第24話 諸行無常
投稿遅くなって申し訳ない…体調を崩したうえ、モチベーションがなかなか上がらずこんなに遅れてしまいました
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模擬戦終了後、セーマはナグルファに帰還し、アイシャからお褒めの言葉を受け取っていた。
「ようやったのう、セーマ。ミカに勝つとは、なかなか侮れんようじゃ」
「それ誉め言葉としておかしくない?」
「まあまあ。セーマ君がいてくれて良かったよ。私だけではイザヤのエースには敵わなかっただろうからね」
「クティス、お主は油断しすぎじゃ。呆けて腕を斬り飛ばされおって」
先に帰還していたクティスがセーマのフォローをするが、アイシャにバッサリ切られてしまう。
「クティスさんがいてくれて助かりました。クティスさんがいなかったら多分負けてましたよ」
今度はクティスのフォローをしたセーマだったが、アイシャの隣にいたオピスが口を出す。
「ですが戦場であっけに取られていたのは事実です。味方が残っていた時はまだよかったですが、セーマ君とクティスの二人になってからは正直情けないですね」
「分かってるよ。正直自分でも情けないと思っているさ」
「まあそれはこれから挽回してもらうとしよう。二人ともついてこい。セーマ、お主は休んでおれ」
「どこにいくの?」
「交渉じゃ。と言っても、勝負に勝ったからこちら有利じゃろうけどな。ちなみに、交渉が終わったら少し自由時間を与えるが、補給がすんだら出発するぞ」
「りょーかい」
3人がその場から立ち去るのを見送った後、セーマは休むために自室に向かったのだった。
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―――
―
無事に交渉を終わらせたアイシャたちはナグルファへ帰る道を歩いていた。
「無事に終わってよかったですね」
「まあ、こっちは模擬戦に勝ったんだ。しかも向こうが仕掛けてきた模擬戦をな。そうなるとさすがにこちらの話を聞くしかないだろう」
「それもそうですね……しかし、ミカ様は強かったですね。おかげでバレることなく完璧に任務をこなせましたね、クティス」
「皮肉か?だがそれも事実だな。腕が飛んだ時、同時に任務のことも飛んだからな」
「もっと前から飛んでいたのでは?」
オピスとクティスが言い合っている間ずっと黙っていたアイシャだったが、突然口を開いた。
「二人とも先に戻っておれ。少し用事ができた」
「アイシャ様?ですが…」
「了解だアイシャ様。先に戻ってアメノオシの状態を見ておく」
「うむ。オピスもいいな?」
「わかりました。できるだけ早く戻ってきてくださいね」
「心配はいらん。少々話をするだけじゃ」
二人の気配が遠ざかるのを感じたアイシャは振り返る。
「何か用か?ミカよ」
「少し話があっただけだ」
「なんじゃ。模擬戦の文句か?」
「確かにお前が出てこなかったのは少し腹が立つ。だが、この結果に文句はない。私はアストレアに負けた」
「ほう?あのミカが素直に負けたと言うとは」
「意外か?」
「意外じゃな。だとしたら話は何じゃ?」
ミカの声色が暗くなる。
「なぜあの少年を戦場に留めている」
「ほう…少年とな。アストレアのパイロットを知っておったのか?」
「さっきが初めてだ…話を逸らすのはよせ。こちらの疑問に答えろ」
「なに、理由は単純よ。あやつは優秀な兵士だからじゃ。ああ、ちゃんと同意は取っておる。私を権力を振り回す馬鹿どもと一緒にしないでもらおう」
「馬鹿になってでも止めるべきだろうが!分かっているのか?あの少年は兵士なんかじゃない……まだ引き返せる」
「引き返せるぅ?ここからバルホールまでそこそこあるぞ。小型宇宙船じゃあ帰れない」
「お前が私の言っていることが分からないわけがない。もう一度言ってやろうか?あの少年はまだ
「ほう、そういえばお主は分かるんだったな。そしてお主が言うのか?私らは同じなのに」
「私はあの日だけだ」
「数が少ない方が良いのか?」
「まさか。何も感じないようにして、何度も繰り返すお前の異常さを言っているのさ」
「おかげで早く終わる。そうしたら二人目のアストレアのパイロットは必要なくなる」
「一人目はしょうがないとでも言うのか?」
「でなければ三人目が生まれるだけよ……安心せよ、アストレアとそのパイロットは強い。予想より早く終わる。お主の望む世界がやってくるぞ?」
「今のまま終わると次がすぐにやってくる。私の望む世界はいつまで経ってもやってこない。お前のような奴がいる限りな」
「じゃがお主もわかっておるんじゃろう?まだバルホールが勝った方がマシじゃ。ならば使えるものは使って、さっさと終わらせた方が良い」
「勝ち負けで人は変わらん」
「じゃが変わるきっかけは手に入る。だれにも、どのようにもな」
「死んだ者にはそんなものは無い。殺した方も良い変化はしない」
「それでも殺すのが戦争よ。変えさせないためには変わる必要がある」
「取り返しのつかないことをしてもか」
「取り返しのつかない事態にはなりたくないだろう?」
「……これ以上話しても時間の無駄か。お前とは分かり合えんようだな」
「…理想ばかり描くのはほどほどにするんじゃな。死神が興味をもってやってくるぞ」
「あの少年が死神に毒されないことを祈っている」
アイシャとミカはお互い背を向け歩き出す。二人が振り返ることは無かった。
「お主のような者がもう少しおれば、世界はもっと良くなるじゃろうな。……セーマ、お主はどうなる?」
アイシャの言葉は他人の耳に入る前に霧散した。
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