第3話 美少女の姉に遭遇する。



「姉をあずかって……か。 『校門で待ってて』と連絡はきたけど、いつ来るんだろう?」

 その日の放課後、頼井たよりい陽和ひよりは、櫻田さくらだ花歩かほを待っていた。

 季節は4月下旬と、春風の心地よい季節だが、それでも夕方にじっとして居れば、時々肌寒いと感じる。


「俺、夜には用事があるって、櫻田さんには言ってあるんだけどなぁ」

 陽和ひよりがスマホの時計を気にし始めた頃、ちょうど画面上部に、メッセージアプリの緑色の通知が入った。


『ごめん! 急用が入っちゃって、実はもう学校の外なんだ! すぐに行くから先に家に入ってて!』 

「は?」

 日陽が呆然と画面を見ていると、花歩から続けて、地図の位置情報と家鍵の暗証番号が送られてきた。

「先にって…… いろいろ不用心すぎるんじゃないか? 」

 また溜息をつきながらも、とっとと用事を済ませたい日陽は、スマホで近道を検索する。

「って、俺の部屋のすぐ近くかよ」

 と若干驚きはあったがさほど気にせず、地図の場所を目指して移動を開始した。



 櫻田姉妹の暮らすアパートは、高校の最寄りから、電車で3駅先にあった。

 アパートは最近建てられたのであろう、コンクリート打ち放しの綺麗な外壁で、小さなエントランスのついた3階建ての建物だった。

「3階、303号室か…… ここだな」

 扉の前には小さな猪の人形が置いてあり、櫻田花歩が住む家らしかった。


「さすがに、いきなり鍵を開けるのは気が引けるな」

ひとまずインターホンを1回押してみる。

「―― 返事がない」

2回、3回。

「開けるか」


ドアノブの小さなパネルに番号を打ち込むと、ガチャっと音がした。

「す、すみませ~ん、俺、花歩さんから頼まれて…… 」

ゆっくり、ゆっくり。


隙間から少しずつ、玄関の様子が見えていく。

チャコールグレーのカーペットと、綺麗に揃えられた靴と、そして肌色の……「これはなんだろう? 」


日和は玄関に入って入ってようやく理解した。


「!? 裸の女の子?! 」

廊下には、脱いだであろう下着や洋服に埋もれた髪のとても長い女性が、一糸いっしまとわぬ姿で仰向けに倒れていた。


 


 




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「学校一の美少女」の姉を自宅で飼うことになったら世話も焼けるが可愛すぎる件。 ひたかのみつ @hitakanomitsu

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