第3話 彼から…また……

6限目の授業が終わったサエコは、普段から何処に行くにも持ち歩いている音楽プレーヤーを操作し気に入っている音楽を再生し聴きながら帰る。

その気に入っている歌は、恋愛の歌で歌詞のなかにある゛会いたくて会いたくてしょうがないよ゛というところに自分の今の感情を重ねてしまったのだ。

その歌をイヤホンをつけて聴きながら帰っていた。

帰っている途中…彼がその歌を聴いている私を知ったかのように携帯からLINEの通知音が鳴った。咄嗟に、携帯を開いたらやはり彼からのLINEだった。『今日、会える?』と…………

少し返信時間を遅らしてからサエコは『会いたい』と彼に返信した。

家に着いて、しばらくすると夜ご飯を母が作って用意してくれた。手に持っているお箸が震えだして落ちそうになった。確実に自分のなかで、彼に対して゛好き゛という感情が出ている。だから今、自分は動揺しているのだと……

夜ご飯食べ終わったサエコは足早に彼のもとへ急いだ。彼に会うと『待ってた』と言われた。もう、鼓動がだんだん速くなるのが分かる。

お互い通っている高校が違うのもあり、お互いそれぞれの学校での出来事を話し合った。゛楽しかった…ずっと一緒にいたい。゛そう、心のなかでサエコは思った。彼に『数学苦手で…最近、授業についていけなくって。』と相談してみた。そしたら彼は、『今度、教科書持ってきたら数学教えたるで』と言ってくれた。サエコのなかで゛次も会ってくれるんだ゛と嬉しい気持ちになった。結構、長く一緒にいたからそろそろ帰ると伝えると強くサエコを抱き締め彼が最後の一言…『また…』と。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る