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井上の隣に座った俺は
何気ない会話を楽しんでいた
「まさか、同じ同級生で
クリスマスの日が誕生日って共通点がある
知り合いだったなんてね」
マスターはビックリしてそう言っていた
俺もビックリだ、
まさか井上とまた再会出来るなんてな、
こんな小さな驚きでも
生きていたら何が起こるか分からないな
井上はコーヒーを飲みながら
「まだ自転車に乗ってるの?」
っと言ってきた
・・・・・自転車にか....
俺は自分の足を見て
下を向きながら答えた
「もう乗ってないかな...」
井上は聞いちゃいけない事を
聞いてしまったと思い別の話題を振った、
今は何の仕事をしてるのかと
・・・・・・言いづらい
夜中のコンビニバイトをしてて
他に何もしていないなんて
マスターは気を利かせてくれたのか
冷蔵庫からショートケーキを取り出し
「こんなおめでたい日なんだ、
私から2人に誕生日祝いの
ケーキをプレゼントさせてくれ」
優しいマスターに
俺は小さなショートケーキを見て
「安そうな
クリスマスプレゼントですねサンタさん」
っとジョークを言った、
マスターも井上もクスクスと笑っていた
笑っている井上を見てマスターは言った
「そう言えば井上さんは
化粧品会社に働いていて
今は大きなプロジェクトを
任されているんでしたよね」
井上がそんな事を....俺とはエラい違いだ、
俺は自分と井上を重ねてしまい
落ち込んでいると
「そうなんです、今は大事な時期で
来年の4月までにはプロジェクトを
完成させないといけなくて....」
そう元気の無い言葉で話していた、
どうしたのだろうか?
何か悩み事でもあるのか?
どうやら
俺が来る前まで
仕事の悩みをマスターに話していたらしい
まさか井上がそんな悩みをしてたなんて、
会社のプロジェクトなんて
俺には分からない、
だけどコレだけは分かる、
井上は
中高と吹奏楽部で凄く頑張っていた、
部長だって任せられていて
皆を引っ張るリーダー気質を
彼女は持っている
俺は思った事をそのまま口にした、
井上は昔から努力で頑張ってきただろ
根本から頑張れていたお前は
誰が見ても凄いって分かる人物だったよ、
昔のお前なら
今度のプロジェクトだって
成功させるんじゃ無いか?
「昔の私だったら....か....」
井上は下を向き 何かを考えていた
井上は俺の顔を見て
「北神君は変わった?」っと
質問をして来たので
俺は「アレからは変わってない」っと
元気の無い返事をすると
「私もだよ」っと井上も返事をした
自分の誕生日のおめでたい日に
暗い2人の男女を見て、
マスターは
アナログ式のレコーダーにレコードを入れ
とても落ち着くような
心が安らかになる音楽を流した
俺と井上は顔を合わせる事なく
クリスマスの誕生日の日に
ゆっくりと流れる時を過ごした
「・・・ありがとう、
マスター優しいから私の言う事
全て受け止めてくれる人だったから...
幼馴染の北神君に今日会えて良かった」
マスターは照れ臭かったのか
髪の毛をポリポリと指で触っていた、
井上は席を立ち
お昼はこの場所に
食べに来ようと思ってるから
また会った時話し聞いてよと言って
会計を済ませ店を出た
俺は昔の知り合いに会い
少しだけこんなツライ日を
楽しめて嬉しかった、
俺は俯きながら口元が緩んでいると
マスターが作ってくれた
カレーライスがテーブルに置かれていた
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