第11話 登場人物の見分けがつかねえ

 どうも、中華風ファンタジーを普段書いている人間、狩野緒 塩(かのお・しお)と申します。


 中国ドラマや中華風ファンタジーを見ていてたまに思うこと――登場人物の見分けがつかない!


 ということで、今回は中華風ファンタジー登場人物の見分けがつかない問題に関する苦労話をしていこうと思います。



 まず、作者側の苦労話をする前に、見る側としての苦労話から先にしようと思います。


 第一話や前回もちょろっと話したのですが、自分の作品であってもドラマや小説を読んでいても、私は登場人物の名前を覚えられないです。それは”登場人物の見た目”でも同じことが起きます。


 髪型も同じで服装も同じ――それは何を招くか? 見分けがつかないのです!


 第四話でも言ったように、古代中国の人は長く髪を伸ばしており、髪を結うのが普通です。当時の思想から毛先を出さないようにもしていたという話もどこかで見ました(うろ覚えの知識)。ですので、史実に忠実な作品だと、成人を過ぎた男性は髪を結って冠を付け、同じく成人を過ぎた女性も髪を結いかんざしをさしている人だらけです。(当たり前)


 髪色に関しては、中国ドラマを例にすると黒髪がほとんどで、たまに白髪の人がいるくらいです。それ以外だと、中国ドラマ『招揺』では、青みがかった黒髪の登場人物も出てきていました。例外はあるとはいえ、基本は黒髪登場人物だらけです。漫画や小説だともう少し髪色のバリエーションは多そうな気がしますが、中国で作られた舞台が現代じゃないアニメ『百妖譜』や『魔道祖師』でも基本的に黒髪ですね。


 さらに服装に関しては、第五話でも言ったように、同じ作品に出てくる登場人物たちが生きているのは基本的に同じ時代なので、その時代での流行っている服装を(基本的には)皆着ているのです。服の色くらいでしか見分けられません。


 ここで見分けられなかった例として一つ悲しい話をしましょう。多分『コウラン伝』を見ているときだったと思うのですが、白い服の男性が三人ほど出てきました。私には見分けがつかなかったため、誰が誰なのか混乱して話が入ってきませんでした。本当は白い服の男性が何人だったのか、見たことがある人があれば教えてください。



 ここから先は中華風ファンタジー書きとしての登場人物の見分けの付け方を考えてみます。


 拙作では登場人物は基本的に長髪ですが、現代日本の価値観に近づけており、ほとんどの人間の髪型を崩しています。どういう風に崩しているかというと、前髪やおくれ毛が出ていたり、髪をちゃんと結っていなかったりしています。


 一応登場人物の設定とも髪型は関連しており、各登場人物の性格に応じて髪型や崩している程度が違っています。(髪型を崩していない人:真面目、伝統を重んじるタイプ、身分が高い 髪型を崩している人:伝統をそんなに気にしていない、服装に無頓着、別の民族出身だったり別の宗教を信じていたりする)


↓髪型を崩していない人の例(沙渙シャー・フアン)。ちゃんと冠をかぶり、毛の先も出していません。当時の成人男性として当たり前だったひげも生やしていますね。

https://kakuyomu.jp/users/KanooSio/news/16818093081500347227


↓髪型を崩しまくっている人の例(棗绍ザオ・シャオ)。ちゃんと髪を結っていないですし(ハーフアップみつあみ)、髪飾りはつけていますが冠もつけていません。ひげもないです。髪色も明るいです。他の人からは破天荒だと思われているでしょう。

https://kakuyomu.jp/users/KanooSio/news/16817330668224571885


 髪の色も、純粋な黒髪である登場人物は少なくしており、青っぽい黒髪や茶っぽい黒髪、緑っぽい黒髪など黒髪の中でもバリエーションを付けるようにしています。現実にある範囲で茶髪や白髪の登場人物もいます。現実にいない範囲の髪色の人は、一応そのような色になっている理由があります。ちなみに、サブの登場人物は黒髪である率が高くなっています。


 服装に関しては「第五話 服の歴史って難しいね」で書いたことがほとんどなのですが、拙作の場合は服の色で区別できるようにしています(小説の技量が足りていなくて読む人が区別できていないかもしれませんが)。


 これは私が中華ファンタジーを書こうと思ったきっかけである『陳情令』・その原作『魔道祖師』でも、服の色でどの門に入っているかが分かるようになっており、拙作もその影響が強いです。紫が入っていたりしてちょっとひねってあるっぽいですが五行モチーフで色を決めていそうな感じがしますね。中国ドラマでも登場人物の服装は色が基本的に固定されているイメージがあります。たまに毎回全然違う色を着ている登場人物もいますが(おしゃれさんですね)。



 ということで、今回は中国ドラマ・中華風ファンタジー作品を見る側の苦労話が中心となってしまいました。


 見る側に区別しやすい登場人物を作るのって意外に大事なのかもしれない……と今回思いました(自戒)。これって、中華風ファンタジーを作るうえだけでなく、小説全般に言えることな気がします。これからも試行錯誤しながら、登場人物を作っていけたらいいなと思います。


  中華風ファンタジーを書いてみたい人・書いている皆さんも、ぜひ区別のつきやすい登場人物を作っていただけたらなと思います。(私が助かるので)



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