マグマと三匹のプレーリードック

 マグマは自分の住処である城下町外れの、砂漠に隠れた洞窟に二時間かけて帰った。

 火をおこし上着を脱ぐ。

 洞窟の奥から三匹のプレーリードックが現われ、マグマを迎える。

「ただいま、タルタル、サルサ、トマト」

 三匹はきききと鳴いて、タルタルがマグマの肩によじ登り、他の二匹も足元に張り付いた。

 タルタルが、マグマの目元を前足で叩いた。

「なんだよ、泣いてないぞ」

 足元にいたサルサとトマトが目を合わせて抱き合い、マグマに向かってハートマークを作った。

「なんだよ。そんなんじゃない。お姫様につりを渡しにいっただけだ」

 サルサがマグマの肩回りをぐるぐる歩きながら、顔や頭をくんくん嗅いで、それからマグマの鼻に自分の鼻を押し付けた。

「だから、そんなんじゃないって、相手はお姫様だぞ?」

 マグマはタルタルを雑に自分の肩からおろして、奥の湧き水に向かった。

 洞窟の奥まった地下の下、ぼこぼこした洞窟の穴を降りると、そこには人一人入れるほどの、小さな泉があった。

 マグマはいつもそこで身体を洗っていた。

 マグマの住んでいる洞窟は昔オアシスだったが、大昔に干上がってしまったのだ。今マグマがいるのはオアシスがあった調度真下になる。

 マグマは身を清めながら、またあの美しいお姫様のことを想った。

「そうか、あのお姫様嫁いじゃうんだ」

 マグマは水の流れる石壁に手をついて項垂れた。

 三匹のプレーリードックが、後から泉に入ってきてマグマを見上げる。

 サルサが仰向けに泳いで、マグマの目下に来て、口から水を噴水のように出した。

「ふふふ」

 マグマは泉から出て身体を拭いた。

「今日は疲れたから早めに寝よう」

 そう自分で言ってから、マグマは夢であのお姫様に会えたら良いのにと願った。

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