第15話 黒い流れ星

 LOCATION

 植物研究所デルタ・ベクター6(V6)


       * * *


 私、〈蛇ヶ崎かなで〉は窮地に陥っていた。


 運に見放された……。

 リリベルさんの配信のあとに、研究所の手伝いをしていたら、二度目の襲撃に巻き込まれた……。


 しかも、私が真っ先に出会ったのは敵の親玉だった。

 これは先ほどの再戦……。


 しかし、今ここには黒星ステラさんはいない……。

 私が圧倒的に不利……。

 すでに勝敗は期していた。


「あ……、身体が……」

「どうやら、毒は私の方が上なようね」

「はぁ、はぁ……、く……」


 身体が動かない……。

 私は膝を付き、こうべを垂れる。

 い、意識を保つだけでも精一杯……。


「毒が切り札だったようだけど、残念だったわね」


 私の瞳に映ったのは、敵の悪魔の勝ち誇った顔だった……。


「実は私も毒が使えるの。上には上がいるのよ。良い社会勉強になったわね」


 相手は【アスタロト】と名乗っていた……。

 知識が正しければ、毒を持つ悪魔の一人……。

 私みたいな半端者はんぱものの獣人では、手も足も出ない相手だった。


 私にもっと力があれば……。

 魔女の使い魔として、ホムラさんから特別な役目をいただいていたのに、いざという時に役に立てない……。


 気持ち悪いから――。

 毒があるから――。

 獣人の世界でもヘビは嫌われ者だった……。


 だけど、リリベルさんは、私にとても優しくしてくれた……。

〈ミスプロ〉のメンバーとして、同期の役に立ちたい……。

 なのにっ!!!


『もっと強くなりたい……!』


 死を覚悟して、最後に私は願った。

 誰にでもなく、ただ自分に……。


 その時だった――。


 願いに応えるかのように……。

 または、聞き届けた流れ星のように、天からの強い光。

 強い衝撃と共に、私と敵の目の前に、一人の人物が舞い降りる。


 それは、〈天界〉から舞い降りた使者。

 天使の色は、でも構わない……!


「かなでちゃん、大丈夫!?」


〉、それは黒く輝く、星の光。

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