30
2年前。9月20日 市内某所
逢魔が時、そう言われるような時刻が一番人の出入りや、夜と昼の境が全く分からない時間帯。
その時間はよくない事を考える輩というのが頻発するのは昔からで、その日も何気ない路地の一角でそれは起きていた。
帰宅途中の人の目は自宅へと向き、路地の一角になど向けられるわけもなく、ただそこには闇が広がっている。
たまたまだった。
たまたま通りがかり、気になって目を凝らすと、女子中学生らしき人物が、高校生だろうかに囲まれ、追いつめられているが目についた。
真也はどうするか、というのを一瞬考えたが、考える間もなく、その集団に気が付かれない様に、近づいて行った。
「おいおい、逃げるなよぉ。俺たちと遊ぼうぜぇ」
不敵な笑みを浮かべ、女子生徒を吟味する様に上から下までなめ回すような視線は、まるで獲物を見つけた猛獣のようで、実に悪党の三下が下世話な事を考えているときのそれそのままだった。
ほかの連中、合計で5名ほどだろうかも、ケラケラと笑いつつ、中心核の男に何やら楽しそうに相槌をしながら、どんどんと女子生徒を追い詰めていく。
どう考えても、この後の展開は彼女が慰み者にされる展開しか見えず、真也は一もにもなく飛び出し、不意打ちでまず一人気絶させ、その後の事は覚えていなかった。
というのも、その後乱闘になり、女子性を守りながら大立ち回りそして入間に、いつの間にか一人男子生徒が加勢に入り、2人して簿とぼろになりながら高校生を撃退したのだった。
その時の女の子の顔は覚えておらず、何とか助けられたことに安堵し、女子生徒はお礼を言ってその場を後にしたが事態はそれでは終わらず、なぜかこの助けた二人が、強姦と暴行の罪で捕まる事となってしまったのだ。
その後、3日間拘留され、話すように説得やら説教やらを永遠されたのだが、女子生徒の件もあり、何も言えず何も言わなったことがさらに印象を悪化させ、2人は逮捕寸前までいったのだが、次に起きた事件で、2人は解放されることとなった。
「その話には、続きがあるんです」
そう続きがあった。
でもそれを言わせまいと、真也は友香を抱きしめ、何も言わせない様にした。
真也たちが捕まる原因になったのはほかでもない、その女子生徒を襲う事に失敗し、あまつさえ中学生にボコボコにされた高校生たちの仕業だった。
ボロボロの体で交番に駆け込み、真也たちに襲われたと言い、さらには強姦の罪までおまけにつけたのだった。
不幸だったのは、その裏路地から女子生徒が涙をにじませながら走り去る姿を、通りかかった通行人が何人も目撃していたとの事で、事態は真也と和也にとって最悪の事態へと転がってしまった。
その後、捕まった真也たちを見て、ゲラゲラと愉快そうに笑い、ながら街に消えて行った高校生たちだったが、そこで終わっておけばよかったものの、その後、逃げられた女子生徒への終着をし、再度彼女を襲うという暴挙に出たらしい、らしいというのは、聞いた話だから。
その時、大立ち回りをし、さらには真也たちの無実の証拠などをかき集め、友香をその高校生から救ったのが、静流さんだという事を、すぐに知る事となった。
これが、2年前の事件のあらましであるが、勾留中、外で何があったのかを真也は全く知らなかったし、再度襲われた件についても何がどうなっていたのかは分からない、けど、少なくても自分たちの詰めの甘さが招いた事実だったのは、今でも変わらないと真也は思っていた。
だからこそ、その時の礼を言いたくて、静流のいる学校に進路を決めたのだった。
和也もまた、真也とは別の中学だったのにもかかわらず、同じ目的で北を選んだらしいことは、のちに2人とも失笑しながら話すこととなったのだ。
そして、静流が真也と和也に会った直後に蹴り飛ばしたのにも理由があった。
この件で婦女暴行未遂、ならびに虚偽申請、その他ものもろがあったらしいが詳しくは知らない、をした高校生等のが北高の3年生とだという事だった。
その件で聞き及んでいることは、とある女性教員が、再起不能なまでに5人を痛めつけ、真相を聞き出し、そのまま退学処分と、病院送りにしたという話だけではあるが、真也よりも締め付けが緩く、すぐに解放されていた和也はその現場に居合わせたらしく、今もこの件で話をするのは怖いらしい。
和也が静流に苦手意識がありながらも、憧れのような、尊敬のようなそんな複雑な心境があるのは真也も話を聞いて知っていた。
以来、真也は静流に頭があがらないのは言うまでもなく、静流も来てしまったものは仕方ないと諦めてくれたらしかった。
だが、まさかその事件の中心人物が、今こうして目の前にいるなんて、思いもしなかったのは事実だった。
震えるその体は、今もまだあの時の恐怖や、真也の知らないところでの出来事があったのだろう。
なんで自分があの時の女子生徒だと、言わなかったのか。
何度となく、口まで出かけてそれは言ってはいけないと、真也は切実に思った。
あの事件は、公にもされなかった事件で、正直、当事者たちも口を閉ざした事件だったことは、事件に巻き込前た真也も良く知っていた、だから言えるわけがなかった。
「泊ってけ・・・それと、親御さんにつないでもらっえもいいか?」
「ありがとうございます」
それだけを言い、かおをうずめる彼女の頭を優しくなでてあげる事しか自分にはできないと、そう思いながら、真也はただ無心でかの自余が落ち着くまでそうしていた。
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