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その日、世界は真っ暗だった。
なにも見えない。なにも聞こえない。誰もいない。あたたかくない。そんな場所にわたしはいた。本当はとても怖いはずだった。でも不思議なくらいに心は安心していた。理由は自分でもよくわらなかった。
ここはどこだろう?
わたしが初めに思ったことはここがどこだか全然わからないことだった。
「あの、誰かいませんか?」
返事はない。
わたしはため息をひとつついてからゆっくりと歩き始めた。それからずいぶんと長い間、わたしはひとりぼっちで歩きただけだ。世界は真っ暗なままで、わたしの見ている景色はなにも変わらなかった。
あなたに会いたいな。
そんなことを、いつもと同じようにわたしは思った。わたしはあなたに甘えてばかりいると思った。
大丈夫。
わたしはひとりでも全然大丈夫なんだからね。心配しないでね。
わたしは笑顔になる。自分を励ますために。歩き続けるために。泣かないために。笑顔になる。笑っていれば、なんとかなる。それはあなたがわたしに教えてくれたことだった。
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