第41話 性同一障害 広島高裁の手術不要判決の件

 性同一性障害の生まれは男性、自認は女性の人が戸籍を男から女に変更する際、手術が必要という規定が、憲法違反ではないかと争われた裁判で、広島高裁の判決で違憲認定されました。


 この流れは当然で、優生保護法による障碍者への不妊手術裁判において20年以上さかのぼって、原告適格があるかどうかどうかの判決を見ればわかる通り人権保護に関しては裁判所は現状かなり進歩的です。そもそも普通に考えて法律で生まれながらの身体にメスを入れることを強要するのはどう考えても憲法違反です。


 でまあ、これで男が風呂に入ってもわからない云々の状態ということになりますが、これは言ったもの勝ち的な判断とは全く違います。


これは日経の記事からの抜粋です。

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2人以上の医師から性同一性障害の診断を受けた上で①18歳以上②婚姻していない③未成年の子がいない④生殖機能がない(生殖能力要件)⑤変更後の性器部分に似た外観を持つ(外観要件)――を全て満たせば、家裁の審判を経て変更が認められる。

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という話で、医者の裏付けがある状態のことをさします。もちろん、医者の診断がどれほど正確か?という問題はありますが、要件に医師の診断があることで、私は特にこの件で問題はないと思います。


 つまり、今回の判決で「手術」が必要だった2つの要件、生殖能力をなくす(睾丸・卵巣の摘出)、外観要件(性器の形状を変更する)が違憲となりました。

 ホルモン治療などで生殖機能が減退させていることを今回の被告は手術不要の要件にしたようですが、このホルモン治療による生殖不能を必要とするのも違憲です。


 私は「性自認」に関しては、医者の診断がある限り、一種の障碍者として認める考えなのでこの判決は当然のことにしか受け取れませんでした。

 忘れてはいけないのは、性自認の場合は自分の心と体のギャップに苦しんでいる「病気」の人たちだということです。その状態を是正するのに「意にそぐわない手術」の強要はあり得ません。


 ただ、実務的に困る人は理論上は出てくると思います。俺は戸籍上女だ、と言って女風呂に入る。実際事件として起こっていますし危険性を想像することはできます。

 ですが、上で述べた通り自分が障害だと認識して医者の診断を受けて戸籍を変更した人は、そんな目立つことはしないと思います。したとしても、女性には欲情しないわけです。まあ、性自認女のレズという場合もあるでしょうけど。


 ただ、女性の権利保護という公共の福祉の問題が出てきますので、女性が安心して公衆浴場や温泉に入れないという状況は考えられます。なにせ区別がつかない状態ですから。これはプライドの問題にもなるし、それこそ憲法違反になりそうなので強要はできませんが、そういう施設を利用するときに何等かの身分証明は身に着けた方が無難かなとは思います。


 ですので、本来的には手術をしてもらう方がお互いのためだとは思います。思いますが、強制することはできません。そこをどうするかで混乱はあるでしょう。特に厚生労働省の女風呂に関する通達は外見というか遺伝子判断の様ですけど、多分これも違憲となるでしょう。


 今後は混乱するようなら全裸の公衆浴場は禁止にして全部水着着用の混浴にすればいい話です。シャワー室だけ個室にするとか。

 あるいは私はこれが推奨なんですけど、全部全裸混浴にすればいいと思います。羞恥心や性欲は習慣でしかありません。男性側は数年で裸だけでは性欲を感じなくなると思います。女性側も開放的なファッションを楽しめるようになりますし、見るハラとかも問題ではなくなるでしょう。


 その問題はこれからですけど、憲法の理屈から今回の判決は女性の権利を侵害しないものだし、性自認が女性なら女性にそもそも含まれるのです。性指向、性嗜好の問題とは区別した方がいいでしょう。






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