第34話 ゲイは遺伝で決まる?決まらない?

 同性愛が遺伝するのかどうかという研究があって、遺伝で決まることが分かっている…と、脳科学者になるのでしょうか、中野信子さんという方の動画を見ました。「へー」っと思い、裏付けをとるべくネットで調べました。


 たしかに山元大輔教授という方が、ショウジョウバエの研究で1991年に発表しています。

 ですが、最近になって国際的なグループ(マサチューセッツ工科大とかクイーンズ大学のチーム)によると、人間についてゲイの遺伝的な証拠は得られなかった…としています。

 そのほか、遺伝子が環境ホルモンで傷つけられるとゲイになるという説もあるようです。


 さて、本当のところはどっちなんでしょうね?イルカには同性愛があり遺伝だ、という論文もあります。ただ、一方でゲイ(男性同士)なら、子孫は残せないから遺伝のはずはないという意見もあり、なるほど…と思わなくわないです。まあ、劣勢遺伝子の可能性もありますけどね。


 それと人間の思春期の同性思慕…疑似的に同性と恋愛状態に陥ることともありますから…ただ、それが遺伝なのか本能なのか人間故の潔癖症なのかすらわかりません。

 動物の同性愛行動が疑似的な練習の可能性もあります。ボノボとか有名ですけど、結局ボノボはバイみたいですね。メス同士の方が多いみたいですし。

 ボノボもイルカも知能が高いので共通点はありそうですけどね。サルなどでボス制をとる動物が性衝動を抑えられず同性を代替にすることもあるでしょう。そもそも動物の性衝動・性行動を人間と同列の同性愛と呼ぶのはおかしいという意見もあります。


 さて、調べてみるとわかると思います。それぞれ単独で読むと、なるほど、とそこで納得してしまいそうです。ですが、何個か論文や記事を読むと、疑問が生じます。言ってることがバラバラじゃん、と。つまり、多分ですけど研究結果に「こうあるべき」というバイアスが入りすぎて、正しい意見が形成できないです。本当にCO2…環境問題に似てるんですよね。結論ありきじゃんとしか思えません。

 動物の同性間の性行為が人間と同じ意味なのかすら読み取れませんでした。結局、どの論文も意見も採用したい意見だけ採用している感じです。


 まあ、そう考えると無理無理人間に当てはめるのが無茶なのかもしれません。例えばショウジョウバエの遺伝子の話は、ショウジョウバエについてはちゃんと結論が出ている研究で、それを人間に拡張したところに論理性がないのかもしれません。


 あるいは、国際チームの評価は、純粋なゲノム的生物学的な分析でなく統計的な手法が強い感じがしました。ですので、社会学的なノイズ(文化・言語・環境など)を排除しないで、あえて結論を濁したのかもしれません。そう、断定の仕方が非常に不自然なんですよね。科学的態度でいえば「ない」証明はできません。見つからなかったというべきです。そこが不自然だなあという気はしました。


 私に理解力がないのかもしれませんが、つまり遺伝なの?遺伝じゃないの?というのがわかりませんでした。私としては遺伝的要素もあるけど、人間は後天的に言葉や環境で脳に性的嗜好のゆがみができるので、そのケースもある。その行動の違いを定義しないで、乱暴に分析しているように見えました。


 ひょっとしたら、答えは誰かは本当はわかっているのかもしれません。が、遺伝子で性的嗜好が決まると困る人がいるのでしょうか。なんか、この論文のとっ散らかり方とか各方面の意見のバラバラさは、本当に環境問題に非常に似ています。


 冒頭の中野信子氏の説は上智大学の講座というユーチューブ動画で見ましたが、あれを見るとゲイは遺伝で決まると思ってしまいます。氏の講座は非常にわかりやすく耳障りもいいのでつい聞き入ってしまいかすが、要するに単独の意見を信用しないことですね。大学講座なので氏の見解の裏を取るくらいはするといいんですけど…どれくらいの人が確認しましたかね?







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る