第19話 慶應義塾大学の女性優遇弁当の件

 慶應義塾大学において、ワタミという企業が学生の食生活の支援として弁当を配る、という取り組みを始めました。これが男女で随分扱いに差があるそうです。女性には毎月16食、男性には1食だそうです。これをフェミニズムの視点からどう考えればよいか、を考えたいと思います。

 となると、東京医科大医学部の入試差別問題と東京工業大学における女性加点問題も同時に考えたいところです。


 ジェンダー論から言えば男女で区別した優遇措置なのでこれは非難すべき案件なんでしょう。ジェンダーとは「社会を男と女という性別で二分しようとする思考的特性(立命館大学のWebから抜粋)」だそうなので。

 実社会における肉体差や性被害についての現実の男女差について考慮したとしても、ジェンダー論からはまず反対の表明があってしかるべきでしょう。


 フェミニズムの立場として、女性の社会的地位が現在男性に比べて不当に低いので地位を男性並みに向上させる、というなら?

 それを考えるには「性別の経済支援」と言うのはフェミニズム的には「有り」なのかどうかです。


 で、思考の助けとして、入試の加点・減点問題を先に考えましょう。東京医科大学において女性に対する減点を行ったことは女性差別として大きな非難を浴びました。しかし、東京工業大学の女性への加点はあまり文句はききません。もちろん、黙ってやるかどうかは大きなポイントでしょう。


 アメリカにおいてはアファーマティブアクションと呼ばれる人種・性別差によって入試において加点する措置は、憲法違反とされています。まあ、誰が考えても当たり前ですけど、当たり前と言っては思考停止です。


 例えば長年虐げられてきた黒人が今現在白人の平均のIQより低いという状況があるとして、それは潜在的な能力の問題なのか環境の問題なのか。過去の差別による環境差と捉えて黒人の加点することで結果平等に強引に持ってゆくのがアファーマティブアクションです。

 過去の差を合理的に埋めるために機会平等を時間をさかのぼって実現しているという言い分もあるかもしれませんが、アファマーティブアクションが今の差異を仕組みではなく、結果で評価している以上は結果平等でしょう。

 この点は平均給与問題やジェンダーギャップ指数でも気を付けたいところです。要するに現状の現実は差別ではありません。仕組みに機会不平等があるかどうかです。


 結果平等は百害あって一利なし…とは言いません。最低限の権利の確保のレベルにおいては結果平等が必要でしょう。給与の下方硬直性と表裏ですが生存や学習機会には最低限の基準が必要です。

 ですが、大学入試というレベルでやって、それは本人の為になるでしょうか。一生涯競争社会で生きて行くのに、大学入試だけ下駄をはかされる意味はほとんどないでしょう。むしろ大学の名前と現実の実力のギャップに苦しまないでしょうか。現在の実力にあった身の丈にあった学習こそが保障されるべきです。


 機会平等こそが民主主義における平等だ、というのが前提という事だと思います。結果平等の究極が共産主義ですからね。




 さて、日本の大学です。大学入試における点数の補正は、東京医科大においては「女性は長時間労働ができない」「勤務する平均年数が男の方が長い、すぐに独立してしまう」という理由ですから、この概念ではないです。

 一方で東工大はどうでしょう?一見この「過去の差別を強引に是正する結果平等」に近い気がします。


 アファーマティブアクションのところで言ったように結果平等は平等ではありません。これだけで否定されるべき取り組みですが、しかも、理系の大学に男女で比率が違うのは差別の結果ではありません。

「男女別」の「能力」と「嗜好性」「指向性」の違いです。統計的な偏りで言えば、薬学部の様に「女性向け」の職場として女性比率が高い理系もあります。


 「能力」で言えば「理系脳」「数学脳」というのはあると思っています。それは男性女性で特性に大きな偏りがあると思います。もちろん例外はありますが、第一線級の数学者・理論物理学者は圧倒的に男性が多いです。

 「将棋」と同じですね。いくら女性ががんばっても藤井8冠のような人は現れません。これはそもそもの脳の特性で向き不向きもありますが、嗜好・指向の問題もあって男女でピラミッドのサイズが違うという理由もあるでしょう。これと理系大学で男女比率が違うのは一緒です。

 統計的な差ですのでごく稀に天才数学・物理学者の女性が例外的にいるのは知っています。それは統計的なハズレ値でしかないです。

 結局、この現実は機会や環境の差ではないというのが私の考えです。


 そして、こういう理由で女性が少ないのに、女性に下駄をはかせるとどうなるでしょう?理系の大学において、数学でついていけない=学業ではドロップアウトになります。工学系ならなおさらでしょう。つまり、低いハードルで入って来た女性のうち、数学で躓いてドロップアウトする比率がふえてしまいます。一般大学ならがんばればついて行けても、東工大クラスでは地獄になるでしょう。恐らく理系では当たり前の院生の進学比率が減って、中退が増えるでしょう。それは、東工大ほどの頭脳がある大学なら分かるはずです。


 つまり、彼らの思惑はすぐにわかります。要するにこの思惑は「少子化による入学者確保のために女性を上手く取り込みたい」という思惑でしかありません。入学金と社会的地位を確保するためにです。



 となった時に、慶應義塾大学の思惑です。東工大と同じですね。女性比率の低さを高めるための措置ではないです。女性に沢山入学してもらうための広報活動なのです。

 これは要するに女性に優しい大学だからいっぱい入学してお金を落としていってね?です。まあ、女性入学者が増えることで統計的に例外な優秀な女性を排出するとか、入学希望者増加により偏差値・社会的ステータスを高めたいという思惑はあるでしょう。


 こういう大学の思惑に乗るか乗らないか。私は女性なら乗ります。その結果低きに流れる人生なるのか、上手く利用できるのかは自分次第でしょうけど。まあ、大学の質は多分思惑とは違うベクトルで落ちるでしょうね。


 この男女弁当問題、女性加点問題。こううい女性優遇措置に権利の思想なんてありません。それは実は皆心の中では分かっていると思います。

 多様性という言葉だけ取り入れている企業のSDGS導入の思惑、株価維持、社外役員対応、イメージアップよりも更に実利的です。


 そして予算を考えてください。女性は小食で食べるものへのこだわりが大きいです。しかも慶應義塾大学に入学する女子です。上智ほどじゃないですけど、慶應の女子は…まあ、いいでしょう。16食全部食べるとは思えません。面子もありますしね。便所飯と同じで、賄い弁当を人前で受け取れるとも思えません。

 それに対して、男性に16食とか与えてしまえば、絶対に全部消化する人が増えるでしょう。弁当を転売する輩もいるでしょう。

 ですので、女性に沢山配るというアナウンスでイメージアップが低予算で計れるという効果が期待できます。


 それとワタミの将来に向けた慶應義塾大学卒業者の取り込みもあるかもしれません。まあ、あくまで私の妄想ですけどね。


 フェミニズムの人たちは、こういうのをちゃんと否定しないと駄目です。これは女性を搾取し、堕落させるための取り組みです…で正しいかどうかを議論してほしいなあ。




 なお、現実には国立理系の偏差値は上がり続けています。東工大も例外ではないです。これは国立理系か医学部じゃないともはや大学教育に意味はない、という風潮があるみたいですね。この状況であれば自然に女性は増えるはずです。そうでないなら、女性は理系が苦手、あるいを嫌っているという証拠になると思います。


 そうなると慶應義塾の弁当問題の集客仮説に関しては補強材料になりますが、東工大の女性に下駄をはかせる問題が、私の言いがかりの可能性はあります。

 それはもっと悪い事であり「単純に本気で」男女の「結果平等」を目指しているという結果になります。少しは文系の勉強もしましょうという話ですね。





 


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