。なにせ自分の遺伝子を残せません。自分の稼ぎというリソースを他人の遺伝子のために使うことになります。

　ですから、男性の方が女性の貞操に厳しくなります。女性からすると男性が他で種をまこうが、パートナーとして自分を保護してくれるなら問題ありません。

　このように一夫一婦制の中では、女性の遺伝子的な本能でいえば「托卵」というのは、きわめて自然な行為になります。

　例外として愛人なども考えられます。貴族社会のように一夫多妻制なら女性としては金がある強者なら自分の子を安全に育てられます。一般的な男性数人分以上の稼ぎがあれば、女性から優先的に選択されるでしょう。１人の女性を愛する男性より、１人で多数の女性の面倒を見られる男性の方が生活力があります。

　で、肝心のルックスの事には触れませんでしたが、よくわかりません。仮説としては、原始的な意味では見た目がいい＝健康あるいは生活力高いという意味だと思います。

　女性から見た男性は攻撃性が強そうな顔、健康的な顔が見た目でカッコイイと判断されるのかもしれません。ハゲとデブは場合によっては、老化と狩猟能力が低いとみなされるので嫌われているとも言えます。

　男性から見た女性は、胸や腰回りと同様、優しい顔は丁寧な育児ができると見えるのでしょう。

　あるいは思考回路が、ルックスがいい＝社会的な評価が高い＝優秀な遺伝子であるという風になっている可能性があるのかなとも思います。