第7話 盗賊加入
俺の一日は全裸での全身鏡鑑賞から始まる。
つやのある黒髪、抜群に整った目鼻立ち。これだけでもアイドル級だ。
加えて、長くぶっとく健康そうな太もも、それに伴うスタイルのいい短身。
そしてとどめにもともと貧乳民族日本人だったとは思えん乳。ア◯レンキャラにぶち込んでも違和感は無いだろう。
全裸でにへらにへら笑いながら鏡を見つめるのはもはやそういう妖怪か?と思えるほどの奇行だが実際それくらいかわいいから仕方ない。
前回ボリタック商会から変える時にフードを取って顔を露出したがあれ以降パーティーに誘って来るやつが爆発的に増えた。
当然全員断ったもののダボハゼみたいに鼻の下を延ばした冒険者が俺に群がってくるのは俺の承認欲求をゴリゴリに満たしてくれた。
群がってきた連中の中には銀髪青年を馬鹿にしていた柄の悪そうな連中もいたがそいつ等は断った途端覚えてろよとかテンプレじみた脅し文句を口口に言ってきた。まあ向かってきたら睡眠魔術で返り討ちにしてやる。
その後も2時間ほどキレイ…カワイイなどうわ言を漏らしながら鏡を見て自分の乳をもんでから銀髪青年の部屋に向かった。
扉を思いっきり開けながらおはようございまーすと言いながら入ったら銀髪青年が隣の青年と言い争いをしていた。
そいつの名は盗賊ジョン。
銀髪青年の弟。きれいな金髪を持った美形だ。
俺様ほどでは無いけどな!
なんでも孤児院から姿を消して仕送りだけしていた兄を世界中を飛び回って必死に探し周っていたらしい。
以前銀髪青年が〝故郷に弟がいる〟〝嘘つきで皮肉屋だが約束は絶対に破らない〟〝僕と違って顔も性格も良い自慢の弟だ〟
と言っていた。
初対面でいきなり俺にかわいい、きれい、美しいと俺の言われたい言葉を軒並み言ってくれたから間違いなく良いやつだ。
なんでも言い争っている様に見えたのはは兄と一緒に迷宮に潜ろうとするこの金髪青年に銀髪青年が〝危険だからやめろ〟〝本当に本当にお前には死んでほしくない〟と説得しているところだった。
俺のときと同じ様に涙と必死の訴えによって二層までならという条件つきでパーティーを組むことになったが。
銀髪青年はとにかく必死になった相手の要求を断ることができないのだ。相手の必死な気持ちに同乗してしまいこの数日だけでも三回以上大損をしかけている。無駄に同情心が強いとこうなるんだよ!
金髪青年は嘘つきでブラックジョークやらかなり下品な下ネタを死ぬほど言うものの、言葉の節々に兄への愛情がにじみ出ているためそこまで嫌いになれなかった。
こいつの職、盗賊は司祭についで二番目に弱い職だと言われている。
身体能力は大して高くない、魔法は一切使えない。
その代わり手先の器用さに大きな大きなボーナスがつくようだ。
ここでおさらいしてみよう。迷宮に潜る目的は3つ。
1つ目は迷宮の奥底のワルドナなる魔術師から魔除けを奪い返し多額の報奨をもらい親衛隊に取りたてられること。
2つ目は迷宮内で魔物を殺害し魔力を取り込み…面倒だから経験値というが経験値を取り込みレベルアップすること。
3つ目は迷宮内の宝箱を開け金やマジックアイテムを手に入れる事。
しかし迷宮の宝箱は基本的に罠が仕掛けられている。
なんでだよと思うかもしれないがそれに関しては俺が聞きてえよ。
そもそもなぜ宝箱が迷宮内に出現するのかすら分かってない。
仮説はいくつもあるがどれも決定的な根拠はない。
ともかく重要なのは金や装備がほしければ致命的な罠が仕掛けられた宝箱をどうにか解錠する必要があるということだ。
そして盗賊はその器用さを活かしてどうにか解錠するのが主な役割だ
じゃあ盗賊いないのに今までどう開錠していたかって?
罠食らうの前提で銀髪青年が開けていたんだよ。
毎回開けるたびに爆弾で焼かれたり矢で体に風穴開けられる銀髪青年を見るのは辛かったので盗賊美青年の加入は大歓迎だ。
是非明日は迷宮に潜って力を見せてもらうとしよう。
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主人公の見た目は紲星あかりのカラーチェンジ版
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