タヌヌ
アリア姫が記憶の夢を見ている頃、アリア姫の身代わりで姫に化けたアスニは、ラクダに乗って、アグニ王子と王宮の外へ出ていた。
「本当に、こんなことして大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。わたしの部下のタヌヌの変装は関係者以外にバレたことがありません」
「そ、そうなんですね」
アニスは自分の口調が普段の自分のモノになっていることに気が付いて、改めてお姫様らしい口調に戻した。
「ははは、そう固くならなくても大丈夫だよ。ため口で良い、同い年なんだから」
「はは、い。うん」
アニスは強引に自分を連れ去ったものの、悪まで紳士的な対応をするアグニ王子にどう接したら良いか分からなかった。
「白ラクダの王子様ですね」
「ははは、冗談を言う余裕があるなんて、やっぱりアナタは素敵な人だ」
アグニ王子はとても楽しそうに笑った。
「うちの国まで半日もかかりませんから、一日船で湾岸をクルージングして帰ってくれば絶対バレませんよ」
嫁ぎ先へ旅立たれる日には間に合います。
アニスは、アグニ王子と散歩中、急に手を引かれ、お付きの人間の視覚に入った。
そして、物陰に隠れ、本の数秒を作った合間に指笛でタヌヌという従者のひとりを呼ぶと、アスニが変装しているアリア姫そっくりそのままに化けさせ、何ごともなかったように王宮をそのまままた散歩し、そしてそのタヌヌだけ姫に化けたまま王宮に残った。
アスニは今になって、なんだか恐くなった。
このまま知らないところへ連れていかれて、自分は大丈夫なんだろうかと?
本当にアグニ王子は、船に自分を乗せたら、直ぐにもとの場所に戻してくれるんだろうか?
今更自分がアリア姫じゃないって言っても、バレたらどんな処罰が待っているかわからないし、なんだかとんでもない厄介に巻き込まれてしまったと今更後悔していた。
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