第65話

 サシャはそれはもう可愛かった。可愛すぎた。

 2日間ずっと可愛がり続けた。サシャはまたひとつ大人になった。

 フィリアとサシャが随分頑張ってくれるので、あなたは結構な満足感を得られるようになってきた。


 肉体的な強度がだいぶ高まってきたサシャは本当によく頑張ってくれた。

 2日間、優しく、蕩けるほどにサシャを愛し、拙いながらにサシャも応えた。

 あなたの技を真似て、覚束ない動きながらも応えてくるのはなんともいじらしい。

 一生懸命頑張っている姿を見ると、実際の感覚はともかく、胸が満たされるような心地よさを感じられるものだ。


 疲れ果てて眠っている可愛いサシャを撫でながら、あなたは満たされた心地で眠りについた。





「本当に2日間好き放題やってたわね……」


 呆れたような声音で。しかし、なにやら妙に切ない目つきで、レインはそのようにあなたを詰った。

 体は年相応に成熟しながらも、その経験を一切持たない少女と言うのは可愛らしい。

 そしてなにより、その少女にほんのわずかなさわりを与えてやり、その後を見守るのも最高だ。


 もっと知りたい。けれど自分1人で知ることはできない。

 教えて貰えばいい。だけど恥ずかしくて言えない。

 そんなもどかしい気持ちを抱きながら過ごしている姿はたまらない。

 いつ自分からおねだりしてくれるだろうか。あなたは楽しみでたまらなかった。


「今日いっぱいは休みだけど、あなた、あとはなにをするの?」


 これからデートしてくる。可愛い子が王都の宿にいるのだ。あなたはそう告げた。


「そう……勝手にしなさい。変な病気をもらっても知らないわよ」


 切なげな眼付で、でも口では憎まれ口を叩く。

 これが実に可愛い。あなたは笑いながら伯爵家を出た。



 あなたが訪れた先は明けの黄金亭。

 そう、ハンターズのメンバーが逗留している宿屋である。

 今日もいるといいのだが。いなければこのままナンパに繰り出す所存である。

 そう期待して扉をくぐったあなたを出迎えたのは、隔離されたように周辺に誰も座っていないテーブルについているハンターズの面々だった。

 よっぽどの暴力を振舞ったらしく、遠巻きにしている客たちは死んだように静かだ。


「あっ、お嬢様! お嬢様!」


 そして、メアリがあなたの姿に気付くと勢いよく立ち上がり、あなたへと駆け寄ってきた。

 メアリはあなたの前で立ち止まると、あなたの手を掴んで両手をぎゅっと握り締めて来た。


「会いたかったです……今日は遊びに来てくれたんですか?」


 本当にうれしそうにしているメアリには申し訳ないのだが、今日はメアリに用事はなかった。


「あ……そうなんですか……」


 悲しそうにするメアリに心が痛む。

 やっぱり今日もメアリと遊ぼうかな……。

 そんな思いが鎌首をもたげるが、あなたは頭を振ってそれを振り払った。

 代わりに、あなたはこんな提案をした。


 あなたは冒険に出る前にヤり納めをする。それはもうたっぷりと愉しむ。

 その時、メアリと心行くまでたっぷりと愉しみたい。次は制限時間も無しで。


「制限時間、なしで……! いっぱい、いっぱい可愛がってくれるんですか?」


 そう、いっぱい、いっぱい可愛がる。それはもう心行くまでだ。

 あなただけの可愛いネコ耳メイドとして、蕩けるほどに愛し合う。

 お互いの体と心を結んで、どこまでも深く溶け合うのだ。


「ふぁぁ……しゅごい……そんな、私、どうなっちゃうのかな……」


 あなたはメアリを抱き寄せると、その唇にキスをした。

 メアリが眼を閉じて、あなたのキスを受け入れる。

 そして、舌を無遠慮にメアリの口内へと侵入させると、メアリの舌もそれに応えた。

 あなたとメアリの舌が絡み合うエロティックな水音が響き、メアリの甘い吐息が漏れる。


「ぷぁ……お嬢様……」


 ディープキスから解放されたメアリはあなたの胸元に顔を寄せ、縋りつくように抱き着いてくる。

 あなたはメアリを力強く抱き締め、頭頂部の耳元でそっと囁いた。

 いい子にしていたら、いっぱい可愛がってあげるし、ご褒美もあげるから……その時まで、いい子にしてるんだよ、と。


「ふぁい……待ってます……私、いい子にしてます……あなたの、かわいいねこちゃんとして、可愛がってください……」


 甘えるような目つきで見上げるメアリにあなたは微笑むと、席に戻るように促した。

 そして、信じられぬものを見た……というような顔をしているモモたちにあいさつをした。


「あ、ああ、おはよう……あの、悪いんだが、メアリとイチャつく時は俺たちに見えないところでやってくれないか」


 あなたは首を傾げた。

 べつにその申し出自体に問題はない。

 しかし、なぜそこまで嫌そうなのか。

 嫉妬しているとか、そう言うことではなく、純粋に嫌そうなのだ。気持ち悪げにしているというか。


「うん、まぁ……色々と事情があんだよ、色々とな……みんな吐きそうだろ」


 モモもそうだが、アトリも、リンも、キヨも、全員が気持ち悪そうにしている。

 トモだけが平然としていて、メアリのことを見てによによと笑っている。


「うん、見えないところだったら好きにしていいから……メアリをネコ耳堕天使スク水眼鏡つきエロメイドとかにしてもいいから……」


 あなたは頷いた。メアリにすごいことをしていいらしい。

 もちろんすごいことをする。好き放題だ。


「……で、今日はどうしたんだ?」


 あなたはここに来た目的について話した。

 もちろん、全員食べていいとモモに言われているのだから全員食べるためである。

 アトリとは以前に逢瀬を愉しんだので、とりあえずはリンかキヨだ。


「ああ、そう。御指名だぞ」


 モモの言葉にリンが頷いた。


「やらないか」


 ド直球のお誘いだった。嫌いじゃない。

 あなたは嬉々として頷こうとしたが、その前にモモが噴き出した。


「誘い方が男らし過ぎて竹」


「まったくでござる。拙者が手本を見せてやるでござるよ」


「ほう、やってみろ」


 今度はキヨがお誘いをしてくれるらしい。楽しみだ。

 そう思っていると、突然キヨはあなたの見ている目の前で上衣の帯を緩め始めたのだ!

 キヨが帯を解き、ゆるりと胸元を開くと、真珠のように美しい柔肌が露となり、乳房の膨らみが垣間見えた。


「やらないか」


 リンと言葉がまったく同じだが、誘い方が最高にそそる。

 あなたは血走った目でキヨに迫り、手を掴んだ。

 ぜひやろう、いますぐやろう、さぁやろう。


「そう言うわけでござるよ。では」


「やはり、肌を出した方が強いな」


「だな。次は服の中に手突っ込ませて乳揉ませてやったらどうだ? だいたいのやつはそれで落ちるだろ」


「そうする」


 背後から聞こえるそんな声にあなたは次の楽しみを予想して笑みが止まらなかった。

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