2話
あなたはサシャにものすごく虐められた。
まったく本当に容赦とか良識がない。
激し過ぎて壊れてしまいそうだった。
サシャとギールの2人がかりであなたはたっぷりと可愛がられた。
サシャは激しくサディスティックに。ギールは優しくロマンティックに。
元男な上に妻子持ちなだけあり、女相手への気遣いがちゃんと出来ていた。
ギール自身が女になっている都合上、そのあたりはぎこちなかったが……。
まぁ、さすがにモモロウほどうまくはなかった。それはしかたない。
モモロウはアトリだった経験もメアリだった経験もあるのだ。
そんな特殊過ぎる生い立ちなだけあって、女の体で女を抱いた経験が膨大にあるのだ。
ともあれ、その辺りを加味しても、実に楽しい夜だった。
次はサシャとギールを同時に頂きたいところだ。
ギールを交えて情事をするという真似が出来た以上、抵抗感も多少は少ないだろう。
サシャとブレウの3人で、と言うのが厳しい以上、こちらを楽しんでおきたいところだ。
いや、あるいはブレウとギールならばどうか?
元々夫婦なだけあって、そのあたりの抵抗感は薄いはず。
そこにあなたが割り込んでも、そう拒絶感はないはず……!
あなたは広がるバラ色の未来に笑みが止まらなかった……。
まぁ、そんなこんなで、とりあえずギールは見つかった。
そして、あなたは娼館にギールの身請けの交渉をした。
こんな年増買うとか変わってんな……? と言う顔をされたが、問題なく身請けは出来た。
金貨2枚と妙に安かった。身請けがこの値段とすると、仕入れ値はもっと安かったのだと思われる。
「よかったね、お父さん」
「ああ、そうだね……」
「で、なんでこんなところ居たの?」
「はは……この町まで来たところで、財布をスられてね……それに気付かないで店に入って食事をしてしまって、無銭飲食で豚箱入り……そのまま奴隷落ちさ」
「無銭飲食で? 高くても銀貨1枚とかだよね? それだと、労役刑じゃ? 労役奴隷を娼館に捌くのは違法のはず……」
「そのはず、なんだけどねぇ……」
たぶん、年増で安いから、取り締まる側もまともに取り締まっていないのだろう。
10代20代の娘の取引ならもうちょっとまともに取り締まっているのだと思われる。
「うう、統治機構の怠慢……」
「まぁ、そのおかげで食うに困ることはなかったからね……ちょ、ちょっと、いろいろと特殊過ぎる経験は、したけどね……ハ、ハハ……ハハハハ……」
乾いた笑いを浮かべるギール。
まぁ、諸悪の根源はあなたと言えばそうだが。
ここで奴隷落ちしたのはギールが悪いとも言えるので。
そのあたりはまぁ、運がなかったと諦めてもらうということで……。
「そうですね……はあ……すれ違いが……」
「ど、どういうことだい?」
「あのね、お父さん。私は生活が苦しくて技能奴隷として売られたの……私は読み書きできるから、町中で使われるだろうからって」
「そ、そんな……私の帰りが遅かったばかりに……」
「それでね、買ってくれたのが、ご主人様なの」
「え? あなたが?」
あなたは頷く。そして、王都の屋敷ではブレウをお針子として雇っているとも。
「その王都の屋敷と言うのは……」
ギールを連れ帰った、あの屋敷だ。
あの時、屋敷の中にはブレウがいたのだ。
本当なら、あのまま引き合わせるつもりだったのだ。
「おお……おおおおぉぉぉぉ……!」
ギールはその場に突っ伏して嘆き出してしまった。
5年もの間、家族と離れ離れになって仕事を強制され。
なんとか逃げ出したと思えば追っ手を放たれ。
その先では5年間の苦労をスリ取られて犯罪者落ちし。
尊厳を切り売りさせられる仕事に強制的に就かされ。
挙句、その自分の行いの全てが無駄足だったと知っては……。
あなたはギールのあまりの哀れさに、かけてやる言葉が見つからなかった……。
しばらくギールを好きなだけ嘆かせてやった。
その後、ギールを連れて、ウルディア子爵家に。
他国の貴族家とか縁もゆかりも無さ過ぎて意味不明だろうが、ここにブレウがいるのでしょうがない。
そして、ついに5年ぶりにギールは最愛の妻ブレウと再会することが出来たのだ。
「ぶ、ブレウ……昔のまま……いや、それよりもきれいになって……お、お腹……」
「あら? どちら様?」
そしてギールは心をブチ折られた。
性転換してては気付いてもらえないのは仕方ないことだが……。
それはそれとして、衝撃的過ぎて心がブチ折れてしまった。
主なブチ折れた要因はブレウの大きなお腹にある気もするが。
「お父さんが死んでしまいました。この人でなし」
サシャになじられた。甘んじて受けようではないか。
ブレウを孕ませた挙句、ギールから寝取ったのはあなただ。
しかし、その割にブレウに引き合わせたのはいったい……?
もしや、サシャのサディズムぶりは実の父にまで……?
あなたはサシャの性癖のヤバさに戦慄した。
戦慄したが、そういや元からこんなもんだったと思い直した。
普通なら死ぬレベルで攻め立てるのは加減を知らないからと言い訳もできるが。
冒険者をやって生命を死に至らしめていて、その言い訳は効くまい。
つまり、分かっていてやってるし、死んでもいいやと思っているのだ。
って言うかむしろ、死んだら最高、とまで思ってやっている節が……。
ともあれ、こうしてギールは帰還した。
無事な帰還とは口が裂けても言えないが。
無言の帰還にならなかっただけ、良しとしようではないか。
「わかってはいるのです……5年も留守にした以上、ブレウが新たな夫を迎えてもなにも文句など言えません……帰れなかった私が悪いのです……」
その晩、あなたはギールの酒に付き合っていた。
あれだけ打ちのめされては飲みたくもなるだろう。
そう思って、わざわざ酒を手にギールを訪ねてきたのだ。
「帰れなかったせいで、サシャは奴隷落ち……ブレウには苦労をかけました……私は夫失格です……必ず守ると、苦労はさせないと言って、ブレウを娶ったのに……」
酒を勢いよく呷って、重苦しい溜息をひとつ。
あなたはギールに新しく酒を注いでやりつつ、その背中を撫でてやる。
苦労したんだね……と多くは言わずに、ただ労ってやった。
「う、うう……! それでも、それでもぉ……ブレウは、妻は……嫌だ……妻は、私のものだ……うっ、ううっ……うっうっうっ……」
ギールが嗚咽を漏らして泣き出した。
寝取りによって脳が粉々に破壊されてしまったのだ。
あなたはギールにまぁ飲めと言って酒を注いだ。
「うう、ありがとうございます……」
ぐいぐいと蒸留酒を開けていくギール。
なかなかイケる口のようだ。サシャも弱くはないので、ギールもそれなりに飲めるのだろう。
「うっ、ううっ……せめて、せめて、ブレウと、サシャの近くで暮らしたいのです……どうか、あなたの屋敷で雇い入れてはくださいませんか……」
もちろん歓迎しようではないか。
優れた技術を持った大工と言うのは得難い人材だ。
家の補修や増築などにあたって活躍も見込める。
むしろこちらからお願いして雇いたいくらいだ。
「おお……ありがとうございます……ありがとうございます……」
泣きながら感謝するギールに、あなたは優しい声音で語り掛ける。
もしもよければ、庭に新しい家を建ててそこに住んでもいい。
ブレウとサシャ、そしてギールの家族で過ごす家だ。
仕事場も屋敷内になるので、ずっと近くで過ごせることだろう。
この5年間で喪ったものを取り戻すのには、近い方がいいだろうし。
もちろん、新しい家の建築費用はあなたが用立て、ギールが望み通りの家を建てるのだ。
「そんな、そこまでしていただけるのですか」
可愛いサシャの両親のためだ。その程度はなんでもない。
あなたはそんな優しく理解あるご主人様の態度を見せた。
「ありがとうございます……ありがとうございます……!」
そんな輝かしい未来に乾杯。
そんなことを言って、あなたはギールに酒を注いでやって乾杯をした。
「乾杯……はは、なんだかようやく酒の味が分かって来たような……いい酒ですね、これは」
楽しんでもらえればうれしい。
飲食に関しては雇い入れた者の面倒はキッチリ見るつもりだ。
飲酒も、屋敷で好きなだけ飲んでくれて構わない。
まぁ、泥酔しないだけの節度はちゃんと持ってもらいたいが。
「はは、それはもちろん。粉骨砕身、持てる技術を尽くして一生懸命に働きます。オーナー……どうか末永くお使いいただければと……」
そう言って深々と頭を下げるギール。
丁寧で腰が低いのは職人にしてはやや珍しい気もするが。
こういう真摯な姿勢で仕事をしてくれるのには好感が持てる。
あなたは終身雇用で雇い入れるつもりだよ、と答えた。
そんなことを口で言いながら、あなたはギールの太ももを撫でた。
熟女特有の、むっちりとした柔らかい肉がみっちり詰まっている。
このたぷんと柔らかくも重厚感ある感触は実によい。
「あ、あの」
ブレウを若返らせた薬を用立ててやってもいい。
ギールも若返って、喪った5年間を取り戻してみてもいいのでは?
あなたはそんな悪魔の誘惑をギールへと囁いた。
「わ、若返り……だからブレウは出会った頃のような……わ、私も……!」
どうしたらいいか、わかるね?
あなたはそう言って、傍らのベッドに目をやった。
「わ、わかりました……薬のために……やります……」
ギールは賢い決断をした。
あなたはそんなことを嘯いて、ギールをそっとベッドへと連れ込むのだった……。
ギールをベッドに連れ込んで、優しく、丹念に可愛がった。
娼館に売られていたのだから、たぶん初めてではないのだろうけれど。
でも、あなたとは初めてだからと、あなたは丁寧に丁寧に可愛がった。
キスからはじめて、おたがいの肌に優しく触れ合うだけの愛撫。
背中や肩、そして腕を撫でるだけの、途轍もなくソフトな触れ合い。
そこから少しずつ前に進んでいって、ギールの柔肌をほぐしていく。
それは例えるなら、卵の殻をナイフで少しずつ削って剥くような。
ひどくもどかしくて、怖いくらいに優しくて丁寧な行為だった。
いつもなら処女相手だと、ほぐれ具合を見てフィニッシュを決める。
つまり、外から撫でるだけか、指を1本挿れるだけで終わらせるか。
ギールはそのあたりは経験があってか、かなり慣れているようだった。
だから、指を挿れて、性感帯を探るように優しくまさぐって、柔らかく小さな絶頂を迎えさせた。
軽く息を乱しているギールに、可愛かったよと褒めそやす。
『四次元ポケット』から冷たい水を取り出して、よければ喉を潤してねと渡す。
そんな気遣いの後戯の中で、ギールが自分の腕で顔を覆ってしまう。
「う、うう……やめて、ください……オーナー……」
なにを?
「こんなに優しく、抱かないでください……もっと、乱暴に……」
もしやサシャとは対照的にマゾヒストなのだろうか……。
一瞬そう思ったのだが、今までの反応を見るにそうではないだろう。
では、なぜもっと乱暴に抱けなどと言い出したのだろうか?
「娼館は、乱暴で、痛くて……こんなこと、されたら……好きに、なって、しまいます……」
あなたは気が狂うかと思った。
どうしてそんな可愛いこと言うの? 好きになっちゃうじゃん。
あなたは思っていた以上のギールの愛らしさに思わず笑みが浮かぶ。
なるほど、これは極上の雌になりそうだ。
では、もっともっと優しくして、可愛がって、好きになってもらおう。
元男の女は堕としやすいと言うのも楽しいところだ。
男と言うのはよほどの偏屈、変人でない限り、女が好きである。
そして、あなたは女で、容姿は自分で言うのもなんだが極上のそれだ。
好かれる余地がたっぷりとあって、負ける要素がほとんどない。
さて、溺れるほどに愛して、可愛がってあげようではないか。
ギールの言うような、もっと乱暴なことを……本番までやるとしよう。
だが、痛いだけの行為などで終わらせはしない。
乱暴であっても、怖いくらいに気持ちよくしてあげようではないか。
あなたはうっそりと微笑むと、ギールを可愛がるための道具を取り出した。
あなたが初回で道具を使うことはあまりない。処女相手に無理はさせたくないからだ。
なので処女相手にはやらないが、逆を言えば処女相手でなければ問題ないということだ。
そして、やや口惜しいが、ギール熟女味は今日で食べ収めなのだ。
明日はギール妙齢味……あるいはギール少女味を堪能することになる。
それを思えば、道具を使って可愛がれるのは好都合でもある。
「煮るなり焼くなり、好きになさってください……私は、私は……」
では、お望み通りに。
あなたはギールを自分の女にすべく、全力で可愛がることに決めた。
さて、朝日が昇るまで、ぐちゃぐちゃに可愛がってあげようではないか!
今夜は眠れないな!
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