第30話 AEDセクハラ騒動 ツイフェミの功罪
かなり有名な話なので知っている人も多いでしょう。2017年12月にある女性が
(以下引用)「社内アンケートの結果『男性にされたらセクハラで訴える』という女性社員が多かったため、女性社員が倒れていたときの救助活動一切を女性にさせ、男性しかいないときは女性を呼び出すか、契約書に本人の署名をしてもらってから救助する。という会社に遭遇した」(引用終わり)
という投稿をX(旧ツイッター)にしたそうです。
さて、これが大騒動になりました。ツイフェミVSオタクという構図を超えて急速に拡散しました。そして、このツイートをした本人は10日ほどでデマだと撤回したそうです。
が、不思議なことにこれに賛同するようなSNSやネット記事が乱立します。どうも女性側に賛同する意見が多かったようです。それに対抗するように男性側もリスク回避のため、女性にAEDは使うべきではないという記事も増えてゆきます。
悪い事に追い打ちをかけるように女子高生がAEDのとき「女性にかぶせるシート」なるものを公開してしまったのです。救急医療時に裸云々を気にする医者は世の中にはいません。失敗するリスクを避けるため、少しでも早く命を救うため、こんな余計なシートなどあってはなりません。ですが、これがもてはやされます。つまり、本当に女性は命がかかっているときに裸を見られたくないという人が多いという証拠になってしまいました。そんなバカなことをするな、というのがマスコミのはずなんですけどね。
そして決定打が千葉県の条例です。AEDを使用した結果、そのAEDを受けた人から訴えられた場合、千葉県が無利息で訴訟費用を貸しますよ、という条例を作りました。
これが、女性から裸を見られたと訴えられた場合の条例だという風にとられたわけです。一般論にも見えますが、どうも時期からいって本当に女性の訴訟リスクという意図だったかもしれません。
つまり、女性の意見としては、本当に命よりも裸の価値で、男には使ってほしくないんだ…という風にとられても仕方がないような状況が生まれます。これに対してのちに火消しに皆必死になりますが、鎮火しません。実際、使ってほしいけど、不快感や抵抗があるという人が80%以上いるというアンケートをまだ見かけます。
じゃあ「どうすればいいの」という戸惑いがネットでツイフェミと喧嘩をしている男性に限らず感じざるを得ません。
そして、調べてみると、本来AEDというのは医療行為です。実は一般人が使うことは今なお医事法違反です。
反復性がなく一時的だという理由で「通達」で「違法性を免除」されている状態です(構成要件に該当しない、とも取れますが何せ通達なのでよくわかりません)。
※ 追記 通達について追記。通達は行政機関が内部の命令として発するもので一般人を拘束するものではないです。したがって、やはりAEDは医療行為として医事法違反になるのではないかと思われます。
緊急避難となれば違法性阻却自由(要するに罪に問われないこと)になりますが、緊急避難の要件に「生じた害が避けようとした害の程度を超えないこと(法益権衡の原則)」が含まれ須。これが女性の裸体と命の比較衡量になる気がします。
もう1つ。緊急避難に緊急性がない場合、要するに錯誤の場合どうなるかですよね。具体的事実の錯誤(方法の錯誤)という議論があります。これ以上は専門的で間違って説明する可能性もあるので割愛しますが、要するに「人命救助の定義を法律は逃げて、道徳に任せてしまっている状態」と言えるでしょう。
しかも、以下の要件に該当しないと逮捕、起訴される可能性があります。
① 医師等を探す努力をしても見つからない等、医師等による速やかな対応を得ることが困難 であること。
② 使用者が、対象者の意識、呼吸がないことを確認していること。
③ 使用者が、AED使用に必要な講習を受けていること。
④ 使用されるAEDが、医療機器として薬事法上の承認を得ていること。
つまり、心臓が止まっている人を目の前にして、①~④を行いAEDを適切に使用しないといけないわけで、そんなことは相当の訓練を積んだ人でないとできません。
で、AEDってパッドを張って初めて、心臓の停止が確認できるらしいですね。だとすると、パッドを張って「必要ありません」というメッセージが出て、落ち着いて確認したら呼吸をしていました、あるいは作業中自発呼吸が始まって気が付かなかった…などになれば違法性は免除されない可能性があることになります。
まして女性を公衆の面前で裸にして「必要ありません」だった場合、どうなるのでしょうか。そしてその場面がスマホで撮影されてネットに上がったら?
もちろん、そういうことは情状酌量の範囲になるでしょうし、多くの人からは感謝もされるでしょう。ですが、リスクがある状態なのは間違いないでしょう。起訴の判断はあくまで検察官個人の判断ですから(検察官の独立性)。
一方、もし目の前で人が倒れたとして、その人を放置しても保護義務違反に該当しません。親戚や子供、交通事故の当事者なら別ですが。
つまり、そもそも善意で助けた上で、裁判に巻き込まれるリスクがあるのです。無罪になるとしても拘留されたり、民事裁判に巻き込まれる可能性があるのです。もう、助けるなと言っているようなものです。
そこに加えて、女性だから服を脱がせた云々というのが、もし嘘だとしてももう世間に流布してしまっている以上、どこか心に残り助ける前に引っ掛かるでしょう。つまり、一つのデマが男女の分断をまた深めました。
これを解決するには、公道および公共の場で、目の前で目をつむって30秒以上たっている人がいた場合、悪意・過失がある場合以外、救護を目的とした行為であれば不適切な処理や判断ミスがあっても、身体に触ったり服を脱がせたりしても、刑事・民事上の責任は負わない。という法律を作るべきです。その上で人命救助などで表彰される前例をいっぱい作るべきでしょう。特に間違った場合でも行為は表彰されるべきです。
終電の性犯罪の被害は多いようで、好意・行為の善悪の判断は難しいですが、女性が終電で酔いつぶれるのは自己責任ではないでしょうか?あまりにお気楽です。そして、この法律によって、終電酔いつぶれの性犯罪や窃盗の誘発を防ぐことにもつながります。なにせ30秒以上寝ていれば「介護」されても文句が言えないわけです。
まあ、それは言い過ぎにしても、これはAEDに限らずですが、正直一般人に電車の中で酔いつぶれて寝ている場合と病気で倒れている場合すら区別はできません。駅なら駅員や車掌さんを呼びにもいけるかもしれませんが、道路上なら?
目の前で女性が倒れていたら、私は気が小さいですからドキドキして脈も測れないでしょうし、呼吸の確認をする自信もありません。そうなると、法律で保護してくれなければ、無視となります。まして、基本、医事法違反で免責されているだけの行為です。手を下す勇気がでるでしょうか。ここまで女性側の意識として風評あるいは本音が見えてしまったのです。早く法の整備をするべきでしょう。
元のX(旧ツイッター)の原因の人はツイフェミと言われていますが、それは確認していません。AEDの使用をためらわせたことは、悪いことですが、しかし、一石を投じたのではないでしょうか。AEDの法整備、教育、啓蒙が不十分だとはっきりしました。
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