美少女霊能探偵団〜義妹を庇い事故に遭った俺が憑依した小学生女児のママは義妹で、身に覚えないけどパパは俺らしくて、俺はまだ死んでおらず、なぜかTSして美少女になってしまったので、義妹から処女を守りたい〜
第4話 ようやく状況を理解する。そのとき娘の貞操の危機が……
第4話 ようやく状況を理解する。そのとき娘の貞操の危機が……
「あの事故からもう十一年が経っているわけか」
「パパはずっと意識不明の寝たきりだったの」
「……迷惑かけたな」
あぐらを組む士道に背中を預けて、抱きしめられているレイハ。
失われた十年を取り戻すように甘えてくる娘を士道は完全に受け入れていた。
「気にしてはいけないの。もしもパパがママを悪霊から庇わなかったらレイハは生まれてないの」
「お、おう」
「十一年前で記憶が止まっているパパにレイハが今までを簡単に説明するの」
「頼む。本当にどういう状況かわからん」
士道の懇願は必死だった。
レイハのご機嫌取りにも必死だった。
頭も撫でまくっている。
レイハはご満悦だ。
「事故から一年後、レイハが生まれたの。ママとパパが十七歳の時なの。レイハはたぶん病室ベビーなの」
「……病室ベビー。そのときの俺は意識不明だよな」
「パパの身体は反応したみたいなの。生命の神秘なの。レイハも六歳のときからそのことに関して人並みの葛藤はあったの。でもさっきのパパの発言で救われたの。レイハは二人の愛の結晶なの」
「そ、そうだな。それが並の六歳が持つ葛藤かはスルーするけど」
空白の十一年。
娘の教育が気にかかる。
「そしてパパが十八歳になり、ママとパパは入籍したの。名実ともに夫婦になった」
「え? 俺は美空と結婚してるの?」
「してるの! 当時は色々あったらしいの。トラックの持ち主の運送会社さんからの慰謝料はあっても金銭面に不安あるの。でもママは負けなかったの。レイハを育てながらママとパパの馴れ初めを書いた『赤ん坊から始まる義妹しか勝たんラブコメ』でベストセラー作家になったの!」
「美空が作家に!?」
「そうなの。中学編以降はアダルティーだからないけど、小学生時代のゴーストハント編は児童文庫化もされていて大ヒットしているの。レイハのクラスメートも全員持っているの。だからレイハは生活に苦労してないの」
「……ヒットしちゃったのか」
そんな小学生時代ないけど。
初めてあったのが十二歳のときだ。
一緒に住み始めたのも中学生からが正しい。
「あとレイハはたぶんパパ似なの。霊感が強いの」
「霊感あるのか」
「オーラとかも見えるの。だからパパのオーラが薄いから起きないのとか。ママのオーラ輝いているとか。パパのオーラ疲れているとか。これは昨晩お盛んだったんだとかわかるの」
「よし待て。そんな霊感捨てたほうがいい。……あと美空のやつマジでなにやってんだ」
「でもママのおかげでパパは今まで生きているの」
「美空のおかげ?」
「房中術というモノがあるの。定期的な交わりでパパの中のオーラが淀まないように循環しているからパパは寝たきりのままでも生きていたの」
オーラが見えるレイハはそのように見えているらしい。
義妹美空の受け入れがたい奇行にも意味があった。
美空の愛を受け止めきれる自信はないが、少しだけ前向きに考えられる気がした。
「でも一ヶ月前に事態は変わったの。パパのオーラが激減したの」
「激減……俺はもうダメなのか?」
「そうじゃないの。まだママも気づいていないけど新しい命が宿ったの。たぶん弟できるの」
「まさかの第二子誕生!?」
「レイハは決意したの。レイハはパパが寝たきりで寂しかったの。これからできる弟に同じ寂しさを体験させるわけにはいかないの。姉としての意識の芽生えなの」
拳を握りしめ意気込むレイハに士道はなにも言えない。
親はなくとも子は育つとはいうが空白の寝たきり十一年だ。
言えることがない。
「そんなわけでレイハは起こすことにしたの! 名付けて『レイハの幸せ家族計画』発動なの!」
「幸せ家族計画か。レイハは立派だな」
「もっと褒めるの。でもさっきは焦ったの。パパがママを愛していなかったら、レイハの幸せ家族計画は丸潰れだったの。パパがママのことを愛していることがわかって本当によかったの」
「そ……そうだな。パパはママのこともレイハのことも愛しているぞ」
なにも知らなかった。
ずっと寝たきりだった。
けれど純真無垢に慕ってくれる自分の子供の笑顔は裏切れない。
「レイハはパパとママを見習ってレイハは霊能美少女探偵団を結成したの。ゴーストハントしているの」
「ゴーストハント? 危なくないのか?」
士道と美空がゴーストハントしていた過去は存在しない。
全て美空の書いた小説の話。
つまりフィクションなのだが、霊能力に関して士道にもわかることがある。
士道は悪霊のせいでトラックにひかれたのだ。
あれらとは関わらないほうがいい。
「美少女霊能探偵団は優秀なの。浄化した悪霊の残り香をパパに食べさせているの。するとパパのオーラがレイハに憑依できるくらい回復したの。レイハもびっくりなの。こんなに早く回復するならもっと早く結成するべきだったの」
「レイハが俺を起こしてくれたんだな」
「ここまでくればあとはパパの手で奴をゴーストハントするだけなの」
「俺が?」
「パパをこんな目に遭わせた悪霊は封印されているの。でも封印されているだけなの。奴はパパの手でゴーストハントすれば、パパのオーラの欠損は回復するの。準備をできているの。レイハの幸せ家族計画もついに最終章なの。ここまで頑張ったの」
「よく頑張ってくれた。偉いぞレイハ」
「パパはもっとレイハを褒めるの! ……と言いたいところだけど、もう起きないと危ないの。レイハはもっとパパに甘えていたいけれど、こればかりは仕方がないの」
そう言ってレイハは士道の膝上から立ち上がった。
「なにかあるのか?」
「今レイハの身体にパパの魂が憑依しているの」
「そうだな」
「つまりパパの身体でもあるわけなの。……このままではレイハはママに貞操を奪われるの」
「はぁ!?」
ないとは言い切れない。
実の娘もそう言い切っている。
そんな困惑の中で父娘の初めての対面は終わりを告げた。
◯ ◯ ◯
パチリと開くレイハの瞳。
上着は脱がされて、膨らみ始めている乳房があらわになっている。
目の前には興奮気味の母親の顔。
まさに危機一髪だがレイハはとても冷静だった。
「ママなにしているの?」
「れ、レイハちゃん!? お、お兄ちゃんは?」
『……マジか。こいつ』
「パパなら今は疲れて眠っているの。でもパパはもうすぐ起きるの。だからママは安心するの」
「お兄ちゃんが起きる!? それは本当なのレイハちゃん!」
「レイハに憑依できたのがその証拠なの」
「そうなんだ。……よかった。本当によかった。十一年寝たきりだったからずっとこのままだと」
美空が静かに涙を流している。
実の娘を優しく抱きしめながら。
その姿は娘を性的に襲いかけていたとは微塵も感じさせない。
「あとパパからママに伝言があるの」
「なにレイハちゃん?」
「パパはママのことを『愛している』って言っていたの」
『おい! レイハなに言って』
「溺愛してるの。だから安心してパパを待つの。実の娘は襲っちゃいけないの」
こうして士道は実の娘に売られた。
貞操を母親から守るために。
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