第4話


真っ白い空間に光と共に飛ばされた。


天国に向かっているのだろうか。


異次元の世界なんだろうか。



体が軽い。


無重力空間にいるようだ。

ふわふわする。


眩しく光る先に進む。


無意識に進んでいく。


あの先に何があるのだろう。


まだ目が開けていられないほどの

光に包まれた。





目を開けると、

遠くの景色を眺めた。


地平線が見える。



ゴツゴツとした岩山、

富士山のような雪山。


多い茂っている森。


ただ広い荒野がある。


なんだろう。


今度は体がすごく重い。


真下を見るとビル何階立てになるのか

すごく高い。


体が大きい。


人間じゃない。



ワニのようにごつい。


重心がふらふらする。


わかる。これ。


上半身大きいのに手が小さい。



ティラノザウルスになってる。



周りにも仲間なのか

2体くらい同じ恐竜が昼寝している。


どうしてここにいるのか。


空を見上げると、ものすごく熱いし、赤い。


隕石が四方八方から飛んでくる。


これって、恐竜絶滅の瞬間に

俺がいるってことなのか。


あんなに生きるのが嫌と言ってた俺が、

死にたくないって本能で思ってる。


大きなティラノザウルスの体で逃げ回る。


どんなに逃げたって全滅する恐竜。


逃げ場がないって知ってるのに。


俺は、死ぬのを拒んでる。


もう、だめだ。


体力がない。


大きさ体ゆえ、行動範囲も大きいが、

満足にご飯を食べてなかったのか

全然動けない。



力尽きて、

その場に大きな音を立てて

倒れた。


燃え盛る隕石が迫る中、

仲間と思われる恐竜もろとも

消えていく。


そして、恐竜の俺も

苦しんで苦しんで、

バッタリと息絶えた。



どうしてこうなったか

分からないが、

わかったことがある。



俺は恐竜になったら、

生きたいと思うらしい。



鈴の音が頭の中で鳴り響いた。



恐竜の体から人間の体に戻ったらしい。



また真っ白い光の空間に飛ばされた。



無重力の空間には、

突然、白い猫が現れた。



一緒になってふわふわと浮いている。


こちらをジロリと睨んできた。


俺は誰かに誘導されているのだろうか。



それとも…。



また目が眩む光が輝き出した。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る