第62話
「はぁ、ん……はぁ……お姉様、私もう、壊れてしまいそうです……」
息も絶え絶えと言った様子でフィリアは言う。
ぐったりとベッドに身を横たえる姿はなんとも扇情的だ。
重力に逆らって形を主張する豊かな乳房のなんと蠱惑的なことか。
とは言え、日も昇り出した頃合いだし、フィリアも中々いっぱいいっぱいと言った感じである。
そのため、あなたはこの辺りまでにすることにした。
可愛かったよ。と優しく語り掛けて、あなたはフィリアの頬にキスをした。
「ん、ふふ……お姉様、もっと、キスしてください……」
可愛いフィリアのためならいくらでも。
あなたは望まれるがままにキスをした。
お互いを貪り合うように、深く深く、キスをした。
「はぁ……お姉様のキス、熱くて、甘くて……」
陶然と、あなたの贈る口づけに蕩けるフィリアの姿には、ハッとするような色気が漂っている。
少し前まで同性どころか異性の経験すらもなかったとは思えないほどだ。
この娘を自分がここまで仕上げたのだと思うと、なんとなく誇らしいような気持ちにもなる。
「お姉様ぁ……」
蕩けるような笑みを浮かべて、フィリアはあなたの胸に体を預ける。
あなたはフィリアを優しく撫でると、少し眠ろうと語り掛けた。
朝まで愛し合い、存分に朝寝をするというのは堪えられない快感だ。
存分に朝寝をし、ゆったりと入浴し、朝食兼昼食を摂り、あなたは穏やかな午後を過ごしていた。
フィリアは未だ就寝中。あなたはサシャとレインで机を囲み、ティータイムを愉しんでいる。
「貴族もかくやってレベルで優雅な生活を送ってるわね、あなた……」
「絵に描いたような放蕩者って感じですよ、ご主人様」
同席している者たちが呆れたような眼で見ているが、あなたは気にも留めなかった。
冒険者と言うのは大体こんなものである。一仕事終わったら存分に愉しむ。そう言うものだ。
もちろん、仕事に向けてコンディションは整える。だいたい、ほどほどに遊んでいるのだから、これくらいは許されるだろう。
「ほどほど……?」
「レインさん、大変です。私、今までほどほどって適度にっていう意味だと思ってました。でも、本当は際限なくって意味だったみたいです」
「そうね、私もそう言う意味だと思ってたわ。でも、違ったようね。屋敷の辞書も書き換えなきゃ」
あなたもそう言う意味だと認識している。なんの話をしているのだろう。
「あれで、ほどほど……? フィリアと朝までやりたい放題して午後まで寝てるのが……ほどほど?」
1週間ずっとヤリ通しとかではないので十分ほどほどだ。
「そうね、それに比べればマシね。でも比較対象がおかしいわ。ついでに言えばあなたの頭もね」
「い、1週間……ずっと……わ、私、そんなの、死んじゃいます……」
サシャは顔を赤くして震えている。可愛い。
2日くらいなら頑張ればいけない?
スパークソーダを飲みながらなら、3日もいけるんじゃない?
あなたはそんな風に言葉でサシャを軽く嬲った。
「そ、そんなぁ……私、おかしくなっちゃいます……で、でも、ご主人様が、どうしてもって言うなら……」
どうしても、どうしてもしたい。
あなたは真剣な顔でサシャにそう言った。
「は、はい……その、おまち、してます……」
「ちょっと、私の前で夜の相談とかやめてくれない!?」
これは申し訳ないことをした。
サシャの次はレインとも。
あなたはそう言ってレインにウインクをした。
「そ、そう……それなら……そうじゃないわよ! 真昼間から話すことじゃないって言ってんのよ! あんたほどほどにしないとこの屋敷の使用人全員男にするわよ!」
あなたは震え上がってレインに真剣に謝罪をした。
今後はレインの前でこういう話はしないと。
なので、出来れば男は全員クビにして使用人はすべて女にして欲しいと。
「使用人の件は考えておく! 夜の話についてはそうしてちょうだい! それで! あなた、今後はどうするつもりよ?」
とりあえず王都の女性を片っ端からナンパする予定である。
だが、レインが聞いているのはそう言うことではないだろう。
そのため、あと3日ほど休んだら迷宮に挑む予定であると答えた。
「ああ、そう。3日間は準備期間ってこと?」
それはちょっと違う。冒険に挑むというのは準備期間を含めて冒険なのである。
そのため、3日間は本当に休む。冒険のことは一切考えない。存分に遊び暮らすのだ。
それから冒険の準備をして冒険に挑む。準備期間は、今のところ未定だ。
「ふぅん。そう言う風にメリハリをつけてるのね。分かったわ。計画を立てるには目標を決める必要があるけど……どこの迷宮に挑む予定なの?」
どこと言われても、まず迷宮とやらがどれくらいあって、どういうものなのかをあなたは知らない。
エルグランドにおいては地殻変動によって現れたる過去の遺跡たちがそうである。
洞窟のみならず、塔や城が現れることもある。エルグランドの長きに渡る歴史の影に消えて行った存在だ。
そのため、探索をするにしても、精々が2日や3日程度で終わる。最下層には、その遺跡を根城とするなんらかの存在が待ち構えている。
あるいは同業の者が既に探索をしており、迷宮の最下層で得た戦利品を独り占めにしようと、入り込んで来た冒険者を襲うなどする。
「それって迷宮じゃなくて、単に遺跡じゃない」
そう言われるとたしかにそうなのだが、エルグランドではそうしたものを迷宮と呼んだのである。
曖昧な判別ではあるが、既に使われなくなって久しいものを遺跡と呼ぶのは変わらないが。
そうした遺跡のうち、地殻変動に呑まれて消え、そして現在になって現れたものを迷宮と呼ぶのだ。
「ふぅん……じゃあ、この大陸における迷宮について教えてあげるわ。よーく聞いて覚えること」
なんてレインがピンと人差し指を立てて言う。
女教師レインの個人レッスンと言うわけだ。
なにやら実に胸が滾る。女教師らしいローブを今度着てもらおうとあなたは胸に決めた。
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