第32話 私的見解2 人権と公共の福祉

 私は人権というのは無制限に認められた、生まれながらに与えられたものだとは思っていません。


 国家に属さない無人島にポンと1人置かれたことを考えれば当然でしょう。生存権は誰も保証してくれません。国家という枠組みが前提で人権というのはあるのです。

 一方で、王政や独裁制、貴族政、封建性の場合の主権と対立する概念として、国民主権という考えがあります。私は人権とはこの国民主権の1つの側面だと思っています。つまり、群れることで誰か特定の人や世襲で権力が握られることを防ぐ、あるいは握られても権力を制限する制度の中で、それの制度を維持することで分配される報酬が人権なるものの正体です。


 つまり、群れることで勝ち得た民主主義の成果物として人権というものがあるのです。群れるためには最大公約数的な価値観の強制は必要だし、個人の主張は制限されなければなりません。つまり、無制限の個人主義などありえない、どころか公共の福祉を優先した上で、そのおこぼれとして人権はあるのです。


 そして、もう1つの側面。資本家に対する搾取に対抗するために大衆が群れて労働を人質にとった結果、勝ち得た成果もまた人権です。これは行き過ぎた資本主義、リバタリアニズム的弱肉強食に対抗する概念です。人権とは本来働かない権利、あるいは働きすぎない権利、労働に対する適切な対価をもらう権利なのです。

 

 つまり、人権というのは大衆から見れば、群れることで公権力から身を守っているし、資本主義の搾取を許さない自己防衛です。


 群れることで最大化するのが人権ですから、無制限の個人主義は分断を誘発し、公権力や資本家の権力の拡大に寄与します。それが個人主義的人権、LGBTQやジェンダー・フェミニズムをを公権力が言い立てる理屈です。仮想的である東西冷戦もなくなり、国民が団結して国家や資本家が敵だと言い出すと困るわけです。群れさせないほうが、国家・資本主義に利する形で働きます。そのためのLGBTQごり押しのような気がしてなりません。


 ですから、LGBTQによる分断に目くらましされてはいけません。大衆の結束=価値観の共有=公共の福祉が人権に優先するべきだと思います。公共の福祉は人権のコンフリクトを調整するようなものではありません。公共が円滑に運営・維持されることで、人間の生存権も自由権も結果的に一番最大化するのです。


 一方で、国家と大衆、資本家と大衆はWINWINにもなれます。私が出産・育児を女性の義務とすべきという思想は、この国家の安定と発展こそ国民の人権にとってトータルで一番プラスになるということです。個人が優先すれば、国家は崩壊します。本来、共通の価値観のもと、社会優先・公共の福祉優先の中で、大衆に利する形で人権を最大化するのが、国家・資本家・大衆が皆発展できる構造なのです。

 それなのに目先の分断を図ってそれぞれが衰退しつつあります。それが今の世界の状況ではないでしょうか。


 また、資本主義的搾取=働く権利であると思っています。働く権利とは資本家の都合がいい幻想で大衆を安く使い倒すための幻想です。国家が社会福祉をさぼるためのいいわけです。ですので、私はなるべく働かない権利を重んじます。


 他のエッセイでマズローの要求段階がさも真実のように語る資本主義的な刷り込みの危険性を述べたことがあります。働くことが権利だ。それは資本家にどれだけ都合のいい概念か疑ったことがあるでしょうか。

 人間性とは社会を大事にすることと、働かないことなのです。その逆の価値観ばかりがクローズアップされていることに非常に危機感を覚えています。もちろん、最低限の労働は生物として生まれてきた以上当たり前です。ですが、必要以上に消費をあおられ、働かされていることは心の貧しさに通じてゆきます。


 本来豊かな暮らしとは、余暇であり無駄であり勉学でありコミュニティーです。そして未来を作るのは家族です。今の個人主義的な人権って全部これに反対してませんか。その結果、皆生きづらくなっていませんか?

 まるで男女を分断することを目的にしたような働く権利、家族の崩壊の推進、男女の不信を言い立てるLGBTQやフェミニンズム、ジェンダー論は私は全く賛成できません。


 AIや自動運転などに関心があるのは、資本家と大衆が仲直りできるのが、効率かでありオートメーション化だと思っているからです。


 以上の理由から女性の権利を言うなら、私は男女が寄り添って同じベクトルを目指す。家族家庭の充実をなるべく働かない状態で実現することが正しいことだと思っています。


 それと働く権利は女性の権利というのが、どうも女性の人と一緒にいたがる性質を逆手に取られているように感じてしまいます。本来、村社会的井戸端会議的なあるいは親族的な地域コミュニティーで日々他人とかかわることで、女性の本能的な噂=情報収集による家庭の安全という行動原理が満たされていました。


 それが解体して核家族化したから、マンションでコミュニティが崩壊したから、女性は外にでる理由を仕事に求めているのでは?と思います。女性が出世したがらない理由もその辺にあるのでは?と思います。あるいは資本主義的洗脳で消費こそ美徳が女性を変えてしまったのかもしれません。

















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