17話

 サシャとめちゃくちゃに遊びまくった。

 やはり、体力がついてきただけあって、長く楽しめた。

 とはいえ1週間ぶっ続けとはいかなかった。


 3日目くらいで疲れて来ていたので、5日目で切り上げだ。

 まぁ、7日も本気でヤりまくれるのはちょっと異常だ。

 体力がついていっても感覚がついていかなかった。そう言うことだ。

 今度は7日かけて、1つの行為を完成させるスローなのをやろう。


 今回5日間ヤりまくったお陰で、激しく求めあうだけが愛ではないとサシャも分かったはずだ。

 ゆっくりとキスと抱擁だけで満たし合い、7日かけて1度の絶頂を迎える。

 そんなスローな行為が出来るような素地がサシャにもできたはずだ。


 次にできるのは来年の夏季休暇か、あるいはそのさらに先か……。

 まぁ、冒険前のヤリ納めの時にでもやりたいところだ。

 すると、冒険者学園卒業後のソーラス迷宮への再挑戦時と言うことになるか。


 先は遠いが、サシャとの付き合いは長くなるだろう。

 焦ることはないとあなたは自分へと言い聞かせた。





 夏季休暇が終わり、学園へとあなたたちは戻った。

 そして、特筆すべきこともなく時は過ぎて行った。

 暖かな冬が来て、やがてまた春が来て、新入生がやってくる。

 今年もまた男子の新入生をあなたが案内していると、なぜか見知った顔があった。


「よう。よろしく、センパイ」


「よろしくー、センパイ」


 モモロウとトモが居たのである。なんで?

 意味が分からなかったが、とりあえずあなたはすべきことをした。

 つまり、この学園の女子生徒は全員自分のものであると主張した。

 すると、揃って頭痛を堪えるような仕草をされた。


「べつに女漁りに来たわけじゃねえよ……」


「って言うか全員お手付きなんだ……そうなんだ……」


 ではいったいなぜ? 2人に冒険者学園は不要だろう。

 2人とも、ボルボレスアスの訓練所を卒業しているはずだ。

 あそこの訓練は厳しいし、学問に関しても深く広く学ぶ。

 あそこを卒業できたなら冒険者なんぞ楽勝だろう。冒険者学園は不要だ。

 あなたとて3年学んでおいてなんだが、べつに通わなくてもよかったな、と言う結論が出ているのだから。

 サシャとレイン、そしてフィリアのために通う価値はあったが……。


「まぁ、そうなんだが……ちょっと依頼が異様に来過ぎて……」


「僕たち対飛竜、もしくは大型モンスター専門なんだけどね……」


 2人とも疲れた顔でそう言う。

 詳しく聞いてみると、昨年の学園対抗演習から続々と依頼が来ているらしい。

 大型モンスターの依頼ならば気にせずに受けたそうなのだが。


 護衛依頼だの、宝物の調達依頼、下手をすると貴族相手の家庭教師の依頼まできていたらしい。

 ハンターズにしてみれば完全に専門外の仕事だ。

 やってやれないことはないが、やりたくもない。

 なので断っていたが、断っても断っても来るらしい。


「もうめんどくてめんどくて……人間相手は出来ねぇっての。あんたの首切った時もゲロ吐くかと思ったんだぞ」


「宝物とか護衛もね……森の中で希少な植物を探してこいとかなら得意なんだけども」


「そんな依頼やってらんねぇわけ。だから冒険者学園に来たんだわ」


「ここなら門前払いできるからね。宿住まいだと、そうもいかないから」


「ついでに言えば、3年もありゃ魔法くらい学べるだろ。この学園で『修復』の魔法でも覚えてやろうと思ってな」


 なるほどとあなたは頷いた。たしかに悪くない作戦だろう。

 3年もあればさすがにほとぼりも冷めるだろうし。


 魔法に関してはボルボレスアスの民のセンスのなさは尋常ではないが。

 さすがに常人の3倍も4倍も時間をかければ覚えられるだろう。

 逆に肉体的センスはハンパではないので、卒業に関しては戦士系授業を適当に履修すればなんとかなるだろうし。


「あ、でも、さすがに剣が鈍るのは困るからよ。たまに訓練に付き合ってくれよ」


「あ、僕も僕も。さすがに同じ相手とばかりだと偏るからさ」


 あなたはお安い御用だと頷いた。

 モモとトモとの訓練は新鮮味があって楽しそうだし。

 そう言えば、ハンターズのほかの面々も来ているのだろうか?


「ああ、来てるよ。女子寮の方にいってるだろうよ」


「セリナちゃんはいないけどねー」


「まぁ、あの子は常識人だけど、同時に自由人だからな」


 あなたはなるほどとうなずいた。

 今夜に相応しいパートナーは決まった!

 あなたはメアリかリンあたりを夜這いすることを心の予定帳に書き加えた。





 鼻歌混じりに女子寮に戻ったところ、たしかにアトリを筆頭としたハンターズのメンバーがいた。

 そして、先輩にあたる在校生らを相手にギャンブルをしていた。なかなかのクズっぷりだ。


「キキキキ……ギャンブルはたまらんなぁ……!」


「ココココ……いつものメンツでないのが新鮮でござるなぁ……!」


「ケケケケ……全員私のカモにしてやります……!」


「……もしかして私もクククとかカカカとか笑わないといけない流れか?」


 いつ見てもコミカルな面々である。

 盤面を覗いてみると、トランプで勝負をしているようだ。

 人数が多いのでそうではないかと思っていたが、ポーカーをしているようだ。


「お、主殿。へいよー、でござる」


「なんだそのあいさつ。へいよー」


「へいよー、お嬢様」


「へいよー」


 あなたもへいよーと手を挙げて返事をしておいた。

 特に意味もなくノリがいいのも彼女らの特徴だ。


「冒険者学園の女率高過ぎでござらん? 元男がかなり混じってござろう?」


 キヨの目敏い質問にあなたはかなりがそうであると答えた。

 だいたいだが7割くらいが元男だ。学園が元々そう言う男女比率だったので分かりやすい。


「前に聞いたこともあったが、なかなかエグいな……」


「いままで男として生きて来た人生を擲つって言うのもすごいですね……」


「女への性転換は男にしかできないきわめて男らしい行為だから、彼らは男らしさのために身を捨てたということにしておこう」


「なかなかの超理論出て来たでござるな……すると女装も男らしい行為でござるか」


「待てよ。その論法で行くと、女装した上でケツを掘られてトコロテンするのは最大限に男らしい行為なのでは?」


「最悪でござる」


「まさかモモが女の子にされているのが、この地上における男らしさの頂点に座する行為だったとはな……」


「その発想はなかったですね……」


「これからは女の子にされるではなく、男らしくなると表現することにしよう」


「最悪だな」


 あなたはハンターズの頭のやわらかさに感銘を受けた。

 なるほど、たしかになんて男らしい行為なのだろうか。

 自分には至れない発想だった。考えたこともなかったし。


「その最も男らしいモモから、私らの事情は聞いたか?」


 めんどい依頼を避けるための退避に入学したと聞いている。

 あなたがそう答えると、その通りとアトリがうなずいた。


「であれば説明は不要だな。そう言うわけなので、おまえの卒業までの1年間、後輩として世話になる。センパイちゃんと呼んだ方がいいか?」


 あなたは好きにして欲しいと答えた。

 センパイちゃんと言うあだ名はかなり好きだ。

 だからと言ってそれを強要するほどでもない。


「そうか。まぁ、気が向いたらそう呼ぼう。仲良くしてくれ」


 言いつつ、アトリがちょいちょいと顔を寄せろとジェスチャーをして来た。

 その指示通りに顔を寄せると、アトリがあなたの顎に手をやり、キスをして来た。

 触れるだけの優しいバードキス。アトリの懐かしい香りがした。


「これからよろしく頼む、センパイちゃん」


 なんてセクシーな挨拶だろうか。あなたは身もだえした。


「おい、私も口吸いしてやろうか?」


「かーっ……卑しい女でござるな……拙者もするでござる」


「あ、お嬢様! 私も! 私もキスしたいです!」


 新入生のうち4名が既に陥落済み。最高だった。





 オリエンテーションが終われば予定はない。夕食を食べて就寝である。

 日没前の食堂は夕食を食べる生徒で賑わい、歓談に花が咲く。

 ギャンブルを続行しているハンターズとカモられている生徒たちもいる。

 仁義なきイカサマポーカーなので、割と悲惨なことになっているようだ。


 来年に向けて、今年の寮長が副寮長に食事がてら教育をしている姿も見えた。

 寮長の座は副寮長が継ぐのが基本である。来年に向けての教育と言うわけだ。

 ただ、副寮長は複数人いることもあるので、いずれか1人が引き継ぐ。

 寮長になれなかった副寮長は翌年も副寮長の座を継続する。


 昨年の副寮長は3人いたが、元男子生徒の女子生徒が寮長になったようだ。

 昨年、あなたが壁ドンしたところを後輩ちゃんに見られた副寮長だ。

 ちなみに「もうセンパイちゃんの毒牙にかかってる子がいる……」などと嘆いていた。


「お姉様、お隣いいですか?」


 そんな光景を眺めながら食事をしていたら、フィリアが声をかけて来た。

 あなたはもちろん構わないとうなずくと、フィリアがそそくさと席に着く。


 あなたは食堂の奥の方の席が定位置だ。

 なぜなら、あなたの周りには人が集まることが多い。

 中心や入口近くだと往来の迷惑になるからだ。


「最後の年ですね……お姉様は卒業用件は満たしてるでしょうし」


 もちろんだ。あなたは授業はすべて真面目に受けている。

 と言うか、EBTGに不真面目なメンバーはいない。

 強いて言えば、二日酔いの回復のためにサボるレインくらいなものである。

 それにしたってサボっても問題ない授業のみに絞っているし。


「計算高くサボるのも、それはそれでどうなんでしょうね……」


 まぁ、たしかにその通りではあるのだが。


「ところで、お姉様。お風呂の前に、ちょっとだけ試合してもらえませんか?」


 もちろん構わない。

 夕食前か夕食後に自習をする生徒は多い。

 あなたがサシャやフィリアに誘われることは珍しくなかった。


「ありがとうございます。最後の1年ですからね……悔いのないようにがんばりたいです」


 この3年間で、フィリアは強くなった。

 総合的な強さ自体はさほど向上していない感じもするが。


 純粋な肉弾戦技能を積み、より高度な戦闘技術を体得した。

 もはや前衛の戦士として過不足なく働けることだろう。

 武具も新調し、強力な呪文詠唱者であり、同時に屈強な戦士になった。


 元から頼れるメンバーだったが、より頼れるようになった。

 そして、これからもっと頼れるようになることだろう。



 夕食後、軽く食休みをした後に自習のためにあなたは外に出ていた。

 夕食後なので、もはや日没も間近の燃えるような夕焼けだ。

 あまり長引くと日没を迎えてしまうが……。

 あなたは元から夜目が効くので問題なく。

 フィリアは魔法によって視野を補える。

 あまり遠距離までは見えないらしいが。

 遠距離戦をするわけではないので問題ない。


 『ポケット』の魔法による武具の着脱。

 これによって、フィリアが瞬く間に戦闘態勢を整える。


 修道女らしいローブ姿の上に、立派なプレートメイル。

 手にしているのはメイスではなくバスタードソードにカイトシールドだ。

 バスタードソードは割と特殊な武器なのだが……。


「ザイン様……どうか私の剣にあなたのご加護を……!」


 名誉と犠牲の神ザインの愛剣はバスタードソードらしい。

 だから信者もがんばってバスタードソードの扱いに習熟する。

 ちょっとよく分からない理屈だったが、まぁ、そう言うものと言われたらそうなのだろう。


 なので、フィリアはなんらの過不足なくバスタードソードを使いこなして見せる。

 そして、この学園に入学して以来バスタードソードの訓練に専心していた。

 もはやバスタードソード使いとして熟練し、開眼していると言ってもいいだろう。


「いきます!」


 勢いよく突っ込んで来るフィリア。実にいい思い切りだ。

 そして振るわれるバスタードソードをあなたは愛剣で捌く。


 マジモンの武器でやっているので、当たれば普通に命が危ない試合だ。

 しかし、あなたの場合は脳天や首筋に直撃しても、痛いとぼやく程度で済む。

 フィリアの方は、あなたがよっぽどうっかりしない限りは叩き切られることはない。

 万一にも叩き切ってしまったら、ちゃんと蘇生する用意はある。


「たあっ!」


 剣戟の中にカイトシールドによるシールドバッシュが混ぜ込まれる。

 あなたはそれを軽やかな脚捌きで躱す。以前のあなたにはできなかった身躱しだった。

 セリナに基本を教えられた内功の技術はこの2年間でしっかりと磨かれた。

 まさか2年でここまで……いやまだ合格はやれない……などとセリナが焦るくらいの進捗度だ。

 まぁ、体感では既に20年くらいやってるので当然の進捗度と言えばそうなのだが。


 攻撃の精度も向上し、さらには身体制御の熟達により走る速度も上がった。

 習熟すればするほどに恩恵の強さが分かる。訓練はきつかったが、磨いてよかったと思える。


「ああもう! 全然通らなくて嫌になります!」


 フィリアの愚直な剣戟をことごとく捌き、躱すあなた。

 以前は身体能力任せに無理やり受けることも多かった。

 実際、それが出来るならそちらの方が楽だし強い。

 そして、対戦相手はなんとなく強く打ち付けられるので、多少は通ってる感が味わえる。


 が、いまのあなたは軽やかに躱すことが出来るようになった。

 そのため、ちっとも攻撃が当たらず通らないので、余計に力量差を感じるようになったらしい。


 フィリアの剣戟を捌き、その最中にあなたも適度に攻撃を加えていく。

 打ちのめすのではなく、フィリアに防御をさせるための攻撃だ。

 攻守のバランスを的確に整えられてこその戦士である。

 フィリアは鎧で受け止めたり、盾で逸らしたり、剣で受けたり。

 少なくとも迂闊に喰らうようなことはなく、この点でも安心できる。


 血を流さない試し合いが十数分に渡って続いた。

 そして、フィリアが限界に達して手を止めた。


「はぁ、はぁ……こ、降参です」


 10分近く全力で攻防を続けられたので、上等と言っていいだろう。

 並みの人間のはるか上を行く戦闘力の発揮と言える。


 フィリアの身に着けていた武具が消え、いつも通りの姿になる。

 『ポケット』による着脱だ。後で手入れは必要だが。

 そして、フィリアが勢いよく修練場の土の上に倒れ込んだ。


「ぜぇ、ぜぇ……あ、暑い……春なのに暑いです……」


 まぁ、あれだけ全力で動いたらそうもなる。全身武装していたし。

 信仰形の魔法使いは、技術ではなく祈りによって魔法を使う。

 そのため、重い武具を装着していても、魔法行使の妨げにならない強みがあるんだとか。


「ふぅ……やっぱり、お姉様は強いですね……」


 EBTGのメンバーで最もあなたの強さを理解しているのはフィリアだろう。

 かつてフィリアが所属していた冒険者チーム『銀牙』を圧倒的な暴力で圧殺したのはあなただ。

 その暴威に直接的に曝された。恐ろしさは誰よりも骨身に沁みて分かっているはずだ。


「少しは届くかと思ったんですけどね……」


 そう言えばと。あなたは『銀牙』を皆殺しにされた点について何か思うことはないのかとフィリアに尋ねた。

 まったく今さら過ぎる質問だが、あなたはフィリアの仲間たちを全員殺したのだ。


「うーん……なんとも思わない、とまでは言わないんですが……冒険者と言うのは、そう言うものでしょう」


 フィリアはずいぶんとあっさりしていた。

 エルグランドと似たような感覚で考えていい事柄だったのだろうか。


「いえまぁ、真っ当な依頼を請けて、それをこなしていてああなったのは今でも納得はしてませんが」


 多少は思うところはあるらしい。

 まぁ、そうだろうなとあなたは頷いた。


「でも、そう言うこともあります。理不尽なことは世の中にかならずあります。むごいことですが、そう言うことはあるんです」


 そして、フィリアはその上でそう言うものだと頷いた。


「私は理不尽によって孤児になり、修道女になり、冒険者になりました。理不尽なことに抗うには、力が必要なんです。でも、お姉様に抗うには力が足りませんでした」


 では、力を身に着けて、いずれは反旗を翻すつもりと言うことだろうか?


「もう……私がそんなに器用じゃないって、分かってて言ってるでしょう、お姉様」


 唇を尖らせてフィリアがすねたような顔をする。

 分かってはいたが、聞いてみたかったのだ。


「私を愛欲や情欲で欲する人はいました。でも、私を慈しんでくれる人はいませんでした。私が私であるだけでいい……そう言ってくれる人は。でも、お姉様は違いました」


 女の子と言うだけであなたにとっては世界で一番お姫様案件だ。

 フィリアがフィリアであるだけでいい。これはあなたにとって当然のことなのだ。


「あんなに可愛がって、私のことを愛してくれる……そんなのから逃れられるわけないじゃないですか……」


 圧倒的な暴力で打ちのめした後、甘い言葉をささやいて陥落させる。

 なんだか詐欺の手口のようだ。むしろ洗脳に近いことではあるのだが。

 あなたにとっても、フィリアにとっても得しかないので……OKだと思いたい。

 たぶんフィリアも分かった上で、あなたの精一杯の愛を認めてくれているのだと思う。たぶん。


「まぁ、アルベルトとかミセラが死んだのは、ちょっと可哀想かなと思いますが……」


 では蘇生してやればいいのではないだろうか。

 べつにそれをやる分にはあなたが口出しをすることはない。


「え、いいんですか?」


 むしろなにがいけないのかわからない。

 あの場合、ザーラン伯爵家当主の……名前の分からないオッサンを殺したかっただけだ。

 それがレインからの依頼だったのであって、『銀牙』はその達成の障害だったに過ぎない。


 べつに『銀牙』になにか恨みがあるとか、隔意があるとかではないし。

 もっと言えば『銀牙』の排除が依頼だったわけでもない。

 つまり、森を歩いている時に藪が邪魔で切り開いたのと同じこと。

 その藪がまた生えようとどうでもいいし、植樹をする奇特な人間がいても止めはしないだろう。


「なるほど……もっと早く知りたかったですね……私の蘇生魔法は死んでから2週間も経つと蘇生できなくなってしまうので……」


 『ミラクルウィッシュ』のワンド使う?

 あなたが気軽にそう申し出ると、フィリアが大きく溜息を吐いた。


「なんていうか、お姉様と話していると、真剣に考えているのがときどき馬鹿らしくなります……」


 褒められたのだろうか。貶されたのだろうか。

 どっちなのか判別がつかず、あなたは首を傾げた。


「まぁ、いずれはもっと高位の蘇生魔法に手が届くでしょうし……その時に自力でなんとかしますよ」


 なるほど、それもまたよしだろう。

 自身の手で解決できるのを目標とする。それもまたよし。

 あなたはそのように頷くと、沈み出した太陽へと目をやる。

 息は整っただろうか? そろそろ完全に日が沈んでしまう。

 急いで風呂に入りにいかなければ、真っ暗闇の中で入浴をする羽目になる。


「あ、いけない。早くお風呂いっちゃいましょう」


 慌ててフィリアが立ち上がる。

 あなたもお風呂には入りたいので足早に風呂を目指す。

 ついでに、あなたはフィリアにそっと囁いた。

 お風呂の後、部屋にいってもいいか、と。


「はい……お待ちしてます」


 夕焼けの色か否か、顔を赤く染めながらも、フィリアはそのように答えた。

 修練場で存分に剣と肉体をぶつけあったのだ。

 ベッドの中でも熱いぶつかり合いをするとしようではないか。


 今夜は眠れないな!

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