その頃、王宮では

 アリア姫が、少年に化けて競りで二股人参をゲットしていたその頃。

 王宮では、姫の部屋の前に、朝の食事を持ってきた侍女が、ドアの前でてんやわんやしていた。

 朝侍女たちが、姫の部屋の前に来ると、両開きのドアのドアノブが二つとも仲良く床に落ちていたからだ。

 ドアの隙間には「ドアが壊れて出られません」とアリア姫の字で書かれた紙が挟まっていた。

「ああ、アリア姫様、最近大変なことばかり」

「早く開けて差し上げなきゃ」

 侍女たちは慌てふためいてその場で三回まわってから、声を掛け合って誰が誰を呼びに行くか決めた。

「アリア姫様! 聞こえますか!? アリア姫様!」

 城のドア。特に王族の部屋のドアは分厚く、叫んでも声は通らない。守るためにとても分厚い。

 警備兵は、以前マグマが侵入したように、窓から入れないか試みたが、誰もそれは出来なかった。

 何故なら、アリア姫の自室は、地上から100メートル以上離れているからだ。

「これは、参ったな全くもう」

 爺やは目も当てられないと言わんばかりに、顔上半分を手で覆った。

 その時王様は、自室に籠っており、自分が部屋を出るまで誰も来るなと皆に言いつけていた。

 爺やも、侍女たちもどうにかして、大切なアリア姫様にこれ以上王の不機嫌や怒りが向けられないようにと、このことを王から隠すことにした。

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