第4話 彼に゛会いたい゛と願って

彼に会うたびに気持ちを持っていかれるような感覚になった。サエコ自身の中でこの気持ちを抑えられなくなっていった。

現実に戻ったように家に帰るとサエコは勉強を頑張った。こんなにも勉強が楽しく思えるなんて…今までのサエコのなかには無かった感情だ。サエコは彼と再会してからも勉強により力を入れ頑張れた。成績は変わらず、クラス・学年のランキングでは上位に入っている。数学で分からない所を次会った時に教えてくれると彼が言ってくれたから、分からないページをすぐ開けるように可愛い付箋を貼った。サエコは彼に教えてくれることにとても嬉しさを感じて笑みを浮かべた。彼に、はやく会いたくなった……

最近、前回彼と会ってから日が経ち、待ちきれなくなると頭の中は彼のことで頭いっぱいになってどうしようもなくなる。゛会いたい゛………そう強く思うと、何故か彼からLINEがくる。『会う?』って…

そして、今日会うことになった。もうドキドキが止まらない…心臓が飛び出そうなくらいに。

付箋を貼った教科書を手に彼のもとへ急ぐ。彼のもとへ着くと彼は笑顔で『待ってたよ』と一言。

数学を教えて貰うのに距離が近くなって教科書の上でお互いの手が触れ合いそうになる。彼の目を見たいけれど、近い距離でどうしても目が見れなかった。

彼への想いが募るばかりで胸が苦しくなった。

やっぱり彼は、サエコと比べものにならないくらいに頭が良くて教えるのも上手で分かりやすかった。

最後、サエコは『ありがとう』と微笑む。彼は、『また分からなかったら聞いて』と言ってくれた。


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