煙とナントカは高いところが好き

 2話目でご紹介したように、山からの電波って驚くほど遠くまで届きます。アンテナが高くなればなるほど、見通し距離が広がるからなんです。


 一度高いところから行う交信の楽しさにめざめてしまうと、もうダメですね。平日の仕事中から週末の移動運用いどううんようのことばかり考えるようになってしまいます。


 移動運用というのは自宅を離れて外で交信することをいいます。山での移動運用はポケットに入るサイズのハンディ機でもできますが、より安定した交信を行うには、シッカリしたアンテナを、しかもできるだけ大きなアンテナを高く立てることが求められます。そうなると移動運用はクルマを使うしかなくなります。これがもう凝り始めるとキリがないんですよ。


 私がやっていたのは通称「お化けポール」と呼ばれるジュラルミン製の伸縮ポールを10mほど垂直に屹立きつりつさせ、その先にアンテナを設置します。伸縮ポールはそのままでは風で倒れてしまいますから、ポールの先端からステーワイヤーを張って、基部をタイヤベースという固定器具に差し込み、クルマのタイヤで踏んずけて支えます。


 もうその姿はテレビかラジオの無線中継基地のようになるわけです。実際、クルマの横にアンテナを立て始めると物見だかい見物客がわらわらと集まって来ますが、ラジオやテレビと無関係のアマチュア無線と聞くと、潮が引くようにさぁっと解散していきます。


 観光地などで移動運用をすると見物客をさばくのが大変なので、なるべく人の立ち入らない辺鄙へんぴな山奥の中へと場所を移すこととなります。うら寂しい場所でも、いったん交信を始めてしまえば、すぐに楽しくなりますので、山奥でもまったく気になりません。


 アマチュア無線のスパルタンな部分ばかり話しても、つまらないと思いますので(私は楽しいけど)、明日は交信の仕方、例の「CQシーキューCQシーキュー」ってヤツとか普段の電話でも役に立つ小技をご紹介します。


 なかなか人命救助まで到達しないけど、もう少しお付き合いください(^^;

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