第91話
「あの、ご主人様」
サシャが声をかけて来た。サシャが先陣を切って大サービスをしてくれるのだろうか?
そう思っていると、サシャが突然上衣を脱ぎ捨てた。いったいどうしたのだろう。
サシャは上半身を下着一枚だけになると、身に着けているブラジャーの肩紐を片方だけ外した。
「え、えと……こ、ここから先は、その杖を使わせてくれたら……です」
あなたは喜んでサシャに杖を差し出した。
普段からいくらでも見てるだろ、とツッコまれそうだが、これはそう言うことではない。
サシャがこういうことをしてくれたという、その行動に敬意を表しての褒賞なのである。
「わぁい!」
サシャが喜んで杖を受け取る、あなたは続きを促した。
「そ、その……それは、夜にベッドの中で……」
ここでおあずけとは! サシャもなかなか焦らすのがうまくなった。
たしかに今は朝。しかも周囲には他に人がいる。おあずけの宣告も妥当と言える。
しかも、ストリップの続きのみならず、ベッドと言うことでさらにその先への期待まで持たせてきた。
これはもう大興奮して夜を待つ以外にあなたにできることはない。完敗だった。
あなたは拳を握り締めて、サシャもえっちな子になった……と感慨深く呟いた。
「ほ、褒められた……のかな?」
「貶されてるようにも聞こえますけど、お姉様のことだから褒めてるんだと思います」
「そ、そうですよね……」
とりあえずサシャが下着をしっかり身に着け、上衣を着直す。
「願いが叶う杖……よーし……」
サシャが杖を振る。実のところ使うに際して振る必要はないのだが……。
まぁ、振ればだれにでも使えるので振るのも間違いではない。
「えーと、空を飛んでみたいです!」
サシャがそう叫び、がらんごろん、と音を立てて、サシャの前に空のバスケットが転がり落ちて来た。
「え、と……?」
空を飛びたい、では願いとして受理されなかったのだろう。
そのため、空を空っぽのものと解釈し、空っぽの何かが与えられたということだと思われる。
『ミラクルウィッシュ』のワンドを使うと願いの女神の声が届くが、あれは録音であり、割と機械的に願いを判断しているらしい。
録音であるという根拠は女の声なら聞き間違えないあなたが何度も聞いて確認したからだ。
「え、ええええ……! そんなぁ……」
空を飛ぶ魔法を発動したい、とかだったらたぶん問題なく成功したと思われる。
空を飛びたい、では曖昧過ぎてダメだったのだろう。空を飛べる靴が欲しい、とかでも成功したと思うが。
「たしかに使い方が難しいのね……ねぇ、たとえば、自分の知らない魔法が使いたい、だとなにが起きると思う?」
おそらくその願いならば魔法自体は発動する。
ただ、なんの魔法が発動するかはあなたでも分からない。
ひとつ言えることは、その願いで『滅びの呪文』が発動する可能性は十分にある、と言うことくらいだ。
「……つまり、メテオスウォームとか、ヴァーミンテンペストが発動するってこと?」
『滅びの呪文』は究極破壊兵器のひとつと言われるが、実態はただの魔法だ。
難易度と破格の威力、そして消費魔力量から大魔法に分類されはするが、あくまでも魔法のひとつにすぎないのであるから、『ミラクルウィッシュ』での再現は十分可能だ。
「やばいわね……」
そのため、願う場合としては、具体的な魔法名を指定して、それを再現したいと述べることだ。
少々もったいない使い方ではあるものの、起死回生の一手としての価値は十分にある。
自分の使えない魔法を使う場合であるとか、魔法の使えない味方に持っておいてもらっていざと言う時に使うなどの使い方がある。
「そっか、サシャでも使えるから、たとえばサシャに回復魔法とか、蘇生魔法をいざと言う時に……」
「蘇生魔法は戦闘中には使えませんけど……もしかして、その杖なら……?」
『ミラクルウィッシュ』は結果を無理やり持ち出してくる魔法だ。
それがどんな代物であれ、『ミラクルウィッシュ』の力を超えない範囲であれば叶う。
高位の魔法や、異質過ぎる魔法では再現失敗の可能性こそあるものの、単なる蘇生であればなんら問題ない。
「蘇生にも低位、高位とあるのですが……この場合、どうなりますか?」
エルグランドの蘇生魔法は、この世から肉体が消滅した場合であろうとも即座にその場に復活させ、また肉体的、精神的負荷を生じさせない。
つまり死亡前の状態に即座に元通りと言う感じだ。詠唱時間も他の魔法となんら変わらず即時発動である。
「え、いや、それ最高位蘇生魔法と同じ……あ、あの、それ、そのワンドで出来る……んですか?」
もちろんできる。
「お姉様の言う高位とはいったい……」
周辺の生物をみんな纏めて蘇生したりする感じだろうか。
『ミラクルウィッシュ』のワンドを使う場合、どうしても1人しか蘇生できない。
エルグランドの高位蘇生魔法である『再誕の時、来たれり』は周辺の死者を文字通りまとめて復活可能だ。
まぁ、使う人間はほとんどいないが。魔力制御技術が極めて高くないと敵も蘇生してしまうのだ。
「なるほど、範囲化はたしかに高等魔法ですからね……そもそも範囲化蘇生魔法が必要な状況なんてないから存在しないだけ、かな」
「それが使えないにしろ、最高位蘇生魔法がノーリスクで即時発動可能って……あれってたしか、神官たちが長時間儀式をやってようやくできるのよね?」
「えーと、あれは儀式魔法なので……本当のほんとうに高位の神官なら1人で10分前後の詠唱で発動可能……らしいです。枢機卿様なら出来る……のかな?」
「あやふやね」
「実物は見たことがないもので……」
「まぁ、それもそうか」
その辺りの話はともかくとして、レインとフィリアは誘惑してくれないのだろうか?
「扱いが難しいって分かったから、とりあえず今はいいわ」
なんと言うことだ。レインの誘惑がなしとは。
あなたは悲しくなってうなだれた。
「お姉様」
フィリアに声をかけられ、あなたは頭を上げた。
すると、フィリアが自分の胸を持ち上げているではないか!
たぷんとした質量は素晴らしいもので、あなたが用意した下着の成果もあり蠱惑的なラインを描いている。
「さ、触りたいですか……?」
触りたい。
あなたは即答し、手をわきわきとさせた。
「ふふ……触りたかったら、そのワンドが欲しいです……」
あなたは喜んでフィリアにワンドを差し出した。
あなたは10代の男性よりも誘惑に弱かった。
「わぁ、ありがとうございます、お姉様。さぁ、ご褒美ですよ~」
なんとフィリアは今すぐ触らせてくれるらしい。
おあずけのサシャ、即ご褒美のフィリア。なんともたまらない。
フィリアにまでおあずけをされたら、あなたは苦しみ悶える羽目になっていただろう。
だが、フィリアがここでご褒美をくれたお陰で、夜まで耐えることができる。
あなたはこんなにも素晴らしいペットを2人持てて、なんて幸せなのだろうと涙した。
「やぁん、もうっ。お姉様の触り方やらしすぎですよ」
あなたはウヘウヘヘと笑いながらフィリアの胸を弄ぶ。
最高である。大きな乳房を弄んでいる瞬間が一番生を実感できる。
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