第4話 ハシル VS “雷王” 結末
1位の機体は損傷で減速、2位の“
“
ハシルは、さらに“
――意外と1位が速い! だが……!
残るは最終カーブのみ。“
――このカーブを制した方が、勝つ!
並んだ隣の機体は、ドリフトせず減速してカーブを安全に走行する。しかし、ハシルの機体よりも内側のルートだ。同じ方法をハシルが選べば、確実に負ける。
気合い一発、ハシルはドリフトの動きに入った。
ハシルの機体は順調に滑り出し、高速でカーブへ突入する。
1位の機体を抜き、ハシルが1位に躍り出る。
先頭でカーブを抜ける。ハシルの緊張が、
レースでは、微々たる緩みが命取りになる。
スラスターの調整が一箇所、
――マズい!
危険、という言葉の前に浮かんだのは、「このままでは負ける」という思い。一位を獲れば反重力エンジンを強化できる。機体を強化できなければ、次は負けるかもしれない。そんな考えが、ハシルを焦らせた。
――
スリップ中で機体の方向が定まらない時の“
そう考えた矢先、轟音と共にハシルの体が大きく揺れる。
機体が外壁に
――クソ!
装甲へのダメージは“
ハシルの機体はゴール手前にして、“
スリップによる機体の回転と
ハシルは
1位と2位は既にゴール済み、ハシルの後ろ、4位の機体がハシルの機体へ迫る。
動きを止めている機体は、格好の
――何でもいい、動け、動け!
ハシルはアクセルを踏む。機体は、ゆっくりと浮上する。
その間にも、4位の機体が最終カーブに入ってくる。
――バカ! 間に合わねぇ!
機体が浮かび上がった瞬間、ハシルの目の前に、敵機のフロントが迫る。
――終わ……
敵機はハシルの前を素通りし、ゴールへ向かっていった。
ハシルは、もう一度レーダーを見る。
コース内に、ハシル以外の機体の反応は無い。
すなわち、ハシル以外に反重力エンジンを起動している機体は無い。
ゴールして停止したのは、三機。残りの機体は、全て機体の破損で走行不可能となり、リタイアしたのだろう。
つまり、もう何もしなくても、ハシルは4位で確定、ということだ。
――……。
――俺を撃墜する事には、興味ナシかよ。
公式戦なら、キレてハンドル叩くくらいの大失態だろうな、とハシルは冷静な気持ちで考えた。
苛立ちの気持ちも、無くはない。
神隠しレースにおいて、4位以内に入った機体とは次のレースで再び戦わなければならない。
もし、先程の敵機がハシルを脅威と思っていたら、動きを止めていたハシルの機体が眼前に現れた瞬間、“
つまり、あの敵機にとってハシルは、何の脅威でもないという事らしい。
――ま、それくらいの認識のが、ありがたいね。
ハシルの
――こんなサバイバルで敵にマークなんかされても、良い事なんざ一つも無いんだから。
ハシルは、幸いにも損傷を受けずに済んだ機体をのんびりと操り、ゴールゲートへ向かった。
<アルティメット・カップ 一次リーグ第1091試合 最終結果(括弧内は賭けレート)>
1位 高田ルーク圭(2.11倍)
2位 “雷王”我田荒神(1.44倍)
3位 四方ライコネン(3.22倍)
4位 庵堂ハシル(3.66倍)
リタイア(機体破損) 悪・Easy(4.31倍)
リタイア(機体破損) 桃姫チェリー(6.41倍)
リタイア(機体破損) ザコ木之子(9.45倍)
リタイア(機体破損) 兵法(10.32倍)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます