アリア姫帰還

 アリア姫はマグマに連れられ、王宮近くに来た。

「アリア、大丈夫か?」

 王宮の裏手にラクダを留め。まだどこかぼんやりしてるアリアの顔を覗く。

「あ、ああ、ああ大丈夫だわ」

「全然大丈夫そうじゃないけどね」

 マグマは困った顔をしてから先にラクダを降り、アリア姫が降りるのを手伝った。

 

 時は夕暮れ。

 逆光で二人の姿は見つけにくい。

 王宮内はオレンジ色の光に包まれまばゆく、全てのモノが影になった。

 

 マグマはアリア姫を抱え塀を超え、ロープで壁を上り、アリア姫の部屋に侵入した。

 開けたままにした窓から二人で入る。


「じゃあ、お人好しのお姫様。俺なんかに出来るのはここまでだ」

 バルコニーの上に座ったマグマが片腕を胸の前で横にして、アリア姫に恭しく頭を下げた。

「十分よ。ありがとう。最後にこの街を見れて本当に良かった」

「本当に? 最後余計なこと知っちゃったけど」

「あなたを信頼します。マグマ」

 アリア姫はターバンを取り、老婆のメイクをぬぐって、マグマに自分の右手を差し出した。

「あー、絶対裏切れないな」

 マグマはアリア姫の差し出した手の甲にそっとキスを落とした。


「誰かいるの!?」

 部屋の中から窓が開けられた。

 その人物を見て、マグマとアリア姫は目を皿にする。

「きゃあっ!?誰なのアナタたち!?」

 マグマとアリア姫を見て叫んだのは、アリア姫とそっくりそのまんまの人物だった。

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