第53話

 ちょっとした団欒の後、各々が行動をはじめた。


 レインはザグラとやらを調べて推薦状を出すほか、ちょっとした根回しを。

 フィリアは冒険者ギルドにパーティー関連の手続きを。

 あなたはサシャに字を教えてもらうことにした。


 少しは読めるものの、とてもではないが読み書きができると言えるレベルではない。

 ここは伯爵家であるので蔵書も相応の物があるため、字を習うには都合がいい。

 とりあえずは、子供が読むという絵本を読み聞かせてもらっての練習である。字を覚えるための本とは贅沢な話だ。


 せっかくの読み聞かせであるから、あなたはベッドに身を横たえて教えてもらうことにした。

 サシャもいずれは結婚し、子を産むだろう。絵本の読み聞かせ、その予行演習である。


「気が早いですよ」


 なんて笑いながらも、サシャは絵本を手にベッドに身を横たえた。

 あなたももちろんベッドに身を横たえて、サシャと並んで絵本を開く。


「では、はじまりはじまり。むかしむかし、あるところに……」


 あなたはサシャの服に手をかけた。


「えっ? ご、ご主人様?」


 どうしたのだろう? 早く続きを読んで欲しい。


「は、はい。む、むかしむかし、あるところに、一匹のアヒルがいました」


 サシャの胸元をはだけると、簡素な下着に包まれたサシャの胸がある。

 その胸を覆う下着も緩めてはだけてやると、なんとも可愛らしい胸が姿を現した。

 なんと可愛らしくも美味しそうなのだろうか。あなたはそれを味わうべく舌を這わせた。


「ひうっ。あ、アヒルは、ほかのアヒルたちと違って……」


 舌先で可愛らしい頂点を弾くと、サシャがビクリと震える。

 サシャは震える手で絵本のページを捲り、身悶えしながらも続きを読んでいる。


「み、醜い姿で産まれ……あっ!」


 ちゅぅ、と吸い付くと、一際強くサシャがビクリと震えた。

 あなたがたっぷりと可愛がったサシャは全身敏感で優秀な少女へと成長した。

 肉付きもよくなり、健康的な肢体は若々しい生命力に溢れている。

 ほのかに香る石鹸の香りと、サシャの体臭も心地よい。


「あ、アヒルは、ほかの、アヒルっ、からもいじめられて……」


 とくとくと鼓動を打つサシャの心音が聞こえてくる。

 あなたの愛撫で鼓動が速く、強くなっていくのが愛おしい。


「はうっ、く、ふ……! あ、アヒルは、生きることに、つ、疲れて、しまいました……」


 必死で絵本を読むサシャの姿はなんとも健気だ。

 本当にサシャを買えてよかった。こんなに可愛い少女が金貨500枚で買えたのは最大の幸運だろう。

 あなたは帰ったらもっともっと料金を積み増しすることを決意した。


「あ、あひ、アヒルは……こ、殺してもらおうと、は、白鳥のいる、湖に、いきました……」


 あなたが唇を離すと、歯を立てて実に優しく噛みついた。


「あぁっ! それ、やだぁ! あっ、あー!」


 ついにサシャが本を取り落とし、悲鳴のような声をあげる。

 本を読み出してから1分くらいしか経っていない。なんとも敏感で楽しいペットである。

 あなたはちゃんと読み聞かせもできないとは、お仕置きが必要だと語る。


「は、はい……も、もうしわけ、ありません……」


 あなたはサシャが読み聞かせができるようにしつけをすることにした。




 あなたはサシャが立派な母親になれるように厳しくも優しく、しつけをした。

 あなたの胸に縋りつくようにしながら、余韻に陶然としているサシャの姿が愛おしくてたまらない。

 思わずサシャの頭を撫でると、さらさらとした手触りのいい髪束が指の隙間から零れていく。

 頭頂部に生えている、短い毛の生えた獣人特有の耳の感触がくにくにと、あるいはふにふにとして心地いい。


「ごしゅじんさま……もっと、なでてください……」


 サシャは撫でられるのが好きらしい。これは獣人特有の感性であるらしいが。

 獣人は撫でられるのを好む。これは獣人が子を撫でるコミュニケーションを大事にするからなのだそうだ。

 言われてみれば、サシャの母であるブレウも、サシャと再開して真っ先に頭を撫でていた。


 撫でられることが好きだからそうしたコミュニケーションを大事にするのか。

 あるいは、そうしたコミュニケーションが大事だから撫でられることを好むのか。

 どちらが先かは分からないが、ともあれ獣人は撫でられるのが好きなのだ。


 ただし、親愛の情を抱く相手でなければいけない。

 初対面の相手に撫でられてもうれしくないし、むしろ馴れ馴れしいと嫌悪する。

 つまり、あなたはサシャに十分な親愛の情を抱かれている。

 それが愛おしくて、あなたはサシャを優しく撫でた。


「はふぅ……」


 サシャがあなたの胸に頬を擦りつけるような仕草をする。

 あなたの胸の感触が心地いいのか、サシャは心地よさそうだった。


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