雄一は鍋を食べ終えると眠ってしまった、

 悠伊を探し

 今日一日走り回り疲れたのだろう


 眠る雄一を前に

 秋葉と悠伊は会話をしていた


「あーあ、バレちゃったね」

「・・・・だね」


 少し落ち込む悠伊、

 秋葉は悠伊の肩を軽く持ち

 本当に良かったの?っと言った

 コレは大学の事や

 悠伊がどうしていたのか

 バレてしまったからの

 良かった?のでは無い、

 悠伊の人生やコレから先の事で質問をした


 悠伊は雄一の顔を見て

 ウンと首を振り喜んでいた


「悠伊ちゃんの気持ちが変わらないなら

 私はそれ以上何も言わないけどさ」


「秋姉ごめん、迷惑ばっか掛けて」


「いいっていいって、

 私達家族なんだからさ!!」


 秋葉は雄一の顔を見て

 コイツは幸せ者だよ

 こんな可愛い子が側に居たんだから

 そう言葉を寝て居る雄一に言った


「でもいいの?

 コイツ来年で三十路のオッサンだよ?

 悠伊ちゃん若いんだから

 10歳も離れたオッサンより

 もっと良い人いっぱいいるでしょ?」


 悠伊は真っ直ぐ寝て居る雄一を見て

 自分の本心を口にした

「私が好きなのは雄一だけだから、

 大学出て良い会社行ったら

 雄一とは離れ離れになる気がしたから...

 私は雄一と一緒が良い

 何年経っても私の気持ちは変わってない」


 そっか...そう口にした秋葉は

 缶ビールを飲み

 青春だね〜っとボヤいた


 悠伊は

 子供の頃から優しく接してくれた

 北神雄一の事が好きだった、

 最初は実の兄のような感情だったが

 その感情は恋に変わっていた


 涼白が大変だった時も

 雄一が大変な時も

 二人はいつも側にいた、

 涼白が初めて雄一と出会ったのは

 8歳の小学三年生の時だった、

 小学校では同級生の皆が

 補助輪無しの自転車に乗れるのに

 まだ自分には乗れなかった


 母は仕事で忙しく

 自分の相手なんかしてくれない

 友達も居らずアドバイスも聞けない、

 そんな時だった

 母親の友達の知り合いに

 自転車マスターのお兄さんが

 悠伊に自転車の乗り方を

 教えてくれると聞かされたのは


 最初は怖かった

 知らないお兄さん、

 18歳の高校の男性なんて

 小学生の自分からしたら

 怖い大人の人と同じだったから、

 でも雄一は違った

 目つきは良いとは言えないが

 とても優しく

 頑張る悠伊を本気で応援してくれた


 でも悠伊には

 恐れていた事があった、

 母は夜の仕事をしていて

 人様に誇れるような職業では無い、

 その事が学校でバレ

 クラスメイトからは淫らな女だとか

 変態の女だとか皆から馬鹿にされ

 自分の居場所が無くなり孤立していた、

 雄一もその事を知れば

 自分の事が嫌いになると

 勝手に思っていたが

 子供の悠伊は知らなかった

 成長して考え方が変わると

 親の仕事や

 その人の環境を馬鹿にする人は減る、

 母の仕事の事や

 クラスで馬鹿にされて居る事を

 雄一は知っても

 悠伊の事を変だとは思わなかった、

 それどころか

 悠伊の悩みを聞いてくれたり

 応援してくれたりしてくれた


 子供の悠伊には

 こんな人が居るのだと

 心から嬉しく思った、

 悠伊が心を開くと

 雄一も心を開いてくれた


 それから

 母が仕事で居ない時は

 秋葉さんと雄一の家に

 泊めてもらう事になったり

 ピクニックや遊びにも連れて行って貰えた


 13歳、中学生になった悠伊は

 中学服を着て病室に来ていた


 その頃の雄一は

 訳あって大きな病院で入院していた


 悠伊は暇があると

 毎日雄一に会いに行き

 テレビの話や

 学校の愚痴を言ったりしていた


 今日はそんな雄一に

 中学服を着た自分の姿を見せてやろうと

 学生服姿の可愛い自分を見せた


「どう?可愛いでしょ?」

「あー、可愛い可愛い」


 反応に困りそう言う雄一、

 悠伊は照れてる〜っと雄一を揶揄っていた


 高校受験前になると

 雄一は病院から退院しており

 いつも勉強で頑張る私の

 応援や手伝いをしてくれた、

 大人の雄一は

 バイトでお金を持っていたので

 悠伊が欲しい物があると

 仕方なく買ってくれる時もあった


 15歳の子供の悠伊にとって

 お金を持って居る男性は

 神様の用にも感じる存在だった、

 金ズルだとかそう言う感情は悠伊には無く

 自分が働けるようになったら

 いつかお金を返そうと思っていた


 最初は兄と慕い

 雄一の事が好きだったが、

 次第に悠伊は

 兄以上の感情を雄一に抱いていた


 兄と慕っていた相手に

 恋をする女の子は

 貴方は変だと感じますか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る