第9話 性行為の主体を男と定義した不同意性交罪

 不同意性交罪の構成要件(条文に書かれた犯罪行為の定義)についてですが、177条を見ると男性器を女性の身体のどこかに挿入することが一つの要素になっています。つまり、男性器が無い場合はこの構成要件に該当することはありえません。


***引用***

 第百七十七条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛(こう)門性交、口腔(くう)性交又は膣(ちつ)若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。

**********


 と書くと、もちろん反論があるのはわかっています。それ以外のモノであっても駄目です。ただしその想定は男性器を模した玩具や似た形状のモノ(棒や円筒形のもの)でしょう。わいせつとありますので、それ以外の形状だと暴行・障害罪になりそうです。

 また、男性器がない性別の人が共犯(共同正犯,教唆犯,幇助犯)でその犯罪が起きる原因を作った場合は構成要件に該当します(金銭やパワハラで男性に女性を襲わせる、被害者女性が否定の言葉を言っていても男性と性行為を本当はしたがっていると誤認させる、一緒に取り押さえる、男性が実行するための下準備を手伝う等)。


 ただ、条文の字面から考えて、これは性行為に関して言うと、男性器がある側しか主体な性行為はできない、という定義と同義だと思うのですがどうでしょうか。


 ジェンダー論の人たちはどう思っているのでしょうか。これは「不同意性交罪」という犯罪の名称からいって、性交を法律によって定義したものだと思います。そしてレズビアンの方の行為は性行為ではない、ということです。挿入が伴わないと性行為ではないらしいです。


 あるいは心理学者その他どんな分野の人でもいいんですけど、男性の側の勃起があるから強姦罪の時代から、男性が主体として捉えられていますが本当ですか?「挿入される行為」が常に被害者であるという定義になっています。

 女性に無理やり迫られれば勃起してしまいませんか?それは意志なんでしょうか。現象なんでしょうか。女性側からの脅迫により性行為をしてもそこに勃起が伴うから、女性は罪にならないのでしょうか。

 または凸と凹の関係性があるので、凸の側は受け身ではないから守るべき法益(法律でまもるべき利益)がないからいいということでしょうか。尊厳とか恐怖とかそういうものは考えないのでしょうか。


 条文がパワハラ、セクハラ、家庭内の虐待、DV等々を防ごうという意図が読み取れるのはわかります。そこは否定していません。

 が、パワハラ、セクハラの構成要件ってそもそもなんでしょうね?気分が乗らなければ不同意なんでしょうか?外形的な同意があればいいのでは?何より刑法の大原則として「故意」であることがあげられます。

 その同意を得る行為に力関係の有無を認識していれば足りるのでしょうか。それとも相手の同意が自分が脅迫して言わせているという認識が必要なんでしょうか。


 多様性の時代の性行為や人間の生理、人間の会話の機微について本当にじっくり研究した上で作られた法律なんでしょうか?


 フェミニズム、ジェンダー論の立場での見解をちょっと調べたくなりました。




 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る