第21話 トランス女性のスポーツ参加とフェミニスト
さて、トランス女性のスポーツ参加について、最近ネット記事で見かけるようになりました。NHKや民放ではなぜかあまり取り上げられませんが、重要なことだと思います。
なぜ重要かは、個人の人生の問題、女性であることの尊厳の問題になるからです。風呂場にトランス女性が入る云々というのも問題がありますが、それとは話が違います。
例えば国や州などによって対応がバラバラなので思考実験です。トランス女性はスポーツ参加は女性でOKという国で、11人の「私はトランス女性だ」という人がサッカーチームを作ったとします。この11人は18歳まで男性で19歳で無手術・ホルモンの調整をせず、ただ髪を伸ばし化粧をし女性の格好をしている人だとします。まあ、結果はわかると思います。男子の中で鳴かず飛ばずの人たちでも無双するでしょう。
これは懸命に青春をサッカーにささげてきた女性11人の人生を変えるものです。ただ、このトランス女性11人は一方では、いやトランスとかついてるけど、ちゃんと女性だよ。だから、男子における体格差と一緒なんだ、と言っていいかどうかです。
極端な例です。いやテストステロンの値が…とか思春期が始まる前に薬物治療が…とか、あると思いますが、哲学・思考の問題ですし、このケースを考えないと量的な調整しかできなくなります。
また、その治療歴の証明は?というのもありますし、そもそも治療歴・薬物投与歴がある時点で「異常」であるということです。「性自認と身体がずれている」女性って言っちゃってるじゃん、ということです。
ドーピングによる出場停止が10年では甘い、と言っているのは筋肉の発達は一度ドーピングをすると優位性がかなり長期間保たれるからです。一生ともいわれています。これは当然テストステロン等も一緒です。本当に幼いころに薬物治療をしないと身体的男性優位性は残りますし、値に閾値を設けても、その値は女性としてはマックスに近いものだとすればドーピングと一緒です。
そのある意味においてチート状態の選手が自らのカテゴリーに侵入してくるわけです。これってどうなんでしょう?
ジェンダー論的には男性と女性の区別に反対しているなら、別にいいんでしょうか。原理主義的なジェンダー論であれば、身体的な能力的な遺伝子差を否定するなら当然そうですね。極論ですけど。
言い換えると「トランス女性は女性と同一なのか、トランス女性なのか」という議論になると思います。
トランス女性と言うレッテルですら否定し、女性と一緒だというならスポーツ参加は当然女性でしょう。ですが、女性参加選手のボイコットがアメリカで続いているのが現状ですし、トランス女性との体格差でボクシングやサッカーの大会で障害が残るレベルの事故が起きているそうです。 それはもともと遺伝子が同じ性だった場合でも起こりえる、として排除すべきなんでしょうか。
そしてこれはもっと大事なことですが、性行為は18歳以下はできないと言っているのに、国籍は20歳で判断するのに、性的な自認による治療は思春期前でもいいんだ、という疑問もあります。それこそ身体も心も安定する20歳以降に判断すべき問題でしょう。薬物や手術ならなおさらです。そのレギュレーションを思春期前からの治療としていいのか、という議論も聞こえてきません…が、これは別の話なのでこれくらいで。
このトランス女性の女子スポーツ参加の議論において驚くべきことにフェミニズムサイドとしては…とひとくくりにするのもおかしいですが、まず大きな声で異論があがりません。子供を心配する親とか議員などからの声はあがりますが、フェミニストとしてどういう見解を取るかがマスコミなどで報道されないし、ネットを調べても非常に少数です。
アメリカなどのSNSでは比較的さかんに議論が行われているようですが、国や州は共和党・民主党の括りの影響が大きすぎて、べき論になってしまっています。カナダなどは有無を言わさず、という感じです。日本において聞こえてくるのは、ハリーポッターの作者J・K・ローリング氏やテニスのナブラチロワ氏などがはっきりフェミニストとして反対意見を表明しているくらいでしょうか。
この件についての議論の少なさ、目に触れる機会の少なさは、女子スポーツという定義を根底から覆すものであると同時に、LGBTQの議論やフェミニズムの議論が、しょせんは政治的利権的な思惑でしかないのでは?という疑念を抱かせるものです。男女の更衣室やふろ場どころではありません。
女性が青春のすべてをかけて時間と労力をつぎこんだ努力がどうなるかという問題です。
もし、トランスジェンダー女性の参加を是とするなら、子供のころから女子にはちゃんとそういうものだと教えるべきだと思います。それでも、そのスポーツがやりたいならトランス女性参加前提で競技への向き合い方を考えるでしょうし、人生をかける人のリスクは減らせるでしょう。
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