第26話 失敗は成功のもと(ゲテモノ発表会)

 遅くなりました…。少し予定が集中していました。実はまだやらないといけない事があるので7月ぐらいまで不定期になると思います…。


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「セーマ、明日にはもう出発するぞ」


 突然セーマのもとにアイシャが訪ねてきてそう言った。


「そっか。もう一週間ぐらいたってるから、補給はもう終わってるのか」


「うむ、準備は万全じゃ。こっぴどくやられたアメノオシの修理も終わっておるし、これ以上ここにおる必要はない」


「次はどこに行くの?」


「次は中立国、“ラバード”じゃ!」


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 ―――

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 セーマは自室の窓から離れていくイザヤを見ていた。


「なんだかあっという間だったなぁ。できればもうちょっとイザヤの料理とか食べたかった…基地も見学したかったし」


 セーマは後ろ髪を引かれるような思いをしながらも、これからのことを考える。


「ラバード…どんな国なんだろう。噂ではリゾートらしいけど」


 セーマが先程まで覗いていた窓から見える人影が一つ増える。


「あれは…ミカさん?」


 ミカがナグルファの方を物陰から見ていた。


「どうしたんだろう…アイシャに用事でもあったのかな…っ!?」


 ミカがこちらを見ている。


 そう感じたセーマは驚愕する。ミカは数あるナグルファの窓の中から迷いなく真っ直ぐとこちらを見ていた。


 セーマはしばらくその姿が頭から離れなかった。


 ―――――

 ―――

 ―


「なんだったんだろうな、ミカさん。…見送りしてくれたのかな」


 セーマの部屋のドアが開く。


「よう、セーマ。暇じゃろうから遊びに来てやったぞ」


 アイシャが一切の遠慮なくセーマの部屋に入ってくる。


「暇なのはアイシャでしょ…またトランプでもする?」


「うーむ…どうせ私が勝つしなぁ」


「弱くて悪かったな。でもそれじゃあ何をするの?」


「そう拗ねるな。そうじゃな…うちのまだ製造されてない色々なカークスの情報があるんじゃが、見たいか?」


「見たい!っていうか、その情報僕が見ていいやつなの?」


「大丈夫じゃ。なぜなら…没になったカークスじゃからな」


 心底残念そうにアイシャが言う。


「製造されてないって、そう言う事!?失敗兵器発表会じゃん…」


 失敗兵器発表会というセーマの言葉にアイシャは素早く反応する。


「失礼な!こういったカークスも他のカークスと同じく長所と短所がある。少し短所が目立っただけじゃ」


「それがだめなんでしょ…。まあいいや、どんなのがあるの?」


「興味が出てきたな?…よし!まずはこれじゃ。カークス名“ノーフット”。その名の通り足のような部分が無い、宇宙戦用カークスじゃ」


 セーマの目の前に足の部分が全て四角いスラスターに置き換わったようなカークスの設計図が出てくる。


「なんか最初からゲテモノみたいなのが出てきたんだけど!?」


「ゲテモノではない!このカークスの特徴は本来足がある場所に大型スラスターがついていることじゃ」


「それってつまり…ものすごいスピードが出るってこと?でもスピードが出ても曲がれなくない?」


「驚けセーマ。この機体の最高速度はテンシュカの三倍以上!確かに曲がるのは難しいが、急停止急発進をすることで曲がるのも不可能ではない!」


「テンシュカの三倍の速度は確かにすごいな…欠点は?」


「今の技術でそんなスピードを出したらパイロットが長時間耐えきれないことと、スピードを重視しすぎたあまり、スラスターが熱を持ちすぎて突然爆発してしまう可能性があるところじゃ。ちなみにコストはモートⅡ5機分らしい」


「欠点があまりにも大きすぎる…いい所全部なぎ倒されてるんだけど…」


「むぅ…じゃが、対G技術を進歩させ、スラスター部分の爆発を解決する、或いは爆発前に切り離せるようにすれば…」


「見た感じスラスターが機体の三分の一を占めているんだけど、スラスターを切り離して戦えるの?あと、切り離す前提ならモートⅡに追加スラスターをくっつけたりすればコストも抑えられるんじゃ…」


「それじゃとロマンが無いじゃろ!まあよい。次は…“近接戦用クレーエ”じゃな。この機体はクレーエの機動力をそのままに、近接戦に焦点を絞ることで戦闘能力を上げようというコンセプトらしい」


「聞いた感じ悪くなさそうだけど…何が問題だったの?」


「まあ待て。確かこの機体が没になった時のコメントがあったはずじゃ。どれどれ…『武装がビームソード、内蔵ガトリング、シールドしかないため戦闘機形態で有効的に使える武器がなく、クレーエの良さが消えている』『近接戦に耐えれる設計にしたら少し体が大きくなり、コストも増えた。そのくせにクレーエの輸送能力も無くなり中距離戦闘も不可能、コンセプトの近接戦もモートⅡと同程度ではモートⅡの配備する数を増やすか、モートⅡに飛べるようになるオプションを付けた方が良い』『そもそもクレーエでさえ操作難度が高く、パイロットも少ない現状これを作ったところで倉庫の肥やしになるのが目に見えている』……」


「すっごい妥当な評価…これは没も納得だね」


「なぜじゃ!なぜ誰もロマンを理解できん!」


「いや今回ばかりはロマンが分からなくて正解だよ…」


「まだじゃ、まだ終わらん!次のカークスは“バレット”じゃ!」


「バレットって…弾丸?どんなカークスなの?」


「このカークスはすごいぞ。その加速力と装甲で敵機に突撃し、文字どおり弾丸のように敵機を貫く!」


「説明を聞いただけでわかる。駄目なやつじゃん…」


「コメントは…なにぃ⁉『突っ込んでも届く前に撃墜されるのがオチ』『カークス突っ込ませるぐらいなら同じ大きさの本物の弾丸を撃ち込んだ方がコストも安いし安全だし使い勝手がいい』『乗りたい人いるの?』じゃと!……ロマンの方が大事じゃろうが!」


「この人たちの方をもっと大事にした方が良いと思うよ…」


 ―――――

 ―――

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 二人で開かれたゲテモノ発表会はオピスがアイシャを回収しに来るまで続いたのだった。

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